粉飾回避のために月次で業績を把握する
[要旨]
中小企業が粉飾を行うきっかけは、予想外に業績が悪化したことを、事後的に、経営者が知ることであることが多いようです。そこで、毎月中旬までに、前月の月次試算表を作成し、業績悪化の兆候を、早めに把握することが、粉飾を避けるための有効な手段となります。
[本文]
今回も、「なぜ倒産-令和・粉飾編-破綻18社に学ぶ失敗の法則」を読んで、私が気づいたことについて述べます。前回は、業績があまりよくない会社は、希に、銀行から粉飾の後押しをされることがありますが、だからといって、粉飾を行うとは、基本的に自社の責任になることから、銀行から暗に打診されても応じてはならないということを書きました。今回は、粉飾を避けるにはどうすればよいかということについて説明したいと思います。
粉飾を行わないですますための、最も確実な方法は、業績を高めることです。(業績がよいときは、場合によっては、納税額を減らすために、「逆の意味での粉飾」をすることもあるようですが…)このことは当たり前過ぎるので、業績があまりよくないときはどうすればよいのかというと、そのひとつは、毎月、業績を確認することです。
粉飾を行うきっかけとなるのは、予想外に業績が悪化したことが分かったことが多いので、毎月、業績を把握していれば、赤字の傾向が出た場合に、それをすぐに把握することができ、また、早めの対策を実施することもできます。もうひとつは、銀行との信頼関係を強めることです。これについては、たくさんの方法がありますが、最も容易な方法は、毎月、中旬までに、前月の自社の月次試算表を、銀行に持参するか、または、郵送することです。
業況があまりよくなくても、また、直ちに業況の改善策を講じることができない状況であっても、毎月、月次試算表を銀行に送ることは、自社に事業の改善意欲があることを銀行に示すことができます。また、毎月、月次試算表が送られてくれば、それを受け取った銀行も、その会社から銀行が頼りにされていると受け止め、ましてや、「粉飾の後押し」をしようとすることもないでしょう。ただ、翌月中旬までに月次試算表を作成している会社は、中小企業では、あまり多くないといようであり、私も残念に感じています。
2022/7/20 No.2044
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?