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”ぼく”はここにいるのだと教えてくれた|カラフル

どもども、明原星和です。

僕にはとある小説家さんの知り合いがいるのですが、その方から何冊かオススメされている小説があります。

今回読んだ作品もその方からオススメされた作品で、

「カラフル」

という題名の森絵都先生の書かれた小説になります。なんでも、YA小説の代表格なんだとか。

※YA小説とは、ヤングアダルト小説のことで12歳から18歳までの読者を対象に書かれた文学のことです

内容をとてもざっくりと要約しますと、
生前に何らかの罪を犯したことで、魂の輪廻のサイクルから外されそうになった主人公が、天使業界の抽選に当たったことで「小林真」という少年の肉体に魂を宿し自分の罪を思い出すための再挑戦をする。
というものになります。

ちなみに「天使業界の抽選」というのは、本来輪廻のサイクルから外されるところだった罪を犯した魂に輪廻のサイクルに戻るチャンスを与えること。

そして、抽選に当たった魂が地上の人間の肉体を借りることを「ホームステイ」と呼びます。

この随所に出てくるネーミングのセンスが、親近感もありながら言い得て妙な部分とか、すでに好感を持てますよね。

こちらの作品、YA小説だからと言って甘く見てはいけません。

12~18歳を対象としている文学ではあると思うのですが、その完成度は大人向け文学小説に引けを取らないと感じています。

それも、文体や言い回しが軽いぶん、誰でも気軽に読める親しみやすい小説となっているのです。


ジャンルとしては青春小説で、生前に罪を犯した魂が自殺で亡くなってしまった少年・小林真にホームステイするというところから物語が始まります。

YA小説ということもあり、かなりキャッチ―な展開から始まるのですが、ふたを開けて見ればその内容は、なんとも感無量。

この作品をただの青春小説であると表すのが申し訳なくなる。

王道の主人公成長物語を展開しながら、展開が進むごとに「家族」とは、「生きる」とは。そして、「自分」とはを考えさせられます。

しかし、それは決してマイナス方面の思考ではない。
家族の愛を…生きることの素晴らしさを…自分という存在を尊さを。
ただ真正面からぶつけてきて、「あぁ、こんなにも良いものなんだな」とプラスに考えさせてくれます。

誰もがみんな生きていて、自分という視点から世界を見ている。
きっと自分から見る世界は周りとは違っていて、周りから見る自分も人それぞれ違うのだろう。
だけど、だからこそ一歩、踏み出してみる。もう一歩、広い視点で世界を見てみる。
そしたらきっと、”こんな世界”と思っていた世界が色づいて、美しい景色に変わるから。

今に生き辛さを感じている人にこそ見てほしい。
そんな、素敵な作品でした。


こちらの作品、2010年にアニメーション映画が。
2022年に「HOMESTAY」というタイトルで実写映画化されております。

原作小説はとても読みやすく、初めて小説を読むという方でもスラスラと読めてしまいそうなお手軽さですが、映像から入ってみたいという方はまずは映画から視聴してみてはいかがでしょうか?

そのうえで、小説の方もお手に取っていただけますと幸いです。

今回も読んでいただき、ありがとうございます。
これからも様々な記事を書いていきますので、次回もぜひ読んで下さい。
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