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検索サイト以上のEC遷移率となることも。デロンギ・ジャパンが実感した暮らしのコミュニティの価値

スペックだけでは伝わりきらない”製品が暮らしにもたらす魅力”を、どのようにして表現していけばいいのか――。マーケティング担当者の多くが抱える悩みではないでしょうか。

イタリア発、生活家電やコーヒーマシンなどで知られる「De’Longhi」(デロンギ・ジャパン)においてデジタル施策を担う岡部泰子さんも、同様の課題と向き合っていました。日本製品にはないデザインで数多くのファンを抱えるデロンギ製品。その魅力をさらに伝えるには「実際に利用する生活者本人たちの『日常のにおいがする写真』が必要」と考え、RoomClipでのモニターキャンペーンを中心としたマーケティング施策を展開しました。

結果、期待通り「ブランドのこだわりが伝わる喜びも得られた」ほか、実際に購買検討層を獲得する手応えまで得られたと岡部さんは振り返ります。同社はどのようにしてRoomClipを活用し、成果へとつなげているのか。ルームクリップが聞きました。

(お話を伺った方)
デロンギ・ジャパン株式会社 岡部 泰子さん 写真左
スポーツ関連メディア企業でプライベートDMPなどデータを活用したデジタル広告プランニング、アプリやソーシャルメディアを活用したプロモーションプランニングなどBtoC領域のコミュニケーション戦略設計に携わった後、デロンギ・ジャパン入社。デジタル領域での新たなマーケティング施策の企画・実行、CX最適化の推進を担う。

(インタビュアー)
ルームクリップ株式会社 竹内 優 写真右
セールスマーケティングチームに所属。RoomClipを活用したクライアントのマーケティング支援の企画等を担当。RoomClip住文化研究所 研究員。

「期待した通りの写真」は、黙っていても
なかなかSNSには投稿されない

竹内:今回のモニターキャンペーン(※)は、デロンギ・ジャパンさんとRoomClipで実施した初の取り組みでした。

※デロンギ・ジャパン×RoomClipによるモニターキャンペーン施策。応募から選ばれたRoomClipユーザーに対してデロンギの電気ケトルまたはオーブントースター新製品をモニター提供。キャンペーンは2021年4月に募集を開始し、その後モニターからは計100枚を超える写真がコメントとともに投稿された。

岡部:個人的にも今年の3月にデロンギ・ジャパンに入社して、初めて取り組んだプロジェクトでした。

竹内:岡部さんは、どのような範囲の仕事を担っているのでしょうか?

岡部:私はマーケティング部に所属しており、オンライン広告、自社サイトや自社ECサイトのCX改善、新しいマーケティングツールやメディアの開拓などブランドとエンドユーザの接点におけるブランド体験向上に向けたデジタル施策を中心とした取り組みを幅広く任せてもらっています。同時に計測基盤の開発やダッシュボード導入などDX領域のプロジェクト推進にも携わっています。

竹内:SNSでは、どんなフォロワーに支持されていると感じますか?

岡部:当社製品の特徴の一つに「デザイン」があるので、家の中をお洒落な空間にアレンジしている方が多いと感じますね。

竹内:商品だけではなく、それが使われる周りの環境にもこだわりがある方に選ばれているということですね。一方で、SNS運用に関する悩みや課題はありましたか?

岡部:一緒に働くSNS担当者に聞いて「なるほど!」と思ったのは、ユーザーさんが日常的にSNSを利用する中でアップされる写真についての悩みです。デロンギのオーブンで作ったすてきな料理の写真をアップしていただくことが多いのですが、残念ながら、料理とオーブンが一緒に写っていない写真がほとんどで(笑)。

竹内:料理をテーブルに並べて撮影しても、オーブンと置き場所は違いますし、そこにオーブンは写らないと……。日常的なSNS投稿では、オーブンの方でなく、料理をしたということが話題の主役となりがちですから、特に働きかけがなければそうなるのは当然かもしれません。

