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UGCとブランド、これから向かうべき新たな関係

2017年から現在に渡ってRoomClipをマーケティングに活用するアイロボットジャパン様をゲストにお迎え。生活者に向けてプロダクトを送るブランドの目線で、数あるSNSの中でRoomClipを活用する理由を語っていただきました。そして、最新の取り組み事例から見えた、UGCとブランドの新たな関係を提示します。(※本テキストは、2020年8月に実施されたライブ配信「生活者×ブランド。新しい距離感。」の文字起こし編集版です)


・スピーカー:
ルームクリップ株式会社 セールスマーケティングチーム 竹内優、水上淳史
・ゲストスピーカー:
アイロボットジャパン合同会社 マーケティング本部 高川弥生


コロナ禍での
コミュニケーション変化

【竹内】コロナ禍によって、ソーシャルディスタンスやテレワークなど従来になかった常識の中で生活が強いられる状況がありますが、ブランドのコミュニケーションにおいても色んな制約が出てきているのはご覧になられている皆さんも感じるところかと思います。例えば、3密の回避、新しい生活様式と呼ばれるものに対応した表現の仕方を意識しなくてはとか、もしくはもっと心理的なところで、安全・安心に対する欲求が以前以上に意識が高まっている、とか。様々な面で、ブランドが行うコミュニケーションの仕方にこれまでと変化が必要だと思われいる方は多くいらっしゃると思います。

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 他にも、コロナ禍で色んな変化が起きてるということを一旦おさらいしましょう。例えば生活者の中でスマホの利用時間が非常に伸びたという調査結果が出ております。

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 左はMMD研究所様から2020年8月に発表されたものですが、スマホを5時間以上使う人が緊急事態宣言後に20%をオーバー。総じてスマホの利用時間が伸びて、デジタルと付き合う時間が増えたということ。右手はロート製薬様が今年5月に発表された調査ですが、こちらではデジタル機器との接触時間が総じて、特にスマホの使用時間が非常に伸びていることが報告されています。

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 では、そのスマホの中で何に触れているか。これは2019年に行われたスマートフォン利用者実態調査ですが、どんなアプリ利用されてますかという質問を参照すると、TOP3はSNS、動画、コミュニケーションの順。つまりそれらの中での情報交換や、動画もYouTubeのような、生活者の立場の方で作られた動画など、総じて生活者の情報が席巻している状態です。ブランド側のコミュニケーションに制約が突発的に発生したと感じる中、逆から見ると生活者が発信する情報と接触する頻度は、結果的にグッと上昇している状況かなと感じるところです。

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 我々もその1つを担うサービスをやっていて、こういった状況下で色んなブランドの皆さんとお付き合いさせていただいている責任感もあり。増えていく生活者の情報に対してどう向き合っていくかという視点をお届けしていかなきゃいけないなと。今日はブランドの立場に立ったお話もできればと考えております。

本日のゲストは…

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【竹内】生活者が発信する情報、いわゆるUGC(User-generated Content)と呼ばれますが、そういった情報が増加する一方の中、ブランドはどう付き合っていけば良いのか。そして数あるソーシャルプラットホームの中でRoomClipってどう役立つんだろうというところをここから事例を踏まえながら語っていければと思っております。

 というわけで、ゲストをお呼びしたいと思います。アイロボットジャパン合同会社のマーケティング本部の高川弥生様です。

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【高川】こんにちは。

【水上】よろしくお願いします。さすが、ルンバを携えての登場ですね。

【高川】アイロボットジャパンでマーケティングコミュニケーション、いわゆる広告宣伝をメインにやらせていただいてます。RoomClipさんとのお取り組みも、学びになる施策をたくさんさせていただいております。よろしくお願いします。

【竹内】よろしくお願いします。アイロボットジャパン様をお呼びしたのは幾つか理由があります。例えば、2020年6月にRoomClipで投稿イベント『お時間を快適に♪ラク家事を叶える家電』を開催したのですが、こちらはそのイベントで投稿された写真に付与されたタグのランキングトップ10。この中に唯一ブランド名としてランキングに入っていたのが「ルンバ」だったんです。RoomClipの中でも、すでに深く浸透している家電ブランドだということ。

