何にでも愛着がわくスペイン語

こんにちは、いとさんです。

私が最初にスペイン語に興味を持つきっかけになったのはプロレスでした。新日本プロレスが大好きで度々試合会場を訪れましたが、中でも毎年冬に行われるファンタスティカマニアがお気に入りでした。

メキシコのプロレス、ルチャ・リブレ(lucha libre)。そこで活躍する有名なルチャドールたち(luchadores)が来日して行われるシーズンです。彼らのプロレスは、新日本プロレスのものと一味違います。割と小柄な体型をしている彼らはそれを生かして、まるで新体操のようにヒョンヒョン飛び回って戦うのです。もはやリングがトランポリン状態。あっちからもこっちからもどこからでも飛び技を繰り出す姿にすっかり魅了されました。

彼らがSNSや試合後インタビューで発する言葉を理解しようと、さっそく意気込んでスペイン語の参考書を買いました。しかし学生時代に学んだはずの英語すらも満足に話せない私にとって、他言語とは全く理解が追いつかない代物であり、間も無くその参考書は本棚にちんと飾られることになります。

アルゼンチンでは語学学校へ通うことも考えましたが、どれも住んでいる場所から遠かったので諦めました。しかし住んでいれば何とかなるだろう。いつも通り根拠のないお気楽な考えでおりましたら、これがなかなか何ともならないのでした。

私をまず悩ませたのはdiminutivoです。色んな名詞の後ろにくっついてくるあの厄介なやつです。猫を例にしましょう。

Gato  猫
Gatito 子猫、ねこちゃん

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主に物が小さいことを表すために使われるdiminutivoですけれど、親しみを込めて言うときにも使われます。なので、道端で見かけたどう見ても子猫サイズではない成猫に対してもGatitoと言うことがあります。ちなみにガティートと発音します。

そしてこの親しみを込めた言い方は、日常の些細な物へも使われます。”Querés  pancito?”と聞かれて、相手が手にパンを持っていなければ、「パン欲しい?」と訊ねられているとは気づきません。diminutivoに慣れていないと、それが新しい単語に聞こえるのです。

また、diminutivo は名前にも使われます。アルゼンチンの有名な大統領夫人エビータは、本名をエヴァ・ペロンと言いましたが、人々は親しみを込めエビータと呼んだのです。

Diminutivoと相対して、物が大きい様子を表すAumentativoがあります。tema(歌、曲)にくっつくと、temazo“素晴らしい曲、大ヒットした曲”という意味合いになるらしく、ラジオで自分の好きなヒット曲が流れると、”temazo!”と言って喜んで音量を上げるのです。単に個人が好きなだけでなくて誰もが知っているようなヒット曲であるという性質も兼ね備えていなければtemazoにならないのだと私は理解しています。

そしてamigo(友達)にくっつくとamigote。姿形が大きい友達という意味ではなく、自分の気持ちをより大きく寄せている相手、言ってみれば親友を意味していると私は解釈しています。しかし「親友」と言うのであれば、gran amigoやbuen amigoなど他にも表現方法があります。日本語でも単なる友達ではない場合、戦友、悪友、盟友、学友などと呼び分けますのでスペイン語にもそれぞれ違ったニュアンスがあるでしょうから、これからまた理解を深めていかなければなりません。

この厄介なdiminutivoやaumentativoに翻弄されながらスペイン語の世界観に浸っておりますと、僅かではありますけれど、耳が慣れてきたようです。音の違いと言いますか、リズムがdiminutivoだと気づかせてくれるようになったのではないかと思います。

思ってるだけです。

いとさん



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