【通信制高校】先生の変容事例③教員自身の腹落ちが"らしさ"を発揮する鍵!?
今回の記事では、SELに対する疑問や取り組みへの不安を感じていた先生が、自信を持って活動をキャンパス全体に浸透させていくまでの過程をご紹介します。
全国津々浦々にキャンパスがあり、自身の住む地域にあるキャンパスに通うことができる通信制の学校・第一学院高等学校の先生の変容事例を解説します。
■S先生の変容
【Before】
S先生(研修参加当時キャンパス長)は、「PBLやSELが今後必要になるだろうと感じているものの、どのようなものなのか実態を掴めていない」という思いを抱えていました。そのため、きちんとと理解をし、キャンパスに浸透させることができるのか多少の不安を持っていました。
【After】
roku youは第一学院高等学校と、リトリートからPBL×SELのカリキュラム化までをご一緒しています。生徒とともにマイプロジェクト(身近な課題や関心をプロジェクトのテーマとし、調べ、実行することを通して学ぶ、 探究型学習プログラム)を体験する中で、PBLが学びとして有効で、かつ非常に楽しいものであることを先生方が実感的に理解し、今では自信をもって、PBL×SELの取り組みをキャンパスに浸透させています。
■S先生の変容はどのように起こったのか
〜マイプロジェクト、SELについての認識の変化〜
導入当初、SEL×PBLに対しての疑問と取り組みへの不安があったS先生ですが、マイプロジェクトの実践を通して、S先生の中でのマイプロジェクトやSELについての認識の変化がありました。
下記のプロセスでマイプロジェクトを立ち上げていきました。
■ステップ1
「Will Can Needシート」に、「自分の大切にしたい価値観・やりたいこと」(Will)と「得意・できる・好き」(Can)、「気になること・繋がりのある人の困りごと」(Need)を整理して書き出します。
この中で、S先生は 「Can」 と 「Need」 に特徴を持っていらっしゃいました。
■ステップ2
「Will Can Needシート」での整理を俯瞰しながら、プロジェクトのアイデアを出していきます。
「Will」「Can」「 Need」に記入する素材は自身で内省し深めながらアウトプットしていきます。そこから、テーマを出し、プロジェクトをつくるのはグループで行います。具体的には、「アイディア会議」を開き、メンバー間で意見や思いを出し合いながら、アイディアを練り上げていきます。その過程を経ることで、一人では思いつかないような、創造的なアイデアへと昇華していくことができます。rokuyouメンバーも、アイディア会議に参加し、先生方と一緒にプロジェクトのアイデアを提案させていただきました。
■ステップ3
最後に出てきたアイディアを整理していきます。出てきたアイデアの中から、「自分がやってみたい」と思うものを1つ選択します。周りの声よりも、自分の気持ちを優先して、自分が「やりたい」と思うものを選ぶことが大切です。
S先生はキャンパスにおいて、意思決定や判断、選択をするような立場にありました。また、ご自身の中で意思決定の重要性を日々感じていらっしゃったので、「意思決定術」「戦略」を「Need」と掛け合わせて、生徒向けに「野球からわかる意思決定塾」というプロジェクトを立ち上げました。
S先生自身が好きなことに邁進できていたため、前向きな心の動き(好き・ワクワク・楽しい)を生徒と共有しつつ、学びがある場となっていました。
S先生の「Can」を軸としたマイプロジェクトとなり、先生も生徒も夢中になってプロジェクトに打ち込むことができました。
自分の好きなことを活かし、気になる生徒のためのマイプロジェクトを実施したことで、PBLが非常に楽しいものであるということが体感的に掴みとることができました。S先生は、今では自信をもって、PBL×SELを他の先生方にも共有し、キャンパス全体に浸透する役割を担っています。
■なぜこのアプローチを行ったのか
これを上記図の「教員マインドセット変容ステップ」と照らし合わせると、「自分の中の感情や思考に気づく余白/余裕」は生まれていたものの、SEL×PBLに対しての疑問と取り組みへの不安は拭いきれずにいたことがわかります。疑問や不安を解消できずにいたため、表現することをためらっていたと推測できます。
S先生自身がマイプロジェクトを実践することで、PBLが非常に楽しいものであるということを体感し、疑問や不安を解消できたことにより、自信をもってPBL×SELを他の先生方にも共有し、キャンパス全体に浸透させていくことができました。
■rokuyouの関わり
PBLが非常に楽しいものだと理解するきっかけになるようなプロジェクトアイデアをアイデア会議の際に提案させていただきました。
マイプロジェクトを何度か経験して、アイデアを出すことに慣れているケースでは、このような関わりは必要ないかもしれません。しかし、アイデアを出すブレインストーミングのような経験が少なかったり、自分でプロジェクトをつくることが初めてだったりする場合には、アイデア会議へのアプローチは不可欠となります。
すぐにプロジェクトを決めるのではなく、アイデアを他の人からいくつか提案してもらうことにより選択肢を広げ、その中から「これはいいかもしれない」と心動かされて選ぶ過程も有効でしょう。
新たな取り組みを始める際には、疑問や不安はつきものです。頭で考えてわからないことも、怖がらずに実践してみることで、新しく見えてくることもあります。
また、あなたが感じているその疑問や不安は、実はみんなが感じていることかもしれません。その思いを素直に周囲の人に話してみることも取り組みを前進させる第一歩となります。
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