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 RoomClip自体にルンバの投稿はサービスが始まった当初から多くありました。これはサービスの開始年である2012年に初めてルンバが投稿された写真です。

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 その年はまだ少ない写真点数だったんですが、その後ユーザー実例がどんどん増えて、年内に2000件に届くかなというところで、RoomClipには色んなシーンの写真が現状ございます。

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最初の取り組みと、その理由

【竹内】そんなアイロボットジャパン様とRoomClipとのこれまでの取り組みと最新の取り組みについて今日はお話しさせていただきます。2012年に最初のルンバの写真が上がった当時は、我々にブランド企業を対象としたクライアントビジネスという仕組みがありませんでした。まずは、アイロボットジャパン様といわゆるビジネスとして共同のマーケティングが始まったのはいつだろうというところから。

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 振り返ると2017年ですね。アイロボットジャパン様と最初のマーケティング施策は、こんな呼びかけで投稿キャンペーンとモニターレンタルを行わせていただきました。当時も高川さんが担当だったと存じますが、覚えていらっしゃいますか。

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【高川】懐かしいです。RoomClipはもともと見ていたので、期待はしていたんですけれども。

【竹内】ルンバを使っている風景を撮って投稿しようというキャンペーンだったんですよね。それとモニターキャンペーンを当時同時に実施いただきまして。モニターキャンペーンは、いわゆる商品のプレゼントや、ないしはレンタルだったりの形で商品をご利用いただいて、その様子をRoomClipに投稿していただくタイアップの施策です。それらに一緒に取り組ませていただいて、投稿を集めたという始まりでした。

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 そして、当時投稿された写真およびコメントを引用し、『ルンバ使ってみてどう?』というタイトルのフォトブックを作成されました。ルンバをおうちに迎えるとこんな感じになるんだよと店頭でご紹介して購買に役立てるということを目的に取り組まれたものです。

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 オンラインでもRoomClip magの記事や、アイロボットジャパン様のサイトといった場所でユーザーさんの声は様々にご活用いただきまして。今でも「アイロボットスタイル」というサイトの中で、ユーザーの皆さんの様子をご紹介いただいております。

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 最初の施策から色んな取り組みをいっぺんにされたんだなという印象ですけれども。1個目の質問です。当時キャンペーンを実施された理由と、そして、アイロボットジャパン様がSNS自体とどう向き合ってたかというところをお聞きできればなと。

【高川】今もそういった面はあるんですが、当時は製品の説明をしても「家具がたくさんあるうちで使えるか分からない」「うちじゃカーペットラグがあるから走れないかもしれない」という、実環境で使う想像がどうしてもできないお客様がたくさんいらっしゃっいました。その中で、RoomClipのユーザーさんはまさに自ら体験して自ら発信していらっしゃいました。キャンペーン実施に至ったのは、ルンバ・ブラーバの説明をしたときにお客様が抱く疑問に回答するような投稿が、キャンペーンによってさらにたくさん回答いただけたらというのと、まだ体感してない方にモニターをしていただいて、「やっぱりうちでも使えるんだ」っていう実感をしていただきたいという。両方からルンバをおうちで使う良さを伝えたいという想いでした。

 RoomClip以外も含めたSNSとの向き合い方でいうと、やはり弊社の製品、ルンバ・ブラーバは、実際のおうちで使っていただいて体感していただくことが一番私たちも嬉しいことです。私たちの口から、メディアからではないところでどんな発信がされているか、SNSを見るときにはそれを今もすごく大事に見ています。

【竹内】なるほど、ありがとうございます。そんな感じで、当時はRoomClipでユーザーさんと対峙し、その後しばしブランクを経て、現在定期的にお取り組みをいただいているところですね。

RoomClipを活用し続ける理由

【竹内】現在、2019年から『毎日床ピカ!大作戦』というお名前でモニターレンタルを定期的にやっていただいております。興味を持っていただいたユーザーさんに使っていただき、写真の投稿は引き続きどんどん集まり続けているところ。ルンバという名前も使わないプロジェクトをやっているんですね。この名前にこだわったことはありますか?

