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【通信制高校】先生の変容事例①リーダーシップを発揮するまでのプロセス
こちらの記事では、SELによる成果、変容の事例を紹介します。「SELによる成果、変容の全体像」は下記のnoteにまとまっています。今回の記事では、SELによる教員の変容をお伝えしていきます。
上記の「SELによる成果、変容の全体像見せます!」の記事では、生徒が変化するためには教員がとても重要な存在で、教員の在り方がポイントになるとお伝えしました。では、教員が自分らしくあるために必要なこととはどういったことでしょうか。
今回の記事では、他の先生への遠慮などが壁となりPBL×SELの場作りに自分らしさを発揮できていなかった先生が、リーダーシップを発揮できるようになるまでをご紹介します。
全国津々浦々に拠点があり、エリアに紐づいてキャンパスに通える通信制の第一学院高等学校の事例です。
第一学院高等学校は、1/1教育を理念に掲げ、全国に54キャンパスを構える通信制高校です。
「PBL&SELを活用した学びへのシフト」に取り組み始めたのは4年前。
当時はたった2つの校舎の先進的なチャレンジであったが、今では40キャンパスまでその輪が広がり、ご家族が生徒さんの成長実感の声を届けてくれるまでとなっています。
■Y先生の変容
【Before】
Y先生は、PBLに対する想いやSEL的な場づくりをする素養が元々ある方でしたが、組織の中で若手であるため、他の先生への遠慮から自分から率先してリードする立場にはなりませんでした。
【After】
Y先生自身がマイプロジェクトに取り組み、理解を深めます。その結果、PBL×SELの場を遠慮がちにつくっていたところから、周りの先生を巻き込むほどのリーダーシップを発揮できるようになりました。
リーダーシップを発揮することはそう簡単ではありません。そのため、丁寧なプロセスを踏んでいくことも大切になさっていました。
<Y先生あり方の変容プロセス>
①キャンパス内の他の先生やキャンパス長の顔色を伺いながら場をつくる
▼
②Y先生自身のマイプロジェクトに取り組み、自分自身と向き合う
▼
③場づくりや生徒がプロジェクトを進める上でリーダーシップを発揮
■Y先生の変容はどのように起こったのか
〜自分自身がマイプロジェクトに取り組み、向き合うこと〜
Y先生はPBL×SELの場づくりの担当でしたが、当初、リーダーシップは発揮しにくく、キャンパス内の他の先生やキャンパス長の顔色を見ながら場をつくっている印象がありました。それに付随し、参加している生徒もプロジェクトを立ち上げるまでには至らず、安心安全の場を感じて終わってしまうこともあり、可能性が閉じている状況がありました。
生徒の可能性をもっと広げていくことはできるのではないかという課題意識から、Y先生は「PBL×SELアプローチのマップ化」をマイプロジェクトとして取り組んでいきました。
Y先生は、PBL×SELの生徒の変化プロセス、成長度マップのイメージはあったものの、なかなか一人称(自分の中の課題に取り組む)から二人称(自分と特定の他者との関係性の中にある課題に取り組む)に進んでいかないという課題を持っていました。どうやったら二人称にいくのか漠然としたイメージはあったものの把握し切れていなかったのです。
そこで、rok youメンバーが壁打ちとなり、「PBL×SELアプローチをマップ化する」というプロジェクトを実施。階層化と要素分解をして、順番を可視化していきました。
結果として、可視化した図はY先生にとっての道標となりました。曖昧だった成長ステップを、明確化し把握することができたので、PBL×SELの場をそれまで遠慮がちにつくっていたことが嘘のように、周りの先生を巻き込むほどのリーダーシップを発揮できるようになったのです。
もちろん生徒に対しても、「Aさんはこの段階にいるからこういうアプローチをしよう」と自信を持ってサポートすることができるようになりました。
また、「PBL×SELアプローチのマップ」はY先生のみならず、Y先生の所属するキャンパス全体の共通の道標にもなりました。ナレッジシェア会/成果発表会を行った際には、他の先生からも「刺激を受けた」という声が相次いだのです。
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■なぜこのアプローチを行ったのか
![](https://assets.st-note.com/img/1654351084368-0SW6zX3C3w.png?width=800)
当時、Y先生は自分が率先してリードする立場となることや場をつくることに対して、キャンパス内の他の先生やキャンパス長への遠慮、顔色を見るという癖がありました。
これを上記図の「教員マインドセット変容ステップ」と照らし合わせると、Y先生自身が「ジャッジされない」ことを体感できていない状態にあったと推測できます。
そのため、「ジャッジされない」ことを体感覚として理解し、「自分の感情や思考を表現」できるようになるためのアプローチを行いました。
表現しても大丈夫だと心理的な安全を感じてもらうことでリーダーシップを発揮できるようになり、生徒に対しても自信を持って接しているようです。
■rokuyouの関わり
<rokuyouのアプローチ>
・Y先生自身が違和感を覚えていること、生徒にこうなってほしいと思っていることを、自分の言葉で語ることを促した
・Y先生のマイプロジェクトについての壁打ち相手となり、伴走をした
roku youが行った2つの項目について詳細をお伝えします。
1. Y先生自身が違和感を覚えていること、生徒にこうなってほしいと思っていることを、自分の言葉で語ることを促した
Y先生は、キャンパス長の顔色を伺ったり「キャンパス長の言っていることと違うことを言ってはいけない」というメンタルモデルがありました。そのため、まずはノンジャッジメンタルに自分が感じていることや課題に感じていることを言葉にしてもらい、出てきた言葉に対して「共感」しました。共感されることで、Y先生は「自分が思っていることはもしかしたら何かに繋がるかもしれない、良い方向に向かうかもしれないと」自信を持つことができるようになっていきました。
振り返ると、Y先生は、人間としての自尊心が低かったわけではなく、若手で経験が浅いことから「教員」としての自尊心を十分に育てきれていない状態でした。そこで、思っていることを言葉にしてもらい、共感していくことを大切にしたのです。
2. マイプロジェクトの壁打ち、伴奏
自信がついてきてからは、Y先生と一緒に次の目標を明確にセッティングしました。そうすると「PBL×SELアプローチのマップ化」というプロジェクトが出てきました。
Y先生は意欲や能力があり、課題意識も持っている方だったため、すでに素材は揃っているような状態でした。しかし、「まとまっていない」「自分の中で肯定できていない」「納得できていない」「自信がない」ために表現できていなかったのです。
そのため、roku youが手取り足取り支援をしたというよりは、「いいね! そのまま頑張りましょう!」と背中を押していったというイメージでした。
組織の中で、若手や役職が下の方々は、上長の顔色を伺ったり、組織の文化に馴染もうとポテンシャルを発揮しきれていなかったりするケースは多いものです。そうした組織の課題を解決するには、ノンジャッジメンタルな土壌をつくることです。これにより、新たな良い取り組みが生まれやすくなります。そして、ポテンシャルを発揮できた先生自身は、生徒にもノンジャッジメンタルに接することができるようになります。つまり、自分がされた関わりを生徒にもできるようになるというとても良い循環が生まれるのです。
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