手羽中山椒焼きとか揚げ物
手羽中山椒焼きとか揚げ物ですが、そろそろ終わりたい肺結核の第5話なんです。
今までは隔離病棟内部の話を語ってきたじゃないですか、しかし内側の世界があれば外側の世界もある訳じゃないですか。
でもほら、結核って糞コロと同じく感染症予防法の第2類じゃないですか、最近では濃厚接触とかいう用語も流行したじゃないですか。
実は結核も同じような扱いなんです。
私はその時分だと隔離病棟に住んでたんで分かりませんが、結核が発症して排菌していたら家族全員とか周りの総員が検査の対象になるみたいなんです。
これで検査して陰性だったら良いのですが、陽性な妖精さんになったら大変なティンカーベルです、症状や痰を検査して排菌していなくても保健所から監視されます。
監視対象になったらどうなるか。
半年間は毎日薬を飲まなきゃいけないんですねえ、発症者と同じく薬の殻は保管しといて、定期的に保健所へ提出しなければならないんですねえ。
これ、何人も職場で陽性者が出ちゃったら悲惨です。
だって糞コロだったら発症したって、せいぜい10日間くらいの隔離で済んだじゃないですか。
それが結核の場合は発症すれば最短でも1ヶ月の隔離です。
最短ですよ?
もうね、これ自分が移しちゃって発症なんかされたら発狂するじゃないですか、草加せんべい発狂くんじゃないですか。
もう居た堪れないんです、発症されてなくても妖精さんが横にいたら今すぐ職場から逃げたくなるんです。
しかもですよ?
糞コロなら発症したって基礎疾患が無ければ少しキツ目の風邪みたいなもんじゃないですか、ほっときゃ治るじゃないですか。
結核なんぞ薬を飲まなきゃ5人に1人は普通に死んじゃいますから、糞コロみたいなナンチャッテ空気感染じゃなくてマジもんの空気感染ですから、結核菌が風に乗って遠くまで飛んできますから。
そんな事で退院してからも、職場では尻がムズムズしている状態が2年は続きました。
で、入院中に看護師さんから聞いてみたところ、やっぱり結核を患った挙句に居た堪れなくなって会社を退職した人って多いらしいんです。
それどころか首切りされた人もいるんですよ。
ある日、私と同じ病室に30代くらいの兄ちゃんがいたのですが、看護師さんに会社を辞めさせられたとか訴えてるんです。
更には前に来た保健所の人が親身になってくれないとか、真面目に話を聞いてないとか、自分をバカにしてるとかグチグチ言ってるんです。
もう、聞いてて細かい事までグチグチグチグチネチネチネチネチ延々と語ってるんです。
それ君の、その性格のせいでクビになったんじゃないの?と言ってやろうとしましたが、シャイなので止めときました。
さて、隔離病棟に話が戻ったところで私が住んでから1週間くらいの頃です。
さすがに1週間もベッドの上だけだと飽きるじゃないですか、運動不足にもなるじゃないですか。
なので許される範囲で少し散策する事にしたんです。
普通の病院は病棟に談話室ってあるじゃないですか、椅子とか本とか置いてあったりする訳じゃないですか。
散策したら隔離病棟にもあったんで自販機でコーヒー買って談話室に行ったんです。
そうしたら20代くらいの可愛い女の子が私と同じ病室いた爺さんと談笑してるんですよ。
ちょっと若い頃の嫁様にも似ている元気な女の子だったのですが、聞こえてきた話によると女の子も結核の患者さんだったんです。
へえ、女の子もいるんだ、と思ってコーヒー飲みながら話を聞いていると爺さんの方は、かれこれ5年以上も入院しているそうなんです。
5年以上といえば熟練じゃないですか、ベテランと言っても良い部類じゃないですか。
私は、その爺さんを内心で職人と名付けました。
いやもうほら、全く終わってくれないじゃないですか、また続くじゃないですか、ネクストはネグレクトなコナンじゃないですか、そろそろ結核も終わりにしないと今年中に次の入院が始まらないじゃないですか。
それより重鎮はどこ行ったんですか、屋上とか何なんですか、予告のタイトルからディスタンスがエクスパンドじゃないですか。
【 次回予告 】
大いなる発熱が全ての始まり。
発症した病原体は咳を、咳は痰を生み、痰は検査を求める。
検査はやがて、病室に行き着く。
病室はすべてに呵責なく干渉し、隔離の嵐を育む。
そして、放たれた抗生物質は誰を打つ。
次回「別れ」
解放たりえない減圧室はない。
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