季節を味わう。「味と映画の歳時記」(読書記録_12)
池波正太郎「味と映画の歳時記」を読んでいます。
章立てが1〜12月に分かれていて、味と映画にまつわるエッセイが収められています。
非常に読みやすく、また、著者の季節ごとの味の思い出と、映画の思い出の結びつきが心に沁みます。
お正月におばあちゃんが作ってくれる橙の汁のお湯割りジュースや、戦後の焼け野原に現れたトタン屋根の小屋のかき氷屋で氷水を食べ、東京復興の息吹を感じる…。
六月の「鮎とさくらんぼ」の章では、歌舞伎俳優の市川猿翁(二代目猿之助)が死の二日前に弟の市川中車に頼んで鮎の塩焼きを食べ、しみじみと、うまかったよ、ありがとう。とお礼を言ったという貴重なエピソードも。
十二月の章で書かれる湯豆腐や、牡蠣雑炊は、絶対ちかぢか真似してみようと思いました。
年の瀬に読むのにおすすめの本です。
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