見出し画像

2022J1第31節 名古屋グランパスvs横浜F・マリノス プレビュー 〜The Theory of Probability~

大学院生の赤松先輩と20歳の青人は同じフットサルサークルの先輩後輩。マリサポの同志である2人は、会うといつもマリノスの話をする。

【プロローグ】


青人:
さて、今季も残り5試合ですが。

赤松:
いよいよここまで来たよな。

青人:
2位川崎とは勝ち点5差で首位です。

赤松:
このままいきたいな。

青人:
残りの対戦相手は、ボトムハーフのチームがかなり多いですね。

①名古屋(10位)
②G大阪(17位)
③磐田(18位)
④浦和(9位)
⑤神戸(13位)

赤松:
順位的には楽勝とも捉えられるけど、逆にこの時期は違った難しさがあるからね。

青人:
死に物狂いで勝ち点を拾いに来ますからねぇ。

赤松:
よく思うけど、目先の試合の結果に順位表は関係ないんだよね。
順位表は、これまでの積み重ねに過ぎないから。

青人:
特にこのリーグは世界でも類を見ないほどに実力が拮抗していますし。
そして今回の相手は名古屋です。

赤松:
最近の対戦成績見てると、ホームで川崎、広島を相手にドローなんだよね。

青人:
そうなんですよ!相変わらず守備が堅い!

赤松:
この切羽詰まった状況で対戦するのはあまり好まない相手だねw

青人:
上位陣相手にちゃんと勝ち点拾っているんですよね。今回もなかなか難しい試合になりそうです。

赤松:
乗り越えてほしいね。

青人:
あと、何よりも豊田スタジアムで相性が悪い、、

赤松:
勝ったことあったっけ?w

青人:
僕がマリサポになってからは1回くらいしか、、

赤松:
いつだっけ?

青人:
2013年かな?兵藤とマルキーニョスが決めて勝ったやつ。

赤松:
あー、カウンターで兵藤が沈めて勝った試合だっけ。

青人:
そうです!瑞穂だとちょこちょこ勝てるんだけですけどw

赤松:
豊田スタジアムは見やすくて、個人的に五本の指に入るくらい好きなハコなんだけど、いかんせんいい思い出がないんだよ。

青人:
ほんとそれです。今回こそは!

赤松:
勝ちてえ。



【最近の名古屋グランパス】


青人:
最近の名古屋どうですか?

赤松:
残留争いにもめどがついて、チームの中長期的課題に着手しているってとこかな。

青人:
中長期的課題、、なんですか?

赤松:
得点力だよ。

青人:
今シーズンはここまで26得点ですか、、
マリノスの59得点と比べるとかなり開きがありますね。

赤松:
ほんとにこれは切実だと思う、、

青人:
5月の前回対戦のときに覚えてるのは、めっちゃマテウスが頑張ってたイメージです。

赤松:
攻撃を頑張ってたってことだよね。
まあマリノス戦ってなると守備に回らざるを得なくて、より際立ってしまう部分はあるにせよ、やっぱりマテウスのところが計算立つからさ。

青人:
しょうがないんですかね?ここは。

赤松:
一朝一夕に桁外れの得点力なんて手に入らないわけで。
どこにも負けない守備力っていう強みは残しつつ、得点も取らなきゃいけない。リソースが限られるなかで、マテウスにかかる負担は必然的に大きくなる。

青人:
上手く折り合いつけながらやってきた結果の今なんですかね。

赤松:
うんうん。

青人:
そこで、残留争いにめどがついて、だけどACLはちょっと厳しいという今の状況か。

赤松:
そう、だから得点力向上という中長期的課題に取り組むにはちょうどいい時期なんだよ。このチームの今後を見据えると、この5試合はすごく貴重なのかもしれないね。

青人:
たしかにそうですね!

赤松:
だから、この2週間のインターバルで何か変えてくるかもしれない。
点が取れるチームになるための何かを。

青人:
どう変えてきます?

赤松:
それは練習見てみないとわからないw

青人:
そりゃそうか。

赤松:
まあインターバル前の試合見ていて、結構思うところはあるけど。
広島戦見ていたって言ってたじゃん?

青人:
ええ。

赤松:
何か感じたことあった?

