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大きな組織だからこそ情報伝達は重要

[要旨]

みずほ銀行のATM障害の発生に関し、同行の頭取は、社内からではなく、発生後、3時間以上経ってから、ネットニュースで知ることになりました。このことは、対応策を遅らせ、被害を大きくすることになりました。このような情報伝達体制の整備の巧拙は、経営者の管理能力が問われる、重要なポイントです。


[本文]

みずほ銀行が、2月28日に起こしたATMの障害について、日経ビジネスが、「午前10時ごろに発生したATM障害を、藤原弘治頭取は、午後1時半ごろ、ネットのニュースで知り、すぐに関係部署に問い合わせ、対策に走った」と報じていました。私は、これを読んだとき、既視感を感じました。というのは、令和元年9月30日に行われた、当時の日本郵政社長の長門正貢氏が、かんぽ生命の不適切販売に関する記者会見でお話しされた内容のことです。

かんぽ生命の不適切販売については、日本放送協会が、平成30年4月に、それに関する内容を、報道番組で放送をしたのですが、放送当時、それを見た長門さんは、内容が一方的過ぎると感じたそうです。しかし、その後、不適切販売の実態が明るみになっていったわけですが、令和元年9月30日の記者会見の前日、その放送を、再度、見た長門さんは、「今となっては、放送された通りだった」と述べています。

そして、藤原頭取も、長門前社長も、自社で起きた問題を、社外から知ることになったという点では共通しています。大きな組織では、事業の現場で起きていることが、経営者層にはなかなか届きにくいということは、理解に難くありません。しかし、大きな会社だからこそ、そのような情報の遮断が起きないよう、対策をとっておくべきだと、私は考えています。

繰り返しになりますが、大きな組織では、情報が伝わりにくいからこそ、重大なことはすぐに経営者の耳に入るように、あらかじめ対策を講じておかなければならないということでしょう。ちなみに、メガバンクは3つありますが、みずほ銀行以外では、重大な障害は、あまり起きていません。すなわち、みずほ銀行とほかの銀行では、経営者の管理能力に差が生じているということだと思います。

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