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【高川】2017年の当時は「ルンバって本当に使えるの?」みたいな疑問を解消したくて、いろいろ施策を一緒に作り上げていったんですけど、今は「ルンバを使ってどうなの?」といったルンバについて考えている方以外に、「床掃除を毎日したいけど忙しくて」「毎日、四六時中汚れる環境だけど掃除をずっとやっているわけにいかない」というお客様に向けてルンバという解決策がありますというアプローチをしていまして。床掃除をするアイデアをご提供しますよっていうのを伝えたいので、あえてルンバという言葉を使わずに『毎日床ピカ!大作戦』という形でやらせていただいてます。

【竹内】まず床掃除というところに関心を持ってもらってから、それに付随するプロダクトやサービスをお伝えしたいということですね。

 そのようなプロジェクトという体でユーザーさんと定常的にお付き合いしつつ、新商品リリース時にはより深いコミュニケーションを、ということもやっていらっしゃいます。これは新型ブラーバの発表会の時ですかね?

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【高川】はい、2019年9月ですね。

【竹内】ユーザー向けイベントをアイロボットジャパン様のオフィスで一緒に開催させていただき、商品の知識やブランドに対する愛着を育てていけたらというものでした。

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 ここで1つ質問させてください。メディアやSNSが数ある中でRoomClipをご利用いただいているのは、なぜでしょうか。

【高川】RoomClipさんを選ばせていただいている理由で一番大きいのは、暮らしを楽しくより良くしたいっていう方々がたくさん利用してるサービスであるという点です。あとは何よりも、ユーザーさんがRoomClipのアプリ自体を大好きで、そこを見るのも好きだし、自分で投稿するのも自分でアイテムを探すのも好きだし、コミュニケーションも取り合う環境でユーザーさん自体がRoomClipを楽しく利用されているというところで、そのポジティブな波にぜひルンバ・ブラーバも乗りたいなと想い、選ばせていただいています。

【竹内】なるほど。私たちではRoomClipを客観的な目線であんまり見られませんが、客観的に見てRoomClipはユーザーさんが、ただ自分自身を見て見てと考えているというよりも、RoomClip自体のプラットホームを意識しながら参加されてるSNSみたいなところがあるということですか?

【高川】そうですね。ルンバに関する投稿メインでRoomClipを拝見していますが、ルンバユーザーの投稿に対して「使ってどうなの?」っていう疑問を投げかけてそれに回答される様子や、コメントに「いつもご覧いただきありがとうございます」というように見る方のことを思った言葉が添えられているような、ユーザーさん同士がお互いに思い合ってるっていうのを、投稿内容を見てるとすごく感じるんです。ここのプラットホームを楽しまれている方は、それぞれの楽しみ方を持っているというのを常に感じてます。

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【竹内】なるほど、単純に発信する人それぞれの魅力やサービスの規模でなくて、ユーザー同士のコミュニケーションというところが、評価いただいているポイントということですね。

 そのような視点から企画されたマーケティング施策を定常的に続けながら、ブランドの意思をユーザーさんの中に染み渡らせた結果、生活者同士の皆さんがルンバに対する想いや発見を交換されてるコミュニティーが現状も続いているのかなとも伺えます。

生活者の投稿からブランドが読み取れること

【竹内】次に、RoomClipの中でブランドという目線で写真や投稿を見ていくとどんな発見があるか、幾つかサンプルも見ながらお話ししていきます。色んなカテゴリーに分けられます。

