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『職業遍歴』#26-3 「紹介予定派遣」の罠~頭の悪い派遣営業

筆者が過去に経験した「履歴書には書けない仕事(バイト含む)」を振り返るシリーズ第26弾。今回は、大手IT企業のグループ会社で社内報の編集の仕事をしていたころのお話です。

26. 社内報の編集

紹介予定派遣として大手IT企業のグループ会社で働くことになった経緯をこちらに書きました。↓

「紹介予定派遣」という制度のリスクについてこちらに書きました。↓

この会社で私がどんな仕事をしていたか、どんな環境だったかという話をこちらに書きました。↓

結論から言うと、私はこの会社の正社員にはなれませんでした。6カ月の派遣期間のあと、クビを切られることになります。が、それまでに派遣会社の営業との間にいろいろ頭にくるやりとりがあったので、今回はそれについて書いてみようと思います。

前回の記事のなかで、私が営業に派遣先の体制について相談したところ、「あなたは他責にしている」と責められたことを書きました。派遣会社の営業は基本的にはクライアント側にばかり気を遣い、スタッフに対してはそんなによくしてくれないな、とはそれまでも派遣で働いて思っていました。でも基本的に営業はスタッフをフォローするのも仕事ですし、営業のなかにはそういうフォローが上手な人もいます。しかしこの営業は違いました。

紹介予定派遣で入ったのに直接雇用にいたらず辞めることになると、派遣社員のなかには「自分の能力が足りなかったせいだ」と思い込んで落ち込む人も多いと思います。実際、派遣先も派遣会社もそういう言い方をしがちです。でもこれは間違っています。

前にも書きましたが、能力のあるなしではなく、その会社にマッチしているかどうか、という問題なのです。派遣先の求めるスキルに自分が達していなかった場合は、自分に能力がないのではなく、単にその案件が自分にマッチしていないだけです。ひとつの派遣先でそう言われて切られても、別の派遣先に行けば嘘みたいに活躍できたりします。場所を変えればいいだけなんです。

さて、最大派遣期間である6カ月がじりじり迫っているのに、私が結局どうなるかということの連絡は一向にありませんでした。ですがもう8割方ダメなんだろうな、とはわかっていました。

そのときの派遣会社はJのときから引き続いての契約だったため、私は12日間ほど有給をとれるはずでした。ですから、辞めることになるなら有給を消化させてもらう必要があります。だから9月末までの契約だったとしても、実際の最終出勤日はもっと前になるのです。仕事の引き継ぎなどもしないといけないし、最終出勤日は早めに派遣先に伝えておいたほうがいいんじゃないかと私は思いました。

それで派遣会社の営業に、そのことをメールで伝えました。ところが営業はその日有給をとっていたようで、丸一日連絡がとれませんでした。

次の日営業が派遣先にやって来ました。そしてやっぱり私は切られることになったことを話しました。そう決まっていたのならなぜもっと早く連絡してくれなかったのでしょうか。

営業は、こちらから連絡してないのに私のほうで勝手に最終出勤日を決めたことを怒っていました。有給をとることについても難色を示していました。というのは、同じ派遣会社のスタッフであるTさんが、どうやらメンタルをやられたらしくしばらく休むことになったからです。

「先方の業務に支障が出るので、Tさんが休んでいる間は出勤してください」

営業はそう言いました。つまり営業は、私に本来とれる有給をとらずにタダ働きしろと言っているのです。営業はこうも言いました。

「有給は次の派遣先でも使うことができますから」

しかし、一カ月以内に次の派遣先が決まらなければ、有給は消滅してしまいます。一カ月以内に同じ派遣会社で次の仕事が決まるとは限らないし、この営業がそれをサポートしてくれるわけでもないでしょう。営業がこの言葉を本気で言っているとしたら、あまりに現状を知らなさすぎるし、適当に言っているのだとしたら、スタッフのことをまったく考えてないということになります。いずれにせよ、私はこの営業は、論理的に物事を考えることのできない頭の悪い人なんだな、と思いました。営業にはたまにこういうタイプの人がいます。

そもそも有給は、労働者の権利です。派遣会社の営業はよく「有給をとるときは、派遣先のご都合を考えたうえで」などと言います。が、本来は労働者の好きなときに有給をとることはできるはずです。だってそれは権利だから。

と、そのような正論をこの頭の悪い営業にぶつけたところで、どうせ感情的な返答しか返ってこないでしょう。そういうやりとりはこちらも消耗します。ですので私は、申し訳なさそうな素振りをしながらこう言いました。

「申し訳ありません。てっきりそうなるのだと思ってしまい、お休みをいただこうと思っていた期間、すでに予定を入れてしまったんです。ですから、出勤することはできません」

もちろん、予定など入っていませんでした。嘘も方便というやつです。

営業は呆れたような顔をしました。が、その何倍も私のほうが呆れていました。

結局このように私が押し通したことで、私は規定の有給をとることができました。

この会社を辞めたあとは、私はツアーでモロッコに行きました。モロッコはとても素晴らしいところでした。

モロッコから帰ってきてから、また失業保険をもらいながら仕事探しをはじめました。が、なかなか見つかりませんでした。

次回は仕事がなかった期間に少しだけやっていたクラウドソーシングでのWebライターの話をしようと思います。



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