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横浜聡子「いとみち」

2022年3月大森キネカ名画座で、横浜聡子「いとみち」 原作は越谷オサム。

字幕が必要なほどにw強烈な津軽弁の女子高生(駒井蓮)がヒロイン。祖母は津軽三味線の名手で、父親(豊川悦司)は大学教授。彼女は極度のコミュ障なのに、青森唯一のメイド喫茶でバイトし始めたことで、変わって行く日常を瑞々しく描いた、令和史に残ること間違いない笑って泣いて青春映画の大傑作。

私が昨年やり残した大きな出来事の一つがこの作品を見逃してしまったこと。「この作品、多分横浜SANは好きだと思いますよ」複数の人から言われたのは監督が横浜SANだからではない(笑)津軽三味線が凄く上手なコミュ障女子高生がメイド喫茶でバイトという萌えキュン設定にあるw

観る前からハードルがダダ上がりなのに、それを上回る面白さってスゲエよ!これはひとえにヒロインの駒井蓮ちゃんの魅力によるもので、スミマセン、モロにタイプです(笑)若い頃にこういう女性と出会ってたら、もうメロメロになっていたかも。彼女の面影には当然、若かりし頃の私の嫁さんと似てる面もありw

ヒロインは青森県津軽地方の板柳町というど田舎に住んでいて、祖母は有名な津軽三味線の名手、母親は東京出身の父親と結婚したが既に死去し、父親は弘前大学文学部の教授。お嬢様育ちの彼女は成績優秀で津軽三味線も上手だけどクラスに溶け込めず孤独な少女、何とかしてあげたい!

駒井蓮ちゃんが演じる「相馬いと」という名前。♬縦の糸はあなた 横の糸はわたし♬中島みゆきの絆は劇伴に流れる訳じゃないけど、祖母、父との家族を繋ぐ縦のいと、クラスで友達もいなく孤独だった彼女がメイド喫茶で楽しい仲間と知り合ってクラスに友人も出来た横のいと、これが穏やかな優しさに充ちて隠し味として効いている。

高校生くらいの年頃って物凄く微妙で、子供じゃないけど大人でもない。社会に出て働いていれば別だけど、高校の校舎という籠の中の鳥でもがき苦しんでる子にとって、メイド喫茶とは言え(笑)そこが居心地のいい自分を唯一受け入れてくれたような場所であれば、いいじゃないか!しかも存続の危機に瀕すとあれば、得意の三味線でなんとかしたいと思うも当然!

青森の片田舎に住んでいる女子高生の蓮ちゃんは大人しそうでいて、かなり大胆なところもある女の子。壊してしまった三味線を治そうとお小遣い欲しさに求人広告見て、無謀にも津軽メイド喫茶に面接に行って可愛いから即採用!となったけど、まともに人と口がきけないキョドってる所が可愛くて、宇野祥平(←ハマり役過ぎw)を筆頭とする常連オタク軍団のアイドルになっていく日常風景の描写の時点で超おもしれえ!

蓮ちゃんがバイトする津軽メイド珈琲店の他の3人の従業員のキャラも強烈で(笑)自称永遠の22歳で実はシングルマザーの黒川芽以、漫画家志望のエースメイド横田真悠はメイド姿が似合い過ぎ(*'▽')青森にメイド喫茶は無くて「多分、こんな感じ?」想像で接客する感じが可笑しいw

津軽メイド珈琲のオーナーの古坂大魔王は怪し過ぎ(笑)店長の中島歩は城定秀夫「愛なのに」にも出ていたが、さりげなく語り掛ける柔らかな言葉の一つ一つが可笑しみを湛えた胡散臭さで、「こんな風俗店長、絶対にいるよw」と思わせる好演。要は店の人たちが全員、変人の集まりってことだw

津軽メイド珈琲店の壁に貼られているメイドの紹介写真が何度も見切れて、その度に笑えるのだ。黒川芽以が演じる「さっちゃん」横田真悠が演じる「ともちゃん」駒井蓮ちゃんが演じる相馬いとちゃんは「いとっち」でも、店で一番のスーパーアイドルは誰あろう可愛い子犬ちゃんですw

私は普段は、映画を観るに当たり事前に余計なサイドインフォメーションは排除したい方なんだけどwこの作品に関しては横浜監督もヒロインの駒井蓮も作品の舞台となっている青森出身で、祖母役の女性はリアルに津軽三味線の名手、蓮ちゃんが1年津軽三味線猛練習したエピソードだけで、もう感動で泣ける。

駒井蓮ちゃんの可愛らしさは、もう言葉で表現することなんかできません(*'ω'*)ヌッと立っているだけで何もできないメイドさん。ベイビーわるきゅーれの伊澤彩織のメイドもかなりキタコレ!状態で興奮したけど、双璧だねwメイド姿が全然似合わない女性にメイド服着せるのって背徳的な愉しみw

蓮ちゃんが津軽三味線のジュニア大会で特別賞を受賞した記念写真が、思いっきり三味線を抱えてのけぞってる「お前はパンクロッカーかよw」な姿に爆笑wなのに、それが前フリで、ホントにパンクロッカーのようにメイド+三味線のコラボでチラシでキメポーズ取る蓮ちゃん、キタコレ!

物語は、蓮ちゃん演じる女子高生の相馬いとが、学校での孤独に魔がさしてw板柳町から最寄りの弘前でなく遥々青森まで、県で唯一のメイド喫茶でバイトするために電車通勤する。

メイド喫茶の経営者は明らかに反社のヤバイ奴、同僚のメイド長とかエースメイドとか怪し気ではあるけど(笑)みんな気のいい人たちで、店長も何考えてるのかよく分からないけどイイ人だっていうのは分かる。

祖母も父親も基本的にはいとちゃんに凄く優しくて、母親がいないことは気にしているけど、祖母譲りの津軽三味線の腕はドンドン上達したし、弘前大学で文学を教えている父親の教育方針は放任主義だけど、まるでフィールドワークのように娘のいとがメイド喫茶でどんなバイトをするのか興味津々。

でも、古坂大魔王演じるオーナーの逮捕で、父親は「今すぐやめろ!」いとちゃんと喧嘩になって「そんなの、差別だよ!」反抗する彼女は、青森で大空襲があったフィールドワークの帰りにとうとう、親友と呼べる人ができた。

そして、4人しかいない津軽メイド珈琲店をなんとか存続させようと、いとは自ら「メイドが津軽三味線」のアイディアを出す。チラシを配って常連客が集まってくれて、その客席に祖母や父親や親友の姿を発見した時点で、いとも号泣するが私も号泣。

津軽三味線の腕前はそれはもう大変に上手なもので、祖母も父親も大感激で、三世代間の絆がこれでがっちりと固まる。八甲田山に父親と登るいとは、父親と一緒に人生を送ることができる幸せを心底噛みしめた、サイコーのラストだ!



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