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 まずは、シンプルに利用シーンを知るというところ。RoomClipの中には様々な属性のユーザーさんがいらっしゃいます。例えば左のお写真だと小さなお子様がいらっしゃる家庭でキッズスペースの例。子どもが作品を作っている時はこの手前に「バーチャルウォールを貼るのがいいと気付きました」というようなコメントをされていて、子どもがいる家庭でルンバをどう利用するかという一つの発見をシェアいただいていたり。真ん中の方は一人暮らしでもルンバって役に立ちますよって話をされているんですが。ワンちゃんと暮らしていて、掃除機がけをやめてもフローリングに抜け毛がなくなってすっきりしたと話されていたり。右手は北欧ナチュラルスタイルのお住まいの家族の例ですけれども、この方の場合は暮らし方の1シーン。「自分が歯医者に行っている間にブラーバに掃除を任せる」という、どんなタイミングでそのアイテムが利用されているか、このように家庭環境とともに知ることができる。

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 投稿のコメントを深掘りすることも非常に価値があることで、写真だけで伝わってこない部分が描かれることもあるんですね。例えば左手の写真はお掃除中の写真だと思うんですが、コメントを読んでいくと全然違う印象になる。「掃除機かけられない日もルンバが代わりに掃除してくれて、帰宅後にゴミが落ちてない、そこが嬉しい」ということが書かれていたり。真ん中は、頑張っても掃除が行き届かない部分があったけれどルンバと一緒に掃除することできれいを保てるようになったみたいなお話。

【水上】この方は、ベッド下が非常に気になってたみたいなんですよね。そんなコメントがこの投稿の前後にあるんです。

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【竹内】右の方はブラーバで、「小さい」とか「音が静か」だと。こちらは掃除機と違って、自分が部屋で過ごしてる中でも静かにお掃除をしてくれるということで、「掃除のハードルが著しく下がった」というコメントをされています。写真には描かれていない、音の話とか、そういった気付きを与えてくれる。

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 また、購入報告の投稿もそれら自体が持つ価値があります。実際モニター体験して購入に至った3名の報告をご紹介します。左の方は、実際レンタルで試したら長年購入を悩んだ背中を押され、レンタルの後にラインナップにも理解が進み上位機種を買いましたと。真ん中は、モニターレンタルに奥様が参加されていた中、ご主人様がその数日後に買ってきちゃったと。ルンバがいる暮らしを別の家族をきっかけに味わって、購入に至ったというエピソードだったり。右の写真はルンバが2台、2階と1階にいる画です。面白いですね。1台はモニターで借りていて、もう1台は購入したものだそうです。モニター期間中にルンバはうちにフィットするぞっていうことに気が付かれて、返却前に購入されて、モニターを返す当日に一緒に撮影された。

【水上】いいですね。購入に至った思考のプロセスが買った報告にコメントとして載ってくるって、これから買おうか悩んでる人にとってはそれぞれが1つのいいモデルケースになる可能性がある。非常にユニークなコミュニケーションの在り方ですよね。

【竹内】そうですね。試してみた結果、上位機種のどの部分の良さが分かったとか、もしくはその家族の中でどういう位置付けになるか、誰が価値を感じてくれるのかみたいな話が、読み込んでいて面白い部分ですよね。

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 最後に、ユースケースを発見する、つまりメーカーでは気が付かなかったような使い方をユーザーから教えてもらうというといったジャンルの投稿もたくさん見つかるというところ。RoomClipでは、ルンバの置き方がいつもよく話題になっているんです。ルンバってそれなりに存在感があるので、家のどこにいてもらうかが一つテーマになるんですね。「ルンバ基地」と皆さん呼んでいるんですけど。

【水上】充電ドックを置く位置ですよね。

【竹内】そうですね。床に隙間をうまく作って、皆さん「ルンバ基地ここにしました」みたいな報告をされている。「みんなどういうふうにルンバをしまっているんだろう」というのを試行過程と共に見るのにもRoomClipは役に立ってるのかなと。

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 真ん中の例はテレビボードの下をルンバ基地にしましたという報告なんですが、左や右の写真になると、造作の棚や収納の中にルンバ専用の居場所を設えてしまっています。そういった例すらも今出てきている。

【水上】これつまり、家を建てるタイミング、リノベーションのタイミングに、もうすでにルンバ専用の居場所を作ってる感じなんですね。

【竹内】そうですね。もともとルンバ基地っていうのは、「ルンバの置き場ここにしたよ」みたいな報告だったんですけれども、いかにすっきりそれを家の中に配置するか、みたいなところの試行錯誤が進んで、だんだん一般化というか、もう家を建てる時にルンバの居場所を決める、そういう前提の変化まで今起こっているという、そういったことも知れたりするんですね。

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 色んなコメントがコミュニティーの中で育っているのが見えたと思うんですが、高川さん。RoomClipの中で出会ったユーザーのコメントや写真で、特に印象的だったものは何かございますか?

