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コーポレートメンバーが語る、ROMSのこれまでと今後

沖山智彦(TOP画面右から二番目):
経営管理部部長、公認会計士
大手監査法人、M&A/コンサルティングファーム、ディープテック系VCを経て、2020年4月にROMSに入社。前職のVC時代から、ROMSのコーポレート機能の立ち上げを一から行う。現在は、コーポレート全般を主導するほか、ソフトウェア領域の製品開発も担当。二児(男児)の父。
MBTI:ISTJ-T(Turbulent Logistician、管理者型)

 今回は社員紹介ブログ第5弾です。
 これまでは、プロダクト開発を手掛ける岩田、戸塚、勝藤、Aliや事業開発をリードする阿部がプロダクトやお客様である小売業界に対する想いを書いてもらいましたが、今回は会社の屋台骨を支えるコーポレートという立場から、入社に至ったきっかけ、これまでのハードシングス、そしてROMSだからこその面白さ/ダイナミズムを、リアルな体験談をもとに、お話しできればと思います。

VCからROMSへ転職した理由

 私の場合、入社ではなく、創業期から出資を頂いているUTEC(東京大学エッジキャピタルパートナーズ)というベンチャー・キャピタルからの転籍でした。
 前々職のM&Aアドバイザリーファーム時代から「中長期的には、事業会社の経営管理全般を任せられるCFOを目指したい」と思っていました。当時、選択肢として考えていたのは、①大企業、②PE backedなどの中堅/成長企業、③スタートアップ企業の3つでしたが、その中で一番重視していたのは、「いかに様々な新しいことチャレンジできるか?」ということでした。
 その視点で考えたとき、

  • 大企業や中堅成長企業のように、すでに一定の仕組みがあり、その枠組みの中でチャレンジするか

  • それとも、創業期から一緒に仕組みを立ち上げるスタートアップでチャレンジするか

との思いに至り、「一度きりの人生なので、やはり大きなチャレンジをした方がいい!」と考え、スタートアップを目指すことになりました。
 一方で、スタートアップへの転職を考える中で、「ステージが早いがゆえに、社長や主要メンバーと価値観や方向性が合わないと、後々双方にとって不幸になるのではないか」という懸念がありました。
 「お互いをわかる一番の方法は、一緒に仕事をすることだろう」ということで、様々なご縁を頂いて、UTECに入社し、ベンチャーパートナーとして、投資担当ではなく、投資先の内部で様々なコーポレート/ファイナンス機能をサポートする業務を行っていました。
 UTECでは、5~6社ほどを支援しつつ、将来的な転籍も見据えて日々業務を行っていました。

 そのうちの1社がROMSでした。代表の前野は(いい意味で)周囲を巻き込む力がすごく、制度設計や会計/人事システムの整備、運用設計など、「会社として必要不可欠な基本的な機能」の立ち上げのほとんどを(当時は外部だった)自分に任せてもらい、時には前野と相談しながらも、主導して進めていました。
 その後、何社か転籍の話も頂く中で、最終的にROMSへの転籍を決めたのは以下のような理由でした。

  1. 裾野の広い「小売業へのソリューションの展開」という、社会的な影響が大きく、挑戦的な取り組みであること

  2. 「自動化×ロボット」という、自分のキャリアのうえで、全く取り組んだことのない新しい領域であったこと

  3. 創業期から一緒に伴走しており、何が何でも成功させたいと思ったこと

  4. なにより、一緒に仕事がしたいと思ったこと

 ROMSはハードウェアを扱う資本集約的なビジネスを行っていることから、まず資金が必要です。
 事業継続・成長のためには、全社的な経営管理が果たす役割が、他に比べても大きいのではないか、そして、個人としても挑戦的な経験ができるのではないかと考え、2019年12月に転籍を決意、2020年4月に入社しました。


担当領域 
~コーポレート全般から、製品開発まで~

 ROMSでは、以下のようなコーポレート業務全般を主に担当しています。

  1. 会計/税務:   日々の記帳、入出金管理、資産管理、各種税務申告

  2. 財務/資金調達: 資金繰り管理、事業計画策定、資金調達
    (株式/借入/助成金対応)

