おやじパンクス、恋をする。#244
「おいおい、てめえら何やってんだよ。病院いけよ」
「うるせえな、てめえが一番ボコボコじゃねえかよ」
涼介がピンクの蛍光ペンで俺を指さしながら言う。
「さあ、パーッとやろうぜ。今夜はマサのおごりだからよ」
カズがいきなり景気よく言って、隣の雄大の肩に手を回す。
「そいや祝勝会やるんだったなあ。メンツも揃ってるし、ちょうどいいや」
ボンがけらけらと笑いながら言い、「バカ野郎が、またスーツがオシャカだぜ」涼介はそう言って破れた袖口を自慢するように見せて、69の方にすたすたと歩いて行っちまう。
「おいコラ、ちょっと待てよてめえら」
そう言う俺の後ろから肩をポンっとされて振り返ると、ニヤニヤ笑いのタカが、「待たねえよ、待つわけねえだろ?」と笑い、そしてワイワイ言いながら既に十メートルくらい向こうにいる皆のグループへと走り寄っていく。
俺は思わず立ち止まり、そんな奴らの後ろ姿をぼんやりと見つめながら、ため息をついた。それでも、年甲斐もなく騒ぎながら楽しそうに歩いていく様子に、なんだかニヤニヤ笑いがこみ上げてきて、「ああ、オレの回りはバカばっかりだ」一人くっくっくと笑いながらタバコを咥えた。
ふと見れば彼女が振り返って俺を呼んでいた。
「おい店主、早く店開けろ~」
まったく、今日も長え夜になりそうだ。
エピローグに続く
LOVE IS [NOT] DEAD. 目次へ
この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ。
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