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悲惨!見せかけの「働き方改革」|迷想日誌

働き方改革が本格化していますが、「労働新聞」6月3日号1面によりますと、水面下でとんでもないことが起きています。

働き方改革のしわ寄せを中小・零細の下請企業に押し付けているケースがみられるというのです。
このため、厚生労働省・公正取引委員会・中小企業庁が連携して阻止しようとしています。

要するに、大手・親企業内で「働き方改革」と称して、自社社員の長時間労働の是正や賃金引上げを行っている裏で、下請企業とその社員がその分苦しんでいるという実態があるといっています。

たとえば、建設工事の元方事業者による工期設定が短いため、機械器具を自社工場で製造し工事現場に設置するまでの期間が短くなっていることが原因で、複数の労働者に月100時間を超える長時間労働が生じたなどです。

元請企業が、労働時間を短縮して工期設定を短くし、併せて効率化を図ろうと考えるのはごく普通といえますが、機械などを納入する下請企業の実情を顧みず発注を行えば、人員増などの対応ができずに特定の社員の負担が過労死レベルまで増大するというわけです。

元請企業の社員の負担が、単に下請会社の社員に移動しただけなら、果たして「働き方改革」といえるのでしょうか。
全体としては、差引きゼロであって、とても「働き方改革」と呼べるものではありません。

しかし、大手・親企業を一方的に非難できないのも事実です。日本はこの20年余り経済規模がほとんど拡大していないからです。
拡大していなければ、誰かの利益は他の誰かの負担となるのは当然です。つまり、パイの取合いです。

本当の働き方改革を実現するには、やはり年2%程度の経済規模拡大が必要でしょう。
20年以上も厳しいデフレ状態にあるのは、世界歴史上、唯一日本だけといわれています。
結果をみれば、これまでの経済政策が破綻しているとしかいいようがありません。
経済が成長していないのに、働き方改革で労働条件を引き上げるなど、そもそも困難かもしれません。

労働新聞編集長 箱田 尊文


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