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いつもじぶんの感性で

「部屋に飾る絵がほしいのだけど、絵の良し悪しがわからないから、おすすめを教えてほしい」と言われた。

私はふだん絵に関わる仕事をしているため、その友人は私にこんな相談を持ちかけてきたのだ。



広い家に引っ越すから、部屋をお洒落にするために絵が欲しい。どこで買える?と聞いてくれたところまではまだよかった。

ただ、「おすすめの絵を教えてほしい」という相談には、とても悲しい気持ちになってしまった。

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絵は知識がなければ理解できない、とか
教養としてのアート、とか
ビジネスパーソンこそアートを学べ、とか
いろんなことを言われすぎてよりとっつきにくくなっているアートの世界だが、基本的には自分の主観にしたがえばいい。

もちろん、知識があればより深く楽しめることは事実だけれど、それ以前に、アートは誰にでも開かれている。

自分がいいな、と思うのには理由があるし、逆に好きじゃないな、と思うのにも理由がある。
作品を見ることで新しい世界を知り、自分と対話することで自分の世界はぐっと深まる。

その楽しさを知ってもらいたいし、もっともっと気軽に、アートを楽しんでほしいと常に思いながら仕事をしている。


そんな中、この友人の相談には少しショックを受けてしまった。

絵の「良し悪し」がわからないから、人が「良し」としたものを、とりあえず買うのだろうか。

人に「おすすめ」できる絵なんてない。

自分がいいなと思ったものを、素直に飾ればいいのに。



自分の感性を育て、自分の感性で選びとったものに触れていく。

それでこそ心は豊かになると、私は思っている。


その友人には、好きな絵を探して選ぶといいよ、とだけ言った。


私はつねに自分だけの感性に忠実に、正直に生きているつもりだけれど、それを人に押し付けたりすることはしないように、気をつけなければ。

絵の仕事を通して、たくさんのアーティストたちの世界に触れていけるように、それをたくさんの人に伝えられるように、がんばらなければ。


いつもじぶんの感性で、たくさんの素敵なものに出会うために。




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