キーストーン

会社員時代を経て個人事業者,その後、会社設立。 並行して大学院に通い、リスク認知と対処…

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会社員時代を経て個人事業者,その後、会社設立。 並行して大学院に通い、リスク認知と対処行動・貯蓄・保険加入行動等の研究。博士(政策学)。 現在、(株)資産とリスク研究所 代表取締役。

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保険の不可思議⓶

 低金利が極端に継続している。このため生命保険会社では外貨建ての保険を売ることで、問題を回避しようとしてきた部分がある。特に貯蓄性の商品として外貨建ての保険を販売している。  外貨建てなので金利が日本より相対的に高かったとしても(最近、どこも低金利になってきて、差は縮小)為替リスクがある。当然円高になれば、損失を被る可能性が高まる。 顧客への説明やアフターフォローの徹底と保険代理店手数料  こういう事柄について顧客への説明が不十分ではないかという問題意識は古くからあり、

    • 「人生100年時代」は「心配しながら一生生きる時代」の到来か

      「人生100年時代」といわれます。だったら老後は大丈夫か? これが問題になるのは自然な流れと思えます。「一億総活躍!」だけど、「年取って活躍できない私はどうなるの?」ということで、「人生100年時代」の延長線で生じた有名なドラマが「年金2000万円不足問題」でした。 65歳から30年間生きる(100歳まで5年足りないけど⁉)には「毎年60万超足りない」ので総計では「2000万円が必要である」という議論に対して「65歳までに2000万円も貯蓄などできない」から「それだけの年金を

      • 「働かないおじさん」より「働かないおじさんを批判するおじさん」の方が多いのではないか

        最近、雇用慣行や雇用形態について整理しています。そこで本題ではないですが、かなり気になる傾向があることに気づきました。すなわち世の中には「○○のおじさん」「○○の中高年」を批判したくてうずうずしている人で溢れかえっているのではないか、ということです。「批判される人」より「批判している人」の方が多いのではないか、と思えるほどです。 「働かないおじさん」を批判しているおじさん、おばさんはたくさん見ますが、「はい、わたしは働かないおじさんです」と言っている人は見たことがありません。

        • 雇用形態とリスクの話

          ジョブ型雇用導入が叫ばれ、導入企業が報道されることが多い。多くの場合、メンバーシップ型雇用といわれる日本型雇用慣行の問題と、その解決策としてジョブ型雇用が位置付けられる。メディアの一部では、ジョブ型雇用が新しい雇用形態であるかのような取り扱いさえある。ということで、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用の概要を掲載しました。興味のある方は、以下をご覧ください。

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        保険の不可思議⓶

          「働くこと」に関わる議論

          「働くこと」に関わる議論は様々あります。「働かないおっさん」「女性活躍」「不活性中高年」「非正規雇用」「転勤拒否者の増大」等々、他にもありそうです。 最近、これら「働かないおっさん」「女性活躍」「不活性中高年」「非正規雇用」「転勤拒否者の増大」等々の問題のかなりの部分を解決する策として「ジョブ型雇用」が議論されることがあるようです。そこでこの問題を議論する際のポジショニングについてまず整理したいと思います。  みていると表立って「ジョブ型雇用」を議論する人の大半は、人事の

          「働くこと」に関わる議論

          在宅ワークや在宅学習で疲れている人が増えてしまっているようだ

           もともと長時間パソコンで作業したりするのは慣れているので、大丈夫と思っていたが、どうも最近、肩こり、目の疲れその他もろもろ疲労感がある。これを年齢のせいとみることも可能であるが、それにしてもひどい。 考えてみると以前との違いはzoomを使った打ち合わせだとか、研修だとか、である。  人間が実際にあつまっていると、多人数であれば、眼は相当いろんな角度に動く。ところがzoomを使った場合、自分はノートパソコンを使っているのだが、眼が画面を見続ける。これは結構、疲れを蓄積するので

          在宅ワークや在宅学習で疲れている人が増えてしまっているようだ

          保険の不可思議

           保険料の原価は、単純にいうと「被害損失×発生率」できまる。定額型の保険(保険金・給付金が実損填補でなく定額で決まっているタイプ)の場合には「保険金・給付金×発生率」で決まる。  この理屈から考えると、発生率が増加すると、保険料は増大する。ところが保険の中には、それまで保険事故の対象になっていなかったものを追加して(追加しているから発生率は増加)保障するようにしたが、保険料は変わりません、というものがある。 今回の感染症の生命保険業界の対応がそれである。   災害関係特約と

          保険の不可思議

          リスクのとらえ方⑦リスク認知のパラドックス

          寿命の延び 1960年当時の寿命は男性65.32歳、女性70.19歳だった。2018年になるとこれが男性81.25歳 女性87.32歳。 ずいぶんと寿命が延びている。この結果最近では長生きリスクが問題になったりしている。この要因は我々を取り巻く社会や環境から様々なリスクの総量が減少した結果と言えそうだ。  100年前よりリスクは増加したと思う人が多い?  ところが人間の意識は逆に考える傾向があって、たとえばある調査を見ると「100年前に比べて現在の社会生活や日常生活の危険

