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SELが育む5つの力とは? ーrokuyou代表下向依梨著『世界標準のSEL教育のすすめ 「切りひらく力」を育む親子習慣 学力だけで幸せになれるのか?』よりー

rokuyou代表下向依梨の新著『世界標準のSEL教育のすすめ 「切りひらく力」を育む親子習慣 学力だけで幸せになれるのか?』が小学館様より発売になりました。本書では、日頃お伝えをさせていただいているSELについて改めて体系的にまとめておりますので、noteでもその一部をお届けさせていただきます。
また、本書をお手に取ってくださった皆様、誠にありがとうございます! ぜひ、Amazonなどにレビューをお寄せいただけますと幸いです。


SELは学びの土台をつくる

SELとは の略称で、日本語で「社会性と情動の学び」と訳されます。この学びは「 (ソーシャル)」と「 (エモーショナル)」というふたつの要素から構成されています。

「ソーシャル」は、人と良好な関係を築くための社会的能力を指します。一般的にソーシャルスキルとも呼ばれるものです。

「エモーショナル」は、自分自身の感情や考えに気づき、また他者の状態を理解し、それに適切に対応する能力を意味します。これらの能力を伸ばすことが、SELの目的です。

私たちはSELを「必要な学びに向かうための環境や土台をつくるもの」と定義しています。これは、個人や学校が達成したいさまざまな目標に向けて、助けとなる土台を醸成することを意味します。

「必要な学び」は、人によって異なります。例えば、中学受験に向けた勉強が必要な家庭もあれば、何度も繰り返してしまう忘れ物を防ぐ学びが必要な家庭もあるでしょう。

必要な学びは人それぞれですが、どんな学びにも豊かな土壌が必要です。SELはこのような学びの土壌を耕し、人の成長の基盤となります。

さらに、SELは学校や家庭での学びだけでなく、人が学びと成長に主体的に向かう姿勢を育むことも重要な役割としています。これは、子どもたちが将来、社会で自立して生きていくための基盤をつくるアプローチなのです。豊かな土壌があれば、豊かな人が育ちます。

SELは各個人の潜在能力を引き出し、自分を大切にしながら自信をもって前進する子どもを育てるのです。

POINT
SELは必要な学びのための土壌づくりを行う

自己理解や意思決定力など5つの力が高まる

SELは、主に5つの能力を育むアプローチです。
これらの能力をひとつずつ見ていきましょう。

・自分への気づきを深める能力
自分がどんなときにどのような感情や考えを持つのかを理解することです。また、自分 が何を望んでいるのか、何を目指したいのかなど、これから向かっていきたい方向に自覚的になる力も含まれます。

・自分の感情とうまく付き合う能力
自分の気持ちや状態に気づき、その感情や思考とうまく付き合う能力です。最近では、アンガーマネジメントという言葉がよく知られるようになりました。ストレスマネジメントや自らを律する力、自分をモチベートする能力なども含まれます。

・他者への気づきを深める力(共感力)
多様な他者の内面で起きていることを理解し、共感する力です。他者の立場や境遇を想像する力、多様性に対する深い理解、他者を尊重する力などのことです。

・他者と良好な関係を築く対人関係力(社会スキル)
相手の背景も含めて傾聴し、対話する力です。他者との間に生じた課題を解決し、ときには他者の不適切な言動を注意する力も含まれます。対立した際の交渉力や必要に応じて他者を助ける力、チームワークなども該当します。

・責任ある意思決定ができる力(意思決定力)
責任をもって意思決定する力のことです。適切な選択をする力や、自らの行動が招いた結果に対して責任を的確にとらえる力といえるでしょう。

こうした5つの力を統合的に育み、発揮していくことが、必要な学びに向かい、環境によって生じる心の課題を解決していくことにつながるのです。

POINT
SELでは5つの力が統合的に育まれ、必要な学びや心の課題解決に向かっていく

主体性は気づくことから生まれる

SELによって育まれる5つの能力は、「切りひらく力」を伸ばすカギとなるものです。

私たちは予測が難しく、変化の激しい時代に生きています。このような時代に必要なのは、自分の描くビジョンに向かって道を切りひらき、柔軟に対応しながら実現する力です。

この力には主体性が不可欠です。主体性があるからこそ、「この道を歩みたい」と自分で進むべき道を描き、それを実現するためのエネルギーが生まれます。

実は、主体性の出発点は、「気づくこと」です。SELは、この気づく能力を深めることに重点を置いています。

「気づくこと」と聞くと、なんだそんなことかと感じるかもしれません。これは、自身の感情や好み、「快・不快」を感じ取ることからはじまり、「私はあちらではなく、こちらがいい」と自分が求めているほうを選び取れることを指します。

この能力には尊重される環境が必要です。「こちらがいい」と選んだところで、採用されなければ、自分の意志に気づくことの意義を見いだせなくなります。それどころか、心と現実のギャップが生じて苦しくなるので、なるべく自分の内面に目を向けないようにしようという力が働くことすらあります。

選択をして、それを表現し、認められることを繰り返すことで、主体性は強化されていきます。

この経験が自信を育て、「自分ならできる」「きっとうまくいく」という自分への信頼につながります。人は「この壁を越えたら、素晴らしい景色が広がる」と信じられるときに、どんな困難も乗り越えようと努力します。

つまり、挑戦には「実現できる」という自分への自信が必要です。自信がなければ、「どうせうまくいかない」と感じてしまい、自分の可能性を信じて挑戦することはできません。主体性を発揮する経験を通じて自信が育ち、それが主体性を一層強化します。

「切りひらく力」とは、自分への信頼を根底に、主体性と自信が結びついた強力なものです。日々の生活の中で、子どもが自分の感情や意見を表現する機会を増やし、それを真摯に受け止めることで、子どもの自信と主体性を育てることができます。

子どもたちが自分自身の道を切りひらく力を身につけるために、親としてサポートすることが非常に重要です。

POINT
自分で意思決定をしなければ、自分自身の道を切りひらくことはできない

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本書には、「切りひらく力」を育むためのSELの具体的なワークや子どものお悩み別の処方箋も掲載しています。ぜひ、お手にとってご覧ください!

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【イベントのお知らせ】

8月24日(土) 11:00~12:00
「ビリギャル」こと、小林さやかさんと下向依梨のオンライン対談イベントを開催します。お時間になりましたら、どなたでも「DIME編集部」のX(旧twitter)のアカウントからお聞きいただくことができます。
たくさんの方のご参加お待ちしております!

▶︎XのDIME編集部アカウント

【「はじめに」もあわせてご覧ください】


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