【高川】「メンテナンスをしてます」とか、先ほどご紹介いただいたような「バーチャルウォールは使ってますよ」みたいな、長期ユーザーならではの視点でルンバの機能やいいところを紹介されているものはまず記憶に残ります。あとは例えば、ブラーバのm6のモニターをさせていただいた時に特に多かったんですが、毎日ブラーバでどういう風にお掃除してますっていうのを投稿していただいたりとか、本体に関すること以外の部分。暮らしの中での様子をご紹介いただけているのは、最近ルンバ・ブラーバを検索しててすごく見受けられるなと思ってます。

 また、先ほどお話しいただいたみたいに、建築時のタイミングから基地を置こうみたいな人が、設計図をアップして「ここルンバの基地です」みたいな投稿を拝見すると、家族として迎える前提でおうちを建てていただいているのかなとすごく嬉しく拝見してます。

長期の取組で、ブランドのポジションも変化

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【竹内】コミュニティーの中で投稿はどんどん増えているという数値的な面もご紹介します。例えばこの1年半の累積投稿数が、ルンバは元々多いところからさらに150%ほど。ブラーバは270%近くに延びている。

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 こちらは累積の数字ではなく月次の変化グラフですが、ルンバ・ブラーバそれぞれのプロダクトブランドに接触しているリーチ数の推移です。ベースとなる投稿が増えていくに従って、それを目にする方々は毎月ベースアップ、上昇トレンドとなっています。投稿が積み重なる結果は、こういったところに副次的に現れてくるのかなと。

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 ただ、数字が上がっていくのは当たり前と思われる方もいらっしゃるかと。一緒にマーケティング支援しましょうって私たちも言ってやらせてもらってるものですから。ここでもう1つお伝えしておきたいのは、長期的にコミュニケーションが蓄積されていくことによって、ブランド自体の認知のポジションがRoomClipの中でどんどん変わっていくという気付きがあったことです。シンプルに言うと、写真の投稿の内容が変わっていくんです。

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 2014年から見ていきましょう。当時まだRoomClipのサービス開始初期ですが、プロダクトにフォーカスするような構図の写真が非常に多かったです。いわゆる購入報告としての投稿が中心だった。ルンバ自体がまだ珍しかったということがあるのかもしれないですけれども。

【水上】いわゆる物撮り的な構図ですよね。

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【竹内】2015年になるとちょっと引いた目線になる。ルンバ自体を知ってる方が増えてきた中で、それをどういうふうに置いたよ、どういうふうに導入してるよ、というところをみんなでシェアするみたいな。

【水上】確かに、ドックと一緒に写ってる写真がちらほらありますね。すでにルンバ基地みたいなのも左上には出てきていますね。

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【竹内】2016年にはルンバ基地みたいな考え方、ルンバを家にどう受け入れるかみたいな話題がさらに浸透しています。ルンバ自体を家の中のインフラみたいに捉える視点が進行していったのかなと。

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 2017年に進むと、逆にカメラがルンバから離れていく。

【水上】確かにルンバがどこにいるか探す感じのサイズ感になってきましたね。

【竹内】ルンバがいるこの部屋をみんな見て、と。ルンバがある程度当たり前の存在になって、これだけ写っていればルンバって分かるよねという前提なのだと思うんですけれども。

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 2018年はその傾向がより顕著になって、暮らしの風景の中にどう掃除をしているルンバがいるか、というところが定番になってきました。