          リスクのとらえ方⑦リスク認知のパラドックス

          毎日投稿と阻害リスク

          毎日投稿しようと決めて35日目である。帰りが遅くなる日が大体わかっているので、前日に下書きしたりして、続けてきた。  書く内容を決めることが出来れば、なんとかなりそう。と甘く考えていたためか、なんと朝から体調不良という阻害要因が出現。体調不良リスクを考えておくべきだった。反省。 午前中は、貧血のような感じでとても文章書けるような感じでなかったし、冷えたのかとにかく絶不調。 今はなんとか文章書ける状態に。  毎日投稿には、時間不足リスクと体調不良リスクがある。前者が生じ

          毎日投稿と阻害リスク

          話の法則

           友達と会うと冗談の言い合いになる。中高年以降になると、その中に自慢話が含まれていて、おれのほうがコレステロールが高いとか、おれのほうが老眼がひどいとか、そういう話で自慢合戦する。こういう自慢話は多分許される。私的会話だから、互いに許容している。  しかし、友達でもない人間が集まったときに、自慢話がちりばめられないと話ができないような人がいて、これは結構迷惑である。  ある状況下でどういう対応をすべきかという話をしていると、自分の過去の体験を直接語りだし、いかにすごかった

          許される「差別」のある不思議

           世の中では、なぜか正面から許される差別が存在している(と思う。私見です)。  「許されない差別」としては当然だが、人種差別や女性差別、障害者差別などが代表である。  これに対して、寄ってたかって大手マスメディアからアカデミックの一部にいたるまで、許される差別が「おっさん差別」である。  最近、少しおとなしくなったかと思っていたら、またまた出てきた。おっさんは、ネットリテラシーがなく、その事例として、職場におけるおっさんのPCリテラシーの低さ、保守的傾向などが語られる。

          許される「差別」のある不思議

          リスクのとらえ方⑥確証バイアス

           我々のリスクの認知に関する考え方の代表的なものとして「確証バイアス」がある。自分が正しいと思うと、それに合致した意見や根拠を肯定的にとらえ、反する意見や根拠を示されても否定的にしか見られない傾向を意味している。   健全な懐疑主義   この「確証バイアス」は、様々なところで検証され、ほぼ人間の認知傾向として知られている。知られているが、ここから脱するのはなかなか難しい。自分の意見や考えを検証して、それが本当に正しいかどうかを冷静に評価するというのは、精神的負荷がかかる。

          リスクのとらえ方⑥確証バイアス

          マスクを下げて顔をがしがし!

           今回のウイルス感染について、属している学会のシンポジウムがネット上であって、それを聞いていたところ、例えば常温でステンレス表面にウイルスが付着すると、感染力保持時間は7日程度、これに対してティッシュペーパーとか紙表面は3時間程度とかとの速報だった(詳細条件があるので、これ自体は目安)。 興味のある方はこちら 日本リスク学会「環境表面のウイルス除染ガイダンス」 https://www.sra-japan.jp/2019-ncov/index.php?module=blog&e

          マスクを下げて顔をがしがし!

          教える前に「難しいよ」とハードル上げる変な話

           自分はいろいろ人から教わるのが嫌いなほうではない。もちろんそのまま受け入れる場合と、検討して少し変形したり自分なりの解釈をするという当たり前のことを前提とした話ではある。  ゆっくり紐解けば自分でわかるはず  自分の場合、学習する対象とか内容について、あまり予断をもたずに、率直にまず理解することから始めるようにしている。その場合の前提というか考え方は、「ゆっくり紐解けば自分でもわかるはずだ」 ということだ。  これを言い換えると、人間みんな同じ程度なんだから(極端な天

          教える前に「難しいよ」とハードル上げる変な話

          リスクのとらえ方⑤ゼロリスク志向

           リスク(いやなことが起こる可能性(確率))は色水みたいなものである。すなわち水を注いで希釈すると小さくできるが、ゼロにはならなない。 これに対して、リスクをコインの裏表でイメージすると(つまり100か0か)、もともとリスクは「いやなこと」を対象とした事柄なので「ゼロ」が良いということにならざるを得ない。  するととてつもなく資源を投資して「ゼロ」を目指すことになるが、どこまで行っても「ゼロ」になっていないので、目指している当事者はどこかで「ごまかす」しかなくなる。 「(実は

          リスクのとらえ方⑤ゼロリスク志向

          主観的文章と客観的文章

          文章には2つのありようがある。その概念が主観的文章と客観的文章。両者は価値の高低ではなく、たんなる二つのありようを指している。  書きたい文章がどういうものなのかによって、この二つのどちらかが記述のありようとして決まってくる。 主観的文章 主観的文章は、自分が言いたいことを、客観的根拠と無関係に書く。エッセイとか小説とか、そういうたぐいである。世の中にはこの系統の文章があふれている。主観的文章の中で私が素晴らしいと思う文章類は、その書いている内容が、自分の「主

          主観的文章と客観的文章