  3. 労務:      労務管理、入退社管理、給与計算、各種役所対応

  4. 法務/総務:   契約書レビュー、取締役会/株主総会運営、オフィス管理

 現在では、全従業員35名の上記業務を自分含め2名体制で行っていますが、昨年夏までの約3年間は、ほぼ自分1名で担当していました。
 一般的に、スタートアップのコーポレートメンバーは全従業員の10%~15%前後と言われており、手前味噌ながら、かなり効率的に運営できるような体制を構築しています。
 これは、立ち上げ初期から、前野とも相談しつつ、いかに効率的に運営するかを考えながら、システム構成を検討・運用していたことが功を奏しています。
 現在でも、上記業務の50%以上は半自動化できるよう仕組化されており、基本的な作業はチェック&レビューで完結するようにしています。
(システム構成はここでは長くなるため、別のタイミングで説明したいと思います。)

 いまでは、もう1名のメンバーに日常業務をすべて担当してもらっているため、自分は空いた時間を使って、「ネットスーパーの経営指標の見える化」や「RCS/NFCの在庫の見える化、最適化」といったロジック設計やソフトウエアの開発も担当しています。
 ROMSが提供するRCS/NFCは自動化設備であるため、ユーザーに対して適切な表示をしなければ、お客様である小売様は設備内に入っている在庫と数量が全く分からない状態になります。
 そのため、設備内の在庫量をいかにわかりやすく表示するか、売上動向を踏まえて、在庫をどうやって最適化するか、ということが日々のオペレーションを運営するためには極めて重要になります。
 上記は、すべて数値/計数の世界の話で、ある意味、経営管理を行うことと同じなので、今までの経験を生かすことができ、かつ製品開発にも貢献できるため、コーポレート全般とは違う種類の業務として、新しいチャレンジしています。


ハードシングス 
~ランウェイとの闘い~

 他方で、コーポレートが行うべき本来の業務でも様々なチャレンジがありました。
 その一つが「ランウェイ(*)をいかに延ばすか?」ということです。

(*) ランウェイとは、「企業がキャッシュ不足に陥るまでの残存期間(月数)」といい、「現金残高÷月次の支出額」で計算されます。

 シード期のコーポレートにおける最も重要な機能は、兎にも角にも、資金繰り管理と資金調達です。
 赤字のスタートアップにとって、「現金不足=死」を意味するため、採用/設備投資/資金調達の前提となる、正確な資金繰り見通しは、スタートアップにとって必要不可欠な機能です。
 当然、創業当初からROMSの資金繰り管理を自分が担当していました。

 正式入社も差し迫った2020年3月。ふと、いつも更新している資金繰り計画を見直したところ、あと3か月で現金不足になることが判明・・・
 4月に転籍を控えた自分にとっては、入社3か月で職探しの危機です。
 要因はやはりコロナです。当時のことは今でも、鮮明に覚えています。
 2020年3月15日、
  日本⇔ポーランド間での国境が封鎖され、
  ポーランドメンバーは日本に渡航することができず、
  しかも、我々が製作したRCSはポーランドに取り残されたまま・・・
 日々暗いニュースが流れ、東京都心の繁華街でも全く飲食店がやっておらず、夜間静まり返るような閑散とした雰囲気の中でオフィスに来ては、対応手段を検討する日々・・・
 打開策を前野・勝藤が中心となって検討している中、出てきたプランは、

  1. ポーランドからのRCSの空輸

  2. 日本サプライヤーによる追加改修/据え付け

  3. 部品の日本での再調達

 コストは膨らむため、ランウェイが短くなるのは当たり前です。
 当時のプランが、限られたリソースの中での最適解、ということは、いまも昔も考えに変わりはないのですが、一方で、増加するコストに対応するだけの資金側の解決策は見つからず、日に日に減っていく現金残高を見るたびに焦りを感じる日々を過ごしていました。

 そんなとき、たまたま日経新聞で、コロナ関連の緊急予算/緊急融資の話を知りました。
 見た瞬間、「これしか解決策はない!!」と思い、日々更新される支援策を読み漁りながら、関係各所に電話したり、自転車で役所に駆けずり回っていたり、文字通り、資金繰りに奔走していた毎日でした。
 幸いなことに、支えてくれるVCや金融機関を中心に、様々な皆様から協力を頂き、何とか、コロナ禍という荒波を乗り越えることができました。
 あの時、支えてくれた皆様のご恩は一生忘れないと思います。