【高川】コード隠す技みたいな投稿の人もいますね。

【竹内】そうですね。物を置かない暮らし、とかすっきり暮らす、というライフスタイルがトレンドになってきたところで、暮らしに入ってきた新しいアイテムとどう折り合うかというのも常々話題になっていて、ルンバを導入した後の改善ノウハウもシェアされていったのかなと思います。

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 そして2019年から現在ですが、また変化が起き始めているかなと。家族の一員みたいな存在として描かれるルンバ、みたいなところが増えている印象を受けます。また、もう一つ、ブラーバもいるみたいな。これはブランドとしての横展開に皆さん認知が進んでるのかなというところですね。

【高川】これはとても驚いてます。

【竹内】ルンバと一緒に掃除しているブラーバの様子もそうなんですけども、こういうペットや子どもといった家族と一緒にいる様子、そういうものが非常に多く見られる。

 また、下段の左から2番目の写真では「うちの家具は全部ルンバが下をくぐれるようになってます」というお話をされていて、ルンバに掃除を任せられる住環境という目線で、ルンバ基地からさらに拡張された話題も出てきているなと。

【水上】ルンバが最大限パフォーマンスを発揮できるための部屋作り、という考えが出始めてるなと思いますね。

【高川】ここにあるようなダイニングの椅子をテーブルの上に上げてルンバかけてるお写真見ると、ルンバのために人側が一工夫というのもありがたいです。

ブランドが入ることで変わる生活者の視点

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【竹内】冒頭にも投稿イベントの話をしましたけれども、マーケティング施策の関係有無を問わず、ルンバはRoomClipにもういつでも話題にされる状況になってるなというのが、すごく感じてる変化でありまして。例えば、最近の投稿イベントを2つ取り上げます。年始にやらせていただいた『わたしの暮らしを変えたもの』と、冒頭でタグランキングのトップ10も紹介した『おうち時間を快適に♪ラク家事を叶える家電』です。

【水上】これは両方ともアイロボットジャパン様の協賛イベントではなく、RoomClip主催の投稿イベントですね。

【竹内】はい、スポンサーの意図なく、RoomClipがその時々の旬の話題を集めようということで行うイベントです。

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 このようなタイミングに、暮らしのパートナーとして、ルンバやブラーバがユーザーに紹介される存在に現在なっている。「暮らしを変えたのはルンバです」、出勤前にダイニングテーブルに椅子を上げて、ルンバに掃除をしてもらうんだよと。左右の写真とも、仕事中にルンバに掃除してもらう使い方をされてるんですけれども、右手の方が「週末の過ごし方に非常にゆとりができました」と、暮らしの変化を効果として非常に実感されていて、写真では伝わらない部分としてコメントで付与されている。

 ただプロダクトを紹介するみたいな目線ではなくブランドが今RoomClipの中で存在感を持たれてるっていうのは、非常に大きなポジションの変化だと感じるところです。

【高川】どの暮らしにも、ルンバ・ブラーバがマッチしてるということが分かると、私たちの自信にもつながるのでとても嬉しいです。

【竹内】高川さんの目線で変わっていったと思うこと、もしくは狙い通りだと感じられることはなんでしょうか?

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【高川】感じるのは、ルンバはもちろん3年前4年前と比べるとどんどん成長していて、できることやきれいにできるエリアも増えたりしてるんですけど、皆さんの暮らしも生活様式や時代が変わるとともにトレンドも変わっていて、一緒に成長できていることです。毎回同じモニターレンタルのキャンペーンをやってきているんですが、得られる結果だったりユーザーさんのコメントがそれぞれ進化していて、生活の変化を感じられて、いつも新鮮な気持ちでお取り組みをさせていただいていますね。

【竹内】やはりプロダクトを見てほしいという目線よりは、ユーザーさんの中でどう使えてるかというところをどんどん拡張して伝えていきたい、というマインドがあるんですね。ブランドとして商品をどういうポジションに持ってきたいか、そしてユーザーさん自身にいかにその語り手になっていってもらうか、そこができたのがやっぱりブランドのマーケティングがうまく入った効果だったのかなと私は感じてます。

