わたしはシャンプーマン【エッセイ】創作大賞2024、エッセイ部門
➖わたしはシャンプーマン➖
お客様をお通しする。無駄な話はしない。只々癒していく……わたしはシャンプーマン。
ただひたすらに、寡黙に、それが正しいという訳ではない。シャンプーマンの中には、お客様とお話しをして会話を楽しむ者もいるだろう。それを否定するわけではない。だが、わたしに言わせればそれは邪道だ。
シャンプーは「究極の癒し」。自身の爪を極限まで切り詰め、お客様の皮膚を傷付ける事が無いように、細心の注意を払う。
指の第一関節を曲げて、指の腹の部分で頭皮を擦る。爪