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卯月
2021年2月14日 11:37
通勤バス、毎朝私が乗り込むと、運転席の近くのつり革に捕まっているあの人。名前も職場も何も知らない。当然だ、赤の他人だから。でも、眼鏡をかけた横顔、短く切り揃えられた髪型、スーツに身を包みスラリとした後ろ姿。骨格が好みだった。一目見て、その姿が素敵だと思った。それは6月の初め、じっとりとした梅雨特有の気候のある日のことだった。◇その日から、バスに乗り込んでは、前方