新たな取り組みへの挑戦

【竹内】最新のお取り組みを紹介させていただきたいと思います。

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 いわゆるRoomClipは写真を投稿したりコメントを交換し合うというSNSですけれども、この2020年の夏の時期に、RoomClipのSNS機能を超えてユーザーさんとコンテンツを共同で作り上げた、という事例をご紹介したいなと。

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 RoomClipのアプリをお持ちの方は立ち上げて分かりますが、ホームのトップに一番いい場所があるんです。CM動画が置けて、普段は様々なクライアント様のCMなどが流れたりもするんですけども。そちらのアイロボットジャパン様向けの動画をですね、RoomClipのユーザーさんと作ってみたらどうだろうと。個々の自宅で動画を撮影して送ってくださいと運営チームから連絡をさせていただきまして、それをRoomClipで編集したものをアプリの中でお届けしました。

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 高川さん、まず今回こういったユーザー動画制作の取り組みに至った経緯を教えていただけますか。

【高川】はい。RoomClipさんとは幾つかお取り組みさせていただいて、ルンバ・ブラーバを楽しく生活に取り入れてくださってるユーザーさんが非常に多いなと思ってましたが、やっぱり自動でお掃除してくれるっていうところが一番の特徴なので、動いているシーンをぜひ皆さんに見ていただきたい。そんな中で、提案いただいたのがユーザーさんから動画をいただいて、それを皆さんに見ていただける形でお届けするというお取り組みで、それだ!と思って実施させていただきました。

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【竹内】なるほど。実際、ユーザーさんから集まった動画を見て、何か変わった印象ってありますか?

【高川】やはり動き出すと、ルンバの動きは同じでも、そこを取り巻く家族の笑顔だったり、ペットの様子だったりみたいなところで、どういうふうに家族の中で働いているかっていうのを見られたのが嬉しかったです。あと個人的に嬉しかったのが、ルンバ・ブラーバを使われてる方に動画撮ってくれませんかとリクエストしたときに、多くの方がご協力に応じていただけるお返事があったということで。RoomClipからのオファーだから一緒に協力したいし自分の暮らしを紹介したい、というようなユーザーさんがたくさんいらっしゃるというのは、すごく嬉しい反応でした。

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【竹内】そうですね。それでは、RoomClipの通常もつSNS機能の枠組みを超えてどんな動画が出来上がったかというとこところ、ご覧いただければと思います。

動画URL:https://youtu.be/djk1mWI_YmU

【高川】ブラーバのそばでワンちゃんがくるくる回るシーン、最高にかわいいですよね。

【竹内】かわいいですよね。ユーザーがルンバ・ブラーバとどうコミュニケーションしてるかみたいなところも、動画じゃないと見えなかったのかなと思いますね。

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 数値的な結果も私から簡単にお伝えします。広告動画として流すものになりますので、実績が良い方に出るかは私たちも初めての取り組みだったので予測できなかったんですが、端的に申し上げて、通常のブランドムービーを流すより平均的に良い結果となりました。例えば、再生完了率が約2倍。そして、この動画から記事へのクリック誘導率(CTR)も通常時の約2倍でした。実績値としてもユーザー視点の動画は役に立つと実感できたところです。

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 高川さん、期待していた効果や実際の効果についていかがでしたか?何か感じたことはありますか?

【高川】お掃除に対してご興味ある人、ルンバ・ブラーバにご興味ある人は、ああいうユーザーさんの動画とか投稿を見ると「いいな、うちでも使いたいな」って思っていただけるのは当然かなと思っていたんです。でもRoomClipアプリで最も皆さんが見られるエリア、ルンバ・ブラーバのこと以外に興味ある方もたくさん見られる中で、ルンバ・ブラーバをご紹介するということに対して数値も含めて、皆さんに受け入れられたのかなっていう結果が出たのはとても嬉しいです。ルンバに興味がなくても暮らしを良くしようとか床をきれいにしたいと思ってる方々に、少し興味持っていただけたのかなと、結果をもとにちょっとだけ微笑んでました。