青人:
思ったよりボール持ちますよね。

赤松:
そうね。ここは前回対戦時のプレビューでも書いたけど、名古屋が今季取り組んでいることだね。

青人:
たしかに言ってましたね。

赤松:
まあボール持ってゆっくり繋ぐ意識はあるんだけど、最終的にゴールを陥れるのは、速い攻撃かなと。あまり相手を押し込んでじわじわ崩そうとする感じではない。

青人:
組み立てはゆっくり、刺すのは速く、ですか?

赤松:
うん。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」みたいな?

青人:
それ、モハメド・アリでしたっけ?

赤松:
そうそう。
話を元に戻すと、その攻撃のペースを変えるのが、、

青人:
仙頭じゃないですか?
降りて前向いてっていうのを繰り返しやってますよね。

赤松:
そう!
永井と仙頭の2トップで、永井は前線に張って相手DFラインを押し下げる役。仙頭は自由に動いてボールを引き出し、前を向いて攻撃を組み立てる。

青人:
うんうん、そんな感じでした。

赤松:
そこからは長谷川健太がよく口にしている、ファストブレイクってやつ。

青人:
速攻になると、結構厚み出ますよね!

赤松:
ウイングバックの森下や、たぶんこの試合は出られないけど中盤の重廣あたりが猛然とゴール前に突っ込んでカウンターを仕掛ける。
スピーディーな攻撃の中で、相馬のドリブルも活きるって感じ。

青人:
広島戦は、内田宅哉がIHが出ていました。

赤松:
彼は今季FC東京から期限付き加入している選手で、もうこのチームのキーマンになりつつあるよ。派手さはないけど、闘えて、尚且つ確実に味方にボールを繋ぐ技術がある。
たぶん、残り5試合の名古屋のキーマンになるんじゃないかな。

青人:
なるほど。

赤松:
まとめると、これまで取り組んできた速攻という武器を活かすために、その状況を自分たちでデザインしてやれるようにしようっていう文脈だね。

青人:
それをさらに推し進める仕込みをこのインターバルで取り組んでいるだろうってことですね?

赤松:
そういうこと!観点は、大きく分けると2つあってね。
①より多くの相手、どの時間帯でも自分たちが攻勢に出れるようにする
②速攻を確実に仕留めて得点にする

青人:
要するに、①攻撃回数の増加と②決定率の向上ってことですか?

赤松:
うん。この2つに取り組んでいるはずで、それがどのように行われているのかは、実際に試合を見てみないとわからない。

青人:
まあそれで言うと、攻撃のキーマンである相馬が代表召集で不在なのが痛そうですね。

赤松:
たしかにそうかもしれないね。ここは蓋を開けてみないとなんともかな。
個人的な予想だと、これは特に中盤に言えることだけど、川崎戦までのメンバー(アンカー:レオシルバ、IH:稲垣・重廣)ではなく、広島戦のメンバー(アンカー:稲垣、IH:内田・永木)が軸になるんじゃないかなって思っている。

青人:
稲垣、内田、永木は、川崎戦の後半から組んでいるみたいですね。

赤松:
そう。この構成になってから、崩しの局面でポケット(ペナ角らへん)に顔を出して起点ができるようになったんだよ。

青人:
ほうほう。

赤松:
現状、マテウスが不在で、今夏新加入の長身ストライカー・レオナルドもまだあまりチームに組み込めていない状態。必然的に、崩しの局面でブロックの外からクロスやシュートの選択肢はなくて、ブロックの中に侵入していかなきゃならない。だから、点を取るためにはこういう動きができる内田や永木といった選手がIHに必要なんだ。

青人:
なるほど。



【試合展開の予想】


青人:
なんとなく最近の名古屋はわかりました。
ボール保持にかなり取り組んでいるようですが、この試合はどうなりますかね?

赤松:
ちょっと試合になるかもね。

青人:
やっぱりマリノスがボールを持つ展開になりますか?

