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【三都物語】TORIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション 東京国立近代美術館
東京、パリ、ニューヨークではなく、大阪。
まず、概要
パリ、東京、大阪-それぞれ独自の文化を育んできた3都市の美術館のコレクションが集結。セーヌ川のほとりに建つパリ市立近代美術館、皇居にほど近い東京国立近代美術館、大阪市中心部に位置する大阪中之島美術館はいずれも、大都市の美術館として、豊かなモダンアートのコレクションを築いてきました。本展覧会は、そんな3館のコレクションから共通点のある作品でトリオを組み、構成するという、これまでにないユニークな展示を試みます。
というわけで、開催館の所蔵品コレクション展+他館からの借り入れ品展示というなんともカオスな状態。
面白いこと考えるな、東京国立近代美術館。
これ独自企画なのだろうか。巡回予定あるのか?
※追記:巡回予定あり もちろんホームグラウンド大阪・中之島は予定ありだった。そりゃそうよ。
ホームグラウンドが東京国立近代な私にとって常設でおなじみ「あー、これこれ!」な作品が他主要国際都市・美術館所蔵品のどのあたりと呼応してくるのか、「軸」を感じながら見ることができるのが面白い。
きっと関西方面からの方なら中之島美術館の…いや、まだ常設展示室がないからきっとこれからお馴染みの作品が生まれるのだろう。
しかし他館にこんなお宝貸している場合ちゃうで…と思えるぐらい良い物を持っていて、今回は思いっきり恩恵にあずからせていただたので感謝しかない。
市民の方の働きかけ&ニーズがあるのなら美術館の運営も変わっていくだろう。地域住民が「地元の美術館がとても良い美術品を持っているということ」の認識拡大、浸透は実はとても時間がかかるだろうし。
数年前、千葉市美の企画展で見た学芸員さんの言葉「千葉市の人はみんな上野へ見に行っちゃうんですよねw」という自虐ともとれる一文も忘れられない。
昨年夏、高松市美術館へ行った際も地元の方から「わざわざ見にくる作品あります?」と言われた事も思い出した。ありますよぅううう!と泣けた。
灯台下暗し、というのは自分の地域でもあるかもしれないので、それを学ぶ意味でも普及活動の末端は自分ができる範囲で今年度も続けていきたいものだ。
余談はこれくらいにして、私的ハイライトは各都市が所有する「コレクションのきっかけの品」と「3枚の美人画が並列した部屋」「立体作品()」の3箇所。
「コレクションのきっかけの品」
入口第一発目なんですけど。
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中 ローベル・ドローネー「《鏡台の前の裸婦(読書する女性)」(パリ)
右 安井曽太郎「金蓉」(東京)
これは純粋に感激したし面白いと思えた。
パリ市近代の所蔵品以外は見たことがある作品にもかかわらず。
美術館設立のきっかけ、になった作品として並べられた3枚の絵。
起点、なのだなと思うと感慨深かった。
パリ市近代がドローネのカード切ってきたのは、なんかいいなぁ。
出身地であり、23年のキュビズム展できていたドローネの作品名も確か「パリ市」だった。パリ市にとって重要な作家なのだろう。
ドローネ、色が好きだ。画角も正方形であるし、このままスカーフにできそう。
マティスやモネやルノアールもフランスを代表する画家だけどパリ出身ではないのだ。
「3枚の美人画が並列した部屋」
この展覧会企画が「この部屋を作りたいがため」に企画したのでは?といわれたらちょっと信じてしまいそうだ。
それぐらいインパクトと痛快さがある。入った瞬間「強っ」と言いたくなる。
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中 萬鉄五郎「裸体美人」(東京)
右 アメデオ・モディリアーニ「髪をほどいた横たわる裸婦」(大阪)
ぜひ現地で見てもらって多くの人を唸らせてほしい。
しかし、ちょっと前までは東近美の代表作カードは岸田劉生の切通の絵だったように思うがここ数年ですっかり萬鉄五郎「裸体美人」を館の代表カードに据えている気がする。
それはグッズ売り場のグッズを見てても顕著。
グッズ化しやすいか、も今後企画に左右することもあるのかもしれない。
「裸体美人」はトートバックに刺繍バッジにTシャツに…いろいろ作っている。
各美術館の「推し絵」の変遷も探ってみたら面白いのかもしれない。
「3都市の立体作品(日常生活とアート)」
様子が…おかしい。
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中奥 富井大裕「roll (27paper foldings)#15」(東京)
右 ジャン=リュック・ムレーヌ「For birds」(パリ)
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やりやがったな東近美!東京の代表に冨井さん持ってきた!
いや、たしかに日常の品だけども。
と、笑えってもらえるのだろうか。
私はひとしきり笑った。その後、昨今の東近美の客層からするとポカーンとされてしまうのではないかと勝手に心配になった。
実際、その周辺の鑑賞者の観察をしばらくしていたが海外からの観光客からだいぶ「?」を呼んでいたように思う。
キャプション無しで冨井さん彫刻はちょっと難解かも。難解に見せてるつもりがないのに、そう受け止められてしまったらもったいないな。
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しかし他言語翻訳は無し。
個人的には大歓喜のコーナーだった。
ここに冨井さんの「彫刻」だしてくる東近美はやっぱり好きだ。
これからも推す。
冨井さんの過去の活動についてはこちらを
全体を通して
導入はとてもおもしろく、ぐぐぐっと引き込まれる。しかし中盤、深堀りすることにやや息切れした?かな?という感は若干否めない。
ただ集められた絵のクオリティがすごいので、これを東京でまとめて見られるのはただお得でしかない。
・なかなか関西まで行けない方
・パリへ行ってもルーブル・オルセーで終わっちゃうわ
という方、ぜひ。
同時開催のコレクション展示はこちらに。
企画展と常設展、同日に見るご予定の方はかなり時間的ゆとりをもって行動することをお勧めする。今期は15時近くまでカフェカーが滞在しているらしいので、いつもの様に飲まず食わずで企画→常設ハシゴは避けられそうです。(それが無理で私はもう常設と企画を別の日に行くように設定しているが、それが可能な人もそう多くはないと思うので。)
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夜間開館訪問のデメリットを感じたのは初めてである。
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