キッズライン問題について

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キッズラインの登録シッターが相次いで強制わいせつで逮捕されている問題。それに伴い、キッズライン側にプラットフォーマーとしての責任を追及する声が上がっている。その中でキッズライン側の採用や研修が甘いのではないか?また、キッズライン側の現時点での対応策が甘いのではないか?という声が上がっている。大前提として個人的には容疑者が問題を起こした方が1番悪いというのは間違いないし、全ての責任がプラットフォーマーにあるとは決して思ってはいない。ただ、プラットフォーマー側はそのマッチングで稼いでるわけだからこそ、問題が起こった時こそしっかりとした対応と問題が出来る限りおこらないような策が必要であるし、その責任はあるだろうと思う。その上で今回の騒動を受けてキッズライン側が発表した内容は以下となってる。


「被害届が出ている、当該男性サポーターは、保育士資格も有しており、当社基準で厳格に審査を行いました。残念ながら、小児性愛者であるかについて審査では見抜くことはできませんでした。なお、この点につきましては、専門家も困難であるとの見解を示されました」


この文章を読んで率直には「確かにな」という印象を持った。審査で全てを見抜く事は難しいのは残念ながら事実であろう。しかし、気になる点もあった。例えば「厳格に審査」という点と「専門家も困難であるとの見解を示され」という点である。実際に採用された方の話をABEMAの特集や他の記事などを見る限り、本当に厳格な審査がされているのか?っていう疑問があった。

そもそもキッズラインとはどうゆうサービスであるかというと、以下のようなサービスと記事には記載がある。

「キッズラインのシステムは自社でシッターを雇用するなどして責任を負って派遣をする従来型のシッター会社とは異なり、保育士資格などがなくても登録説明会に参加し、対面もしくはオンラインでの面接を受けて合格すると登録ができる。」

現在の選考フローは「登録説明会に応募し、参加。面談を経て、その合格者は実地研修を受けて、合格すればシッター」という流れ。登録説明会と面談が2〜3時間、実地研修が2時間とHPに記載がされているように、これが十分であるのか否かの判断は人それぞれの認識の違いはあるかもしれない。しかし、これが実際におこなわれていない実情もあるようだ。

急な事業・サービスの成長に伴い、シッターの数を大幅に増やし、確保する為に簡易化がされていた現状があるようで、これは様々な記事からも明らかになってる。例えば面談は10分程度であったなどの証言も掲載されており、10分が本当に厳格な審査といえるのか?対面だけが全てではないので、オンライン面談は別に構わないと思うし、現在はスマホでのオンライン面談も売りの1つとしているが、過去の政府向けの資料においては、対面での面接をアピールしていた事実もあるので面接における質の担保は本当に大丈夫なのかな?と思ってしまった部分もある。

また、面談をたとえば10分程度だとしても採用する側が複数人でおこなう、交代で様々な視点からチェックをするなどがおこなえてない点も厳格どころか甘さを感じてしまう点である。そして、実地研修に関してもご時世上の部分もあるが、オンラインでの研修となっている場合もあるようで、リモートでのやり取りで研修のみで現場に出るという事もある。

もちろん、サービス自体がオンラインのサービスならばともかく、シッターに関してはリアルでの職務。そうなるとプラットフォーマー側が1度も対面なく、利用者側がリアルでの対面と評価をいきなりおこなうという事が現実におこっているのである。個人的にはオンラインの活用は否定しないが、サービスそのものがリアルでしか成り立ってない現状を考えるとこれはリスクが高いなと感じてしまった。

また、今回の騒動を受けて「専門家も困難であるとの見解を示され」という点を受けて、キッズライン側が「男性シッターの一時利用停止を決めた」という対応にも賛否がおこっている。事前連絡等もなく利用停止となり、男性シッターというだけで一律に対応をした点は性差別ではないかという声も上がっている。専門家の意見を受けての対応というが、さすがに専門家が性別で線引きを指示したとは個人的には考えにくいかなと思う。難しい問題ではあるが、対応策がある程度できるまでは一時的なサービス自体の停止という決断が選択肢はないのかな?とも思う。

もちろん、この対応策については「やむなし」との声があるのも事実である。男性による事件が発生したわけだから…という部分もあるのでこのような判断というのも個人的には一定の理解はできる。ただ、もしこれが女性シッターによる事件であった場合に女性シッターを一律で利用停止の処置をするか?といえば答えはNOなのではないかという視点で考えると賛否両論となる対応の是非がとわれてしまうのはしょうがないだろう。

マッチングサービス自体は個人的には評価しているし、時代のニーズにあった良いサービスだと思ってる。共働きが当たり前の時代、働き方が多様となってる時代だからこそ、時間単位のマッチングはサービス提供者、シッターさん、利用者さんが3方向でWINの関係性があると思っている。このような事件で全てが否定されてしまうことは誰も望んでない。だからこそ、問題が出来うる限り起こらないような対策や起こった際の対応が重要になってくるのではないかと強く感じる。


参考記事

シッターが預かり中の「わいせつ容疑で逮捕」の衝撃、キッズラインの説明責任を問う

https://www.businessinsider.jp/post-214061

キッズライン、シッターわいせつ事件発覚後も拡大路線。選考の実態とは?

https://www.businessinsider.jp/post-214676


犯罪予備軍?男性ベビーシッターの一律利用停止は「性差別」ではないのか

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73364


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