岡部:そうなんです。もちろん写真をアップしてくださること自体、とてもありがたいことなのですが。

竹内:SNS上でブランド側の期待するコミュニケーションが実現するのは、簡単ではないですよね。

キャンペーンを行った「デロンギ ディスティンタ・ペルラ コレクション」
写真:デロンギ・ジャパン株式会社

RoomClipでモニター企画を開催。
あくまで評価指標は自社チャネルへの影響

岡部:そうした意味では、この施策によって新しいコミュニケーションの形が生まれることに大きな期待を持っていました。特に今回のモニターキャンペーンで対象としたのはカラーバリエーションが個性的な電気ケトルとオーブントースターだったので、これまでにはない方法で魅力を伝えたいと思っていたんです。

竹内:国内のキッチン家電では白や黒などモノトーンが主流ですが、今回対象となったシリーズはカラーリングが本当にユニークですよね。

岡部:きれいなパステルカラーのラインナップなのですが、日本にはなかなかないカラーバリエーションなので、魅力を理解していただくのは簡単ではないとも感じていました。特にキッチン家電は、モノトーンなどに比べると、カラフルなものは選ばれにくい傾向があります。だからこそ、RoomClipに投稿される写真を通じて、これらが実際に暮らしにマッチしているシーンを見ていただきたいと思っていました。ターゲットは20〜30代の女性でした。

竹内:前例のない状況で、RoomClipでキャンペーンを行うことについて社内で理解を得るのは簡単ではなかったと思います。決め手になったのは何だったのでしょうか?

岡部:たしかに社内で「RoomClipは良さそうだけど、実際はどうなんだろう?」と不安視する声もありました。しかしRoomClipの主なユーザー属性である20〜40代女性が今回のターゲット層に合致しており、そして何より、モニターに投稿された写真はその後私たちブランド側のコンテンツに二次利用できるということで、とりあえずトライアルをし、結果を分析しようとなりました。

竹内:あくまで取り組みとしてはチャレンジと捉えつつ、将来的に新たなプロモーションにも活用できるという期待が後押しとなったのですね。
普段、こうしたマーケティング施策を実行する際に重視している数値的な指標はありますか?

岡部:出稿先の媒体などによってまちまちですが、それぞれ目安となるKPIを設定しています。これまでオンラインの広告はインプレッション、クリック単価など媒体社から提示されるKPIを中心にみているところがありました。ただ、今後はそれらだけではなく、私たちのSNSやオウンドメディアに与える影響をより評価すべきだと考えています。そうした新しいKPIを社内に根付かせていくのも私のミッションなので、今回はRoomClipとデロンギの親和性をしっかり検証していきたいと思っていました。

竹内:「出稿先のメディア内でどの程度見られたか」だけでなく、「その後自社チャネルへどのように影響したか」まで詳しく見ていくべきだということですね。

岡部:はい。自社SNSやオウンドメディアは、私たちの発信を最もダイレクトに伝えられる手段です。ユーザーさんから見れば製品情報はいろいろな場所にありますが、「メーカー発信の情報が一番正しいはず」という感覚があるでしょう。私たちはそうした情報を適切に発信していくべきだし、その中で、ユーザーとの結びつきを強化していきたいと強く思っています。

「電源コードもピンク色なのがうれしい」。
ブランドのこだわりが、ユーザー側から可視化

竹内:モニターキャンペーンを実施して、効果はいかがでしたか?

岡部:まずは、予想以上のモニター応募をいただいたことに驚きました。実施前は「とがったカラーリングだからあまり応募がないかも……」という不安もあったのですが、蓋を開けてみると1000人を超える方から応募をいただきました。

竹内:RoomClipとしても、水準以上の応募をいただいた施策となりました。

岡部:「RoomClipはすごい!」と率直に思いました。最終報告としてRoomClipのサービス側での実績値を報告いただきましたが、投稿写真の数や閲覧数も、事前の想定を大きく上回っていました。実際に投稿された写真やコメントの内容も充実していて、ただ「モニターに当選してうれしい」という言葉だけではなく、製品を実際に料理に活用していただいているシーンの写真やコメントがたくさんありました。

竹内:岡部さんのお気に入りの投稿はありますか?

