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わたしはシャンプーマン【エッセイ】〜天気と馬鹿なシャンプーマン〜

➖天気と馬鹿なシャンプーマン➖

暑い夏が続きますね。

しかし、急な天候の変化にも驚かされます。晴れていたかと思えば、突然の大雨。

曇ってるなぁ、と思ってたら信じられないくらいの快晴に、これは人の気持ちと一緒だな、と思わずにはいられない。

しかし、晴れの日に気分がいいのなら、この変わりやすい天気だと情緒が不安定になる人も多いのではないですか?

かくいうわたしもその一人。

雲ひとつない青空の時は、うっわぁ……晴れてる……。

小雨くらいの時は、ホッとする……あれ?みんなと違います?

ベストコンディションは、雲間から少し青空が覗くくらいがちょうどいい。

雨が降りそうで降らないくらいがちょうどいい……これって心理的に大丈夫?

前置きが長くなってますが、天気ってけっこう気になっちゃいますよね。

美容室に来られたお客様と、必ずと言っていいほどする会話。

「今日も暑いですねぇ」「昨日の雨すごかったですねぇ、大丈夫でした?」

お決まりといえば、お決まり。

しかし、こういう会話から取り返しのつかないことってあるんですよ。

ちゃんと考えてから発言すればよかったものの、いろいろな偶然が重なり、お客様を傷つけてしまったのです。

 男性のお客様は薄毛に敏感です……

 わたしが、迂闊だったのです……

 デリケートな部分なんです……

その日の天気は変わりやすく、ついつい、外を見ては雨だな、晴れだな…、と心も移ろう。

シャンプー後のお客様の頭皮に育毛剤を付けたわたしは、超振動する育毛機を手にし、いざ施術に入るところでした。

 それはまさに育毛のメニューの最中だった。

雨雲から日差しが差し込み、急な雨が嘘のように晴れ渡ったのです。

 バカなわたしの何気ない一言だった……

「あっ……晴れてきましたね!」

「え?そうなの?……そっかぁ……ダメかぁ……」

「嫌なんですか?」

「え?嫌でしょ……普通」

「へぇ……普通は嫌なんですね」

「いやいや……嫌に決まってるじゃん!」

「わたしは、これくらいが好きですよ」

「そ……そう?君、変わってるね」

「へへ、よく言われます」

「でも、マニアック過ぎでしょ、ハゲてきてる頭が好きなんて!」

「へっ……ハゲ?」

なに〜!「晴れてきた」と言ったのに「ハゲてきた」と勘違いされてるだと!

 とんでもなく失礼なことを……どうする!

「晴れてきた」と言ったんですよぉ〜と可愛いく言って許してもらうか……それとも、そうなんですよ!ちょっと頭皮が透けてるくらいがカッコいいかなぁ、って少し乗っかってみたりして、ハゲてきている頭が好きな少しマニアックな女として、そのままそれを受け入れるか……くっ……どうする……わたし……どっちが正解なんだ!とテンパりながらも瞬間的にいろいろ考えちゃう、馬鹿なシャンプーマン!

そりゃ前者だろ!何を受け入れようとしてんだ!

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