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『稲盛和夫一日一言』 10月31日

 こんにちは!『稲盛和夫一日一言』 10月31日(火)は、「読書の意義」です。

ポイント:自分自身を高め磨くために、努めてすべきもののひとつが読書。読書は、実際の経験を通して得られる学びを、さらに意味のあるものにしてくれる。

 1989年発刊の『心を高める、経営を伸ばす』の「自分自身を磨く」という項で、稲盛名誉会長は次のように述べられています。

 リーダーともなれば、忙しいとは思いますが、ぜひ自分を磨くようにしてほしいのです。なぜなら、自分自身を高め磨くことも、リーダーが自ら取り組むべき仕事のひとつだからです。

 仕事を一生懸命にしているから立派なリーダーということではなく、リーダーは人間性、技能、見識を幅広く備えた存在であるべきです。
 仕事に一生懸命励むのは素晴らしいことなのですが、それだけでは人間的にも技能的にも、職場のレベルに留まってしまい、世間で通用しない人間になってしまいます。

 また世間を見る目が身についていなければ、相対的な、相手があっての自分、という立場を見失ってしまいます。相手との関係を通して自分の認識がクリアになっていく。そうしたことを知らないために、独善的なドグマに陥ってしまうかもしれません。※ドグマ:独断、教条。宗教上の教理、条理。

 休日に書店に入り、タイトルをざーっとながめただけでも、自分が読むべき本はいくらでも出てきます。少なくとも月に二~三冊くらいは、自分を向上させるために本を読むようにし、人間をつくっていくよう心がけることが必要です。
(要約)

 また、稲盛ライブラリー/Facebookアーカイブ」2000年6月1日には、稲盛名誉会長が本に向き合うときの思いが、次のようにまとめられています。

 自分を高めるために読書をしてほしいと思います。真剣になって、良い本を読むということをぜひとも行っていただきたいのです。
 仕事で遅くなっても、あるいはお客様とお酒を飲んで帰った夜でも、私は必ず本を読みます。読むといっても、机の前にすわって読むわけではなく、枕元に主に哲学とか中国の古典の本がたくさん置いてあり、それを読むのです。また、トイレへも風呂へも本を持って入ります。そして日曜日が休みのときは、一日中本を読んでいます。

 皆さんは忙しい日々を過ごしておられ、そのために時間がないと考えておられるかもしれませんが、その限られた時間の中でも、書物に親しみ、感激に心震えるようなときを持つことは可能です。
 もちろん、皆さんが仕事で苦労し、その実践の中で自分を磨き、勝ち得たものが一番重要なのですが、それに加えて、読書で自分が経験していないことを吸収し、それを基に経験したことを整理していくことも必要です。
こうした実践と読書が、人間の精神の骨格をつくっていくのです。
(要約)

 またアーカイブ冒頭には、次のようなエピソードも紹介されています。     

 稲盛は自宅では読書をすることを日課とし、じっくり読むことができないときには、「宗教や哲学に関する本を自宅の離れに持ち込んでひたすら読み続けてみたい」と口にしたことがあるほどです。

 『百聞(ひゃくぶん)は一見(けん)に如(し)かず(百聞不如一見)』(出典:「趙充国伝」『漢書』)は、「人から何度も話を聞くことは、一度自分の目で確かめたことに及ばない」という意味のことわざですが、人間、あらゆることを自分で経験することは、所詮無理な話です。

 「忙しいは言い訳にならない」
 人間性、スキル、知識・見識を高めていくためには、本を開く、読書をするという行動が習い性となるまで日常的なものにしていく。それが自分自身を高め磨くことにもつながっていくのではないでしょうか。


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