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#推薦図書 NO32 「神さまを待っている」

「神さまを待っている」 畑野 智美 (著)

誰にも「助けて」と言えない。
圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。
文房具メーカーで派遣社員として働く二十六歳の水越愛。派遣期間の終了とともに正社員になるはずだったが、会社の業績悪化で職自体を失う。失業保険を受けながら求職活動をするがうまくいかない。家賃よりも食費を選び、ついにホームレスになってしまう。漫画喫茶に寝泊まりしながら日雇いの仕事でお金を稼ぎ、また前の生活に戻ることを目指して日々をやり過ごす愛だったが、同じ境遇の女性に誘われ「出会い喫茶」に行くことで、自意識が揺らぎはじめる。生きるために「ワリキリ=売春」をやるべきなのか。ここまで追いこまれたのは、自己責任なのだろうか。普通に大学を卒業し、真面目に勤めていた女性が、またたくまに貧困に呑み込まれていき、抜け出せなくなる。貧困女子に必要なのは、お金だけなのか?自らの体験をもとにした、著者渾身の長篇小説。
感想:貧困問題をテーマとした小説。貧困に陥る際の負のスパイラルを生々しく描いた作品。何となく知ってはいるけど、現実味はない。印象はそんな感じなのかな?と個人的には思う。昨今は自業自得だとかいう自己責任論が確かに存在はしているが、本当にそれだけだろうか?社会の在り方そのものに欠陥があるのではないだろうか?と考えさせられる作品。こうゆう問題に興味関心がない人にも小説という形式にて、ノンフィクションやルポなどとは違う形で読む事知る事がしやすい作品です。

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