岡部:5月5日、こどもの日に投稿された「こいのぼりのピザ」の写真ですね。デロンギのウェブサイトに載せているレシピ集にあるメニューを参考に作っていただけたようです。また、お子さんが大活躍している写真が多かったのも印象的でした。冒頭でお話しした「オーブンと料理を一緒に写してもらえない」という悩みも、モニター投稿ではピザを焼いてオーブンを開けた瞬間の写真が数多くアップされていて、まさに願っていたものでした。

「子供の日なので鯉のぼりピザを焼きました🎏」
写真・コメント抜粋:yksrさん Room No. 2927259

竹内:たしかに「製品と料理の組み合わせ」を意識して投稿してくださったユーザーさんが本当に多かったと感じます。写真以外に、ユーザーさん同士のコメントのやり取りで印象的だったものはありますか?

岡部:電気ケトルについてのコメントで「本体だけでなく、電源コードもピンク色なのがうれしい」というコメントがありました。一般的に家電製品の電源コードは白や黒が当たり前ですが、今回キャンペーンを行った「デロンギ ディスティンタ・ペルラ コレクション」は本体に合わせてコードのカラーも変えているんです。コメントに対して他のユーザーさんも「よく考えられているよね」と共鳴してくださっていて、私たちのこだわりを褒めていただいたことがとてもうれしかったですね。

「コードもピンク色なのが嬉しいです💕」
写真・コメント抜粋:ikubooさん Room No. 1825888

「日常のにおいがする写真」だからこそ
製品の魅力が伝わる

投稿された写真の一部

岡部:今回のキャンペーンでは定量的な成果として「RoomClipから自社サイトに誘導できたか」も検証しました。1週間のモニター募集期間中、RoomClip経由でデロンギのキッチンサイトに来た人の自社オンラインショップへの遷移率が、検索サイトごとに比較すると、オーガニック(自然)検索からの遷移率より高いこともありました。

RoomClipでデロンギの電気ケトルやオーブントースターを見て興味を持った方が、実際に当社のサイトに来て、仕様や価格などをチェックしてくださっていることが分かりました。

竹内:モニターキャンペーンはモニター投稿に対する注目やコミュニケーションが誘発されることは非常に分かりやすいですが、モニターに当選した方以外にもたくさんの方が見込み客になってくださっていることなどが、数値からも分かったわけですね。

岡部:はい。社内ではKPIの振り返り方として「見られた数だけではなく、見られた後の行動まで追いかける」ことが大切だという認識が広がりつつあります。これは、今回RoomClipでキャンペーンを実施して社内で理解が深まった副次的な効果だったと捉えています。

竹内:この結果を、今後どのように生かしていきたいと考えていますか?

岡部:新規顧客との接点を拡大し、エンゲージメントを強めていくための手段として、今後も新商品の発売や、トレンドを盛り上げていきたいタイミングなどで、ぜひ同様の施策にトライしたいと考えています。また、RoomClipでの発信が自社サイトやECへの効果的な動線となることが分かったので、RoomClipにビジネス用アカウントを開設することを決めました。今後は自社サイトとインタラクティブにつなげられるよう、運用をさらに強化していきたいと思います。

竹内:ありがとうございます。私たちはTwitterやFacebook、Instagramなどの他のSNSとは違う存在感を発揮していきたいと考えています。岡部さんは、こうしたマスなSNSと比べて、特化型といえるソーシャルであるRoomClipにどのような可能性を感じていただいているのでしょうか。

岡部:RoomClipは住まいづくりやインテリアといった文脈に強みがあり、生活家電についても、「自分の家に置いたらどうなるだろう?」と考える際には非常に参考になる媒体だと感じます。私たちの製品の魅力は、お洒落な雰囲気の写真だけでは伝わりません。生活者として実際に活用してくださっている方の、「日常のにおいがする写真」だからこそ伝わるのだと思います。「いいな」で終わるのではなく、「買いたいな」と感じる。そうしたリアルなコンテンツが集まることこそRoomClipの魅力だと感じますし、私たちは今後もその魅力を最大限に活用していきたいですね。

竹内:私たちもそういったユーザーとブランドが繋がるコミュニティを後押しする取り組みを続けられればと考えています。この度はありがとうございました。

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