ブランドの今後のUGC活用は、コンテンツの
先にいるユーザーに寄り添う関係性へ

【竹内】今回の新しい取り組みの中で感じたことが、今日最後に一番お伝えしたいところでありまして。UGCと呼ばれるカテゴリーに属するソーシャルプラットホームのRoomClipですが、これまでのUGCとブランドの関係はこうだったのではと。

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 生活者が発信するコンテンツ達をブランドの方が見るソーシャルリスニングのような形で使っていただいたり、逆にそこにマーケティング施策を投下してコンテンツの発信を促進したりそれらを活用するという目線。コンテンツを中心に動かれていたかなと思うんです。でも今回の取組は、RoomClipの通常の写真やコメント投稿の枠を超えた場所でユーザーとコンテンツがクリエイトされた、ユーザーのプラットホームとしてのメリットが活かされたというのが新しい体験で。

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 つまりこれからのUGCとブランド、どう付き合っていくか。日頃発信されるコンテンツの向こう側にいるユーザーの様々な活動に対してブランドが寄り添うきっかけ作りをできるのが我々UGCのプラットホームがお役に立てるところかなと。チャネルが持つ制約にとどまる必要はなく、生活者の皆さんの発信とか暮らしを変えるきっかけを、ブランドの方は意識して提案・支援する。そこで様々な形でご一緒が可能であると感じています。

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 これは参考資料ですが、ユーザーさんがRoomClipの他に利用しているSNSのグラフです。単独でRoomClipを使うことはまれで、色んなSNSと併用されているんですね。特にインスタグラムは一般の統計と比較して併用率が非常に高い。つまり、コンテンツを発信されるユーザーさんは色んなSNSで同時に動かれてるので、その方の活動をいかに我々はRoomClipというプラットホームを通して支援させてもらうか、というところをブランドの皆さんには認知いただければと考えます。

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 今後、個々のメディアとかプラットホームの役割ってどう変わるんだろうという話題は常にあります。我々は住まいと暮らしのSNSというプラットホームが持つ理念から、生活者の発信をナラティブとして我々が紡ぎ、それをブランドに橋渡しをしていく編集者の立場として価値が提供できるのではと感じます。そういったプラットホーム自体のフィロソフィーを共有できるブランドほど、今回のアイロボットジャパン様とのお仕事のように、効果が出せる取組が可能であると。

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 高川さん、最後の質問になります。プラットホームの機能を枠組みを超えてもいいという話も今しましたが、今後、ユーザーさんとやってみたい企画、コンテンツ作り、何か思いつくところはありますか?

【高川】そうですね、一人一人の暮らしだったり、ユーザーさんとの密なやりとりができるのがRoomClipさんかなと思いますので、純粋に投稿してください、モニター企画やってますっていうような企画だけじゃなくて、もう少しユーザーさんの暮らしに寄り添えるような、ユーザーさんの声を聞きながら一緒に企画を作っていくということもぜひやっていきたいと今思っています。

【竹内】これからも、アイロボットジャパン様はもちろん、多くのブランドに色んな提案できればなと思っています。高川さん、本日はありがとうございました。皆さん、ご視聴いただきありがとうございました。

【水上】ありがとうございました。

【高川】ありがとうございました。



スピーカー
(左) ルームクリップ株式会社 セールスマーケティングチーム 竹内優
(右) ルームクリップ株式会社 セールスマーケティングチーム 水上淳史

ゲストスピーカー
(中央) アイロボットジャパン合同会社 マーケティング本部 高川弥生

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ルームクリップラボについて

生活者のみなさまの写真の投稿を中心として、住まいや暮らしの話題を提供するソーシャルプラットホーム、「RoomClip(ルームクリップ)」。ここに集まる情報を生活者のみなさまだけではなく、ビジネスにおいても役立てられればということで当社マーケティングチームがお送りしているのが「ルームクリップラボ」と称する活動です。メーカーなど各業界のブランド様向けオフライン/オンラインイベントをはじめ、さまざまな形での情報発信を行っています。