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【エピローグ】おやじパンクス、恋をする。#247

 佐島さんは随分昔から梶商事にいたらしく、カズんとことの取引にも古くから関わっていたらしい。だけど佐島さん、全然仕事のできない要領の悪い男だったそうで、だからこそ梶さんが一生懸命に面倒見てやってた。

 なんだかそれ、雄大みてえだなと俺はチラッと思ったんだが、とにかく案の定というか何というか、ある重要な取引で佐島さんは大きなポカをしたらしい。カズんとこの会社もなんか結構な損をしたらしく、以来、梶商事の佐島と聞けば皆がブチ切れるような状態になっちまった。

「それで、どうなったんだよ」急かす俺。

「ああ、それで美樹本さんにも火がついた。あの佐島かこの野郎って、親父に話す気になってくれたわけ」

「おお、それで美樹本さんから話を聞いて、達巳さんは動いたってわけだな」

「いや、待て待て。神埼達巳を舐めちゃいけねえ」

「はあ? もしかして――」

「ああ、あの頑固親父、他でもねえ美樹本さんの言葉にも耳を貸さなかった。佐島なんて野郎のことはもう忘れちまった、他所様の問題に首突っ込むなんて野暮はしねえと、ガンとして動かなかったんだよ」

「う~む、さすが達巳さん。――でも、結局は来てくれたじゃねえか。どうなってんだよ」

 俺が言うと、ヒゲ野郎はまたコメカミをとんとん、と叩いて、「だから、ここよここ」とのたまう。うぜえ。つうかきめえ。

「美樹本さんでも動かせなかった親父を、どうやって動かすか。俺は考えたね。そして、これだ!って方法を思いついた」

「だからなんだよ、早く言えよバカ」

「ふふふ、それはだなあ」

 こいつマジでぶん殴ってやろうかなと拳を握りかけた時、注文を終えた彼女があっさりと言った。

「カズくん、私に電話したのよ」

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この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ

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