当時の申込書別紙原本の抜粋。ほんものです。

 その後も、コーポレート側では常にランウェイとの闘いが続いています。
 一般的に、ROMSのようなディープテック/ハードウェア系スタートアップは、モノづくりという性質上、人件費以外にも、製作する原価や製品開発/設置する拠点費用が必要になるため、SaaSなどのソフトウェアに比べ、投下資金が多くなりがちです。そのため、必要な部分にはお金をかけ、不必要な部分には一切お金をかけないという規律が、極めて重要になります。

 また、投下資金が大きくなることから、VCからの株式調達のみでは足りない場合も多く、銀行からの借入、国/地方公共団体からの補助金/助成金など、様々な資金調達の選択肢を考慮に入れなければいけません。
 既にROMSでは、VC以外にも金融機関、地方公共団体等から様々な資金的な支援を頂いています。
 そういった多様な資金調達の選択肢に対して常にアンテナを張り、機会を見つけたら、まず真っ先に連絡を取る。話を聞く。事業上、少しでも親和性があれば、その事業に関与している専門家に教えてもらいながら、サポートをもらう。
 ただし、先方にもできること/できないことが双方あるので、我々としてもできることは当然の責務として全力で行う。頂いた期待に応える責務がある。
 そういった気持ちで日々業務に取り組んでいます。


ROMSだからこその面白さ/ダイナミズム 
~すべては自分事~

 この3年間を振り返ってみても、毎日本当に変化の激しい日々でした。
 コロナ禍、ポーランドとの分社化、PoC店舗「MOPU」オープン、NFCの企画/開発、渋谷でのRCS1号店の開店、ハードウェア・ロボットチームの日本での再立ち上げ、外国人メンバーの増加等々
(詳細は勝藤の記事に詳しく載っているので、そちらをご覧ください。)

 入社当初漠然と考えていた3年後の自分と、足元のいまの状況は大きく違いますが(笑)、一方で、それはそれでいいんじゃないかとも思っています。
 よく、「変化の激しい時代を生き抜くためには?」といわれますが、

  • 漫然とした不安を抱えながら与えられた仕事をこなすという日々を過ごすよりも、

  • 日々色々なことが起きる環境下に身を置き、緊張感を持ちながら、

  • いま会社/自分が置かれている環境を俯瞰し、最優先事項を見つけ、

  • その中で、自分ができること、やらなきゃいけないことを自分で考え、周囲の助けを得ながら、成し遂げていく。

 それが重要なことだと個人的に思います。
 そういったダイナミズム、面白さはROMSならではですし、今後も何が起こるかわからない、という緊張感やスリルというのを味わいながら、日々業務と向き合えるのは、自分のキャリアにとっても非常に有益な時だと考えています。
 やはり、最も重要なことは、「いかに物ごとを自分事に捉えるか?」ということだと思います。
 自分の経験でいえば、

  • コロナで渡航制限になっている中、置かれている状況をいかに自分事に捉え、解決策を導き出すか

  • 現金不足の危機をいかに自分事に捉え、アンテナを張り、行動し、周りを巻き込むか

 起きていることを一人称で捉え、何とか解決策をひねり出していく。
そういった心構えが一番重要だと思います。
 ROMSは自主性/チャレンジを是としており、会社をよくするために必要だと考えたことはどんどんチャレンジするという姿勢を非常に歓迎されています。(もちろん、反面、チャレンジすることに対する説明責任を果たすこともまた必要です。
 いま、会社に降りかかっている課題を自分事としてとらえることができているのも、そういったチャレンジ&自主性のある文化があるからこそだと思っています。


最後に

 泥臭い話ばかりでしたが、大なり小なり皆様も同じようなことを経験されていると思います。
 一つ言えることは、ROMSはまだ小所帯であり、だからこそ、それぞれが裁量をもって、日々の仕事を行うことができる。
 逆をいえば、1人1人の責任範囲が大きいため、各々が自分に規律を持って業務に取り組まないと、会社/事業としての成長が止まる。
 そういった緊張感の中で日々事業活動をしています。
 同じ1年を過ごすなら、漫然とした日々を過ごすより、緊張感と刺激があり、自分の頭で考えながら、自分事として日々の業務を行う方が、中長期的なキャリアを考えるうえでもより良い選択肢につながる、そう思っています。
 長々とお読み頂きましてありがとうございました。
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