MOMATコレクション/美術館の春まつり2023/修復のひみつ 東京国立近代美術館
重要文化財の秘密展の出展作品の面白さ、訳わからなさ、素晴らしさは置いておいて。
作家の男女比率が、うん、まぁ、ひどい。
上村松園さんだけ。
この国の今までを象徴してんなー、とため息を付きながら(わかりきってるけどさ)という諦めみたいな気持ち。
いや、こういうの諦めていいのだっけ?だめじゃね?
と、自問自答しながら4階のコレクション展へ足を運んだら男女の作家比率を同じにしたという記載。
東京国立近代のこういところが好きなんだよ。
「作家の性別なんて作品の善し悪しで関係ないじゃん?」
と、目を伏せたくなる気持ちもあるだろう。
見る側が女性でも、男性でも。そういうことに目を背けたくなる。
でも現状を、美術を通してなら受け入れやすい人もいるかもしれない。
提示してまず考えることから始めよう。これからは、違うと思いたい。
先日、小学生向け対話型美術鑑賞教室のボランティアに参加し野外彫刻を見て回っていた時に女子生徒から尋ねられた。
「なんで女の裸の彫刻多いの?」
なんでだろうか?なんでだろうね?
としばらく一緒に考えた。
もちろん答えは出ない。
でも彼女が何か抱いた違和感があるのならそれを大事にして欲しい。
また前置きが長くなってしまった。
重要文化財の秘密展を開催中だが関連展示も盛りだくさんのコレクション展。企画展の終わりから一生懸命4階へ誘うPOPが。
お父さん(高村光雲)が一階に展示されていたらそりゃ4階に息子(高村光太郎)の「手」が展示されるよねぇという。親子共演だ。
博物館的な展示&春休みなせいか、珍しく子供連れも多い東近美。沼へようこそ!
「手」のポーズを一生懸命真似しようと頑張っている小学生がいて笑ってしまった。
当然、我が息子2人も真似をし始める。
それね、本気でやると手ぇ攣りまっせ?
ジョージア・オキーフの花の絵も良いし、桜まつりフライヤーメインビジュルにもなったあの屏風。
なんだこれもうダミアン・ハーストより前にやってたのかぁ、とか。
いっつも盛りだくさんでへろへろになりながらたどり着く2階。
私は2階の展示が一番好み。現代よりだからというのもあるのですが。
いっつもアントニー・ゴームリーにぎょっとしつつ。
今回の2階展示室はなんといっても富井大裕氏の「ゴールドフィンガー」だろう。2011年の東京都現代美術館MOTアニュアル展で氏の作品と対峙した時にはくすくすと笑ってしまった。
その際、作家蔵となっていた作品が東近美の新所蔵品になったとは…
次男が遠目で見て「あぁ、キラキラですごいね」と言うもんだから「近づいて見てみな〜」と促した。
しばらくして目を丸くして戻ってきた。
「お母さん、あれ全部、画鋲…」
どうやって展示したのかがわかるこの動画、すごい。
しかしこの作品に値段がつくことを想像するとすごく不思議な気持ちになるのだ。
実費としては数千個の画鋲の値段が先に気になってしまう。
美術品、作品という概念においてはまた材料費とは違うとことに値段、価値というものがついてくる訳で。
一体この作品の価格はいくらなのだろうか?
レディメイドやオブジェ的な考えなら遡ればデュシャンに行き着く。
しかし富井氏は彫刻というわけで。
なんだろうコンセプチャル彫刻?コンセプチャルスカルプチャー?
修復の秘密 の部屋。
〇〇の秘密で便乗企画っぽくみせつつ、これだけで企画展開催できんじゃね?という本気度の小部屋。
所蔵作品の文字通り裏側が物理的にも知れるのでものすごく面白かった。
フォンタナの作品の裏側とか、、、すごい気になるじゃないですか。
なんと切れ目の裏側に補強があった。
あまり気にせずスパッと切った感あるじゃないですか。
なんかこうシンプルにね。
そしたら、意外と緻密というか。彼の繊細な部分を見てしまったというか。
あれぇえ?フォンタナ???となったのでした。
こういう発見があるのも楽しいなぁ、と思いながら展示室をでると目の前に冊子が置いてあります。
なんのパンフレットかな?と手にとったら
「ご寄付のお願い」でした。
「修復すごい技術でしょ?でも修復には予算が必要なので寄付できるんならヨロシクゥ!」ということでした。
導線、バッチリですね。
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