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小説は、『第4』の文章。『第1』~『第3』の文章には敵わない!

 
 この記事は、前回書いた記事の続きのようなものです。お時間がある方は下記もどうぞ。

 
 ぼくの書いている、女性ジョッキーを主人公にした小説を読んでくれるのは、おそらく競馬好きの人たちだろう。もちろん、リアルな競馬はやらないけれどゲームで競馬の世界に親しんでいる、という人もいるだろう。いずれにしても、『競馬』というギャンブル(あるいはスポーツ)に興味のある人だろう。
 
 人が小説を読むとき、自分が興味を持っているジャンルを題材にしている作品があれば、当然手に取りやすい。逆に、興味のない分野のものはよほどの話題作でなければ、敬遠するだろう。たとえば野球好きの人は、野球とクラシック音楽の小説が並んでいた場合、まず野球の小説を取るはずだ。
 
 だから多くの人に読んでもらいたい場合、たくさんの人が興味を持つ分野の小説を書くという手がある。野球やサッカーの方が、弓道やセパタクローよりもファンや視聴者、観覧者が多い。野球やサッカーの小説を書いた方が、「おっ!」と言って手に取ってもらいやすい。
 
 ぼくの小説は題材が競馬だ。小説を読む人で競馬好きと言う人が、ターゲットとなる。もちろん、競馬とは無縁な人にも読んでもらいたいと思いながら書いているけれど……。
 この、競馬という題材は、普遍度からいうとどうなのだろう。競輪や競艇、オートレースよりは多いはずだ。しかし、野球やサッカーよりは少ないと思う。そこそこ興味を持つ人が多い題材なのではないか。
 
 
 
  ぼくは、小説というものは、人が「読みたいっ!!」と思う文章の中で、『4番目』のものだと思っている。関心度の序列が、第4位なのだ。それほど悪い順序の文章なので、他人が読んでくれるのはたいへんなことだと意識している。
 
 ではどういった文章が人の気を惹きつけて、読んでもらえるのか。おそらくひとりの人間にとって興味ある文章の序列は、こうなるはずだ。
 
 まずなんといっても『1番目』は、自分自身への合格通知。これほど心ときめかせて読める文章はないだろう。何度読み返したって飽きることなく、その都度新鮮なよろこびを感じられるかもしれない。
 他にも、自分への受賞の知らせや、昇給や昇格の通知など。とにかく自分自身の評価を高めてくれる内容が書かれている文章は、読んで最も楽しいものに違いない。
 
 『2番目』は、身内へのそれだ。例えば夫の昇給や、資格試験の合格通知。自分自身へのものとは違うが、回りまわって自分自身にもいい影響がある。さらに言えば、身内といってもそれが我が子へのものだった場合、自分自身へのものを超える喜びがあるだろう。子どもの合格通知や賞状、そこまでいかなくても、いい内容の通信簿など。これらは、自分への合格通知以上のうれしさを感じる人も少なくないだろう。
 
 『3番目』は一気に関心度が落ちるだろうが、自分が関わっているものに関係する書物なのではないか。好きな趣味の読み物や、仕事や学校で研究、開発しているものの有用な資料。仲のいい友人や知人が書いて、大きな媒体に載った文章や上梓した本。いずれも、その人が強く関心を寄せる事柄の文章だ。自分に関係があるという感覚も持てる。友人のブログなども、一般書籍に比べれば稚拙な文章だが、自分に近い内容が書かれているということで興味深く読めてしまう。
 
 そしていよいよその後に、まったく赤の他人が書いた小説やエッセイなど一般的な本となる。実に、順位が『4番目』だ。
 4番目と下位なので、関心度は薄い。なぜ読むのかと言えば、多くはヒマつぶしだろう。だからこの4番目の文章は、もし読み手にとってつまらなかったとき、喜びも満足感もときめきも、なにも受けられないことになる。第1~第4の文章の中で最も読む時間を要するのもこの4番目なので、時間を損したと怒る人もいるだろう。
 
 おそらくこの関心度の順序は、普遍的なものと言っていいだろう。合格通知も小説も同じ「言葉が書いてある紙」なのだが、読み手にとって一律というわけではない。だから、そんな序列の低い小説というものを他人に読んでもらうというのはたいへんなことだ、ということをぼくは自覚しながら書いている。当然読んでもらって感謝もしています!!
 

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