赤松:
そっちの方が多いんじゃないかなぁ。

青人:
なるほど。

赤松:
その方がマリノスっぽいよね。相手の良さ・やりたいことをただ塞ぐんじゃなくて、自分たちの良さで覆い隠す。

青人:
マリノスっぽい、、たしかにそうですね。

赤松:
永井のスピードも相馬のドリブルももちろん怖いよ?怖いけど、じゃあそのためにラインを下げたり必要以上に後ろに人を余らせたりしないでしょ。

青人:
まあ極論言うと、ずっとボールを奪われなければ相手の攻撃陣は仕事ができないわけですからね。

赤松:
その夢みたいな話をある意味本気で信じて戦うチームだからねぇw
少し大きな話になったけど、この試合もやることは同じ。ボールを保持して名古屋を押し込み、敵陣で長い時間を過ごしたい。

青人:
いつも通りすぎますw

赤松:
最近これしか言ってないw

青人:
たしかにw
実際押し込むことはできそうですか?

赤松:
まあ名古屋の出方次第なとこはあるね。
前から来るのか、構えるのか。

青人:
前から来たら裏を使う、構えてきたらエウベルのドリブルで前進ですね?

赤松:
だいぶ覚えてきたなw

青人:
まあここまで30回くらい同じ話を聞いてるんでw

赤松:
そうね。でもこの試合は、その後が問題だと思ってる。押し込んだところからどう点を取るか。

青人:
名古屋は堅いですからね。難しそう。

赤松:
難易度高いよ。川崎戦を見てて、一つヒントがあったんだけど、ボランチやサイドバックの選手の飛び出しに対して後手を踏んだシーンはあったんだよね。

青人:
まあでもそれってどこのチームも後手を踏む気がしますw

赤松:
ブロック攻略のための教科書P.15に載ってるような内容だろうしなw

青人:
「キホンのキ」ってやつですw

赤松:
正直、このブロックを綺麗に崩せればもちろん素敵だけど、難しいかもしれないね。みんなシーズン最終盤でコンディションに問題も抱えているし。そういう部分は細部に出てくるから。

青人:
そういうもんですか、、

赤松:
だけど、押し込むことのメリットはそれだけじゃない。

青人:
名古屋にカウンターを打たせない?

赤松:
そう!名古屋はゾーン3でブロックを組むとき、5-3-1-1のような形で、2トップの片割れが降りてきて守備ブロックに参加するんだけど。アンカーを見る形で。

青人:
ええ。

赤松:
これによって、前線の枚数を減らすことができる。

青人:
ああ、たしかに。そしたら奪われても即時奪回がしやすいわけですね?

赤松:
そうそう。この構図さえ作ってしまえば、致命的なカウンターは受けにくい。受けたとしても数回、数えられる程度に押さえられる。

青人:
なるほど、そしたら点を取られることはないと?

赤松:
うん。そこから先は確率論の世界だよ。
押し込んだマリノスが名古屋から点を取れる確率と、必殺カウンターで名古屋がマリノスから点を取れる確率。どっちが高いかって話。

青人:
マリノスの方が高そうだけど、、

赤松:
だけど、なんだよ。マリノスと対戦すると、名古屋のカウンターはハマりやすいとも言える。
ビルドアップは繋ぐから引っ掛けてショートカウンターを狙いやすいし、ハイラインの裏を突いて永井を走らせやすい。

青人:
そう聞くと、名古屋の方が点取れそうですw

赤松:
だよね。じゃあその成否を決めるのは何かっていうと、マリノスの保持であり、攻撃なんだよ。

青人:
永井をどう押さえるかじゃないんですね?さっきも言ってましたけど。

赤松:
うん。機会そのものを与えないことが大事。

青人:
攻撃こそ最大の防御ですね、まさに。

赤松:
だから名古屋がボール保持に取り組んでいることは彼ら視点の文脈として拾っておかなくちゃいけないし、実際そこが試合の焦点になるかもしれないけど、やはりマリノスが気にしなきゃいけないのはゾーン3への押し込みをいかに成立させるか。

青人:
そして名古屋がそこにどう対応してくるか、ですか?

赤松:
まさしく。自分たちが強みとする速い攻撃を成立させるために、プレスの開始位置をどこに設定して、どう試合を進めたいのか。ここが肝だね。

青人:
見るべきポイントはハッキリしてますね!
楽しみです!

赤松:
もう残り5試合だし、一戦必勝モードにはなってきているけど、どの相手もゾーン3に押し込むっていうマリノスが中長期的に取り組んでいることがはたしてどこまで結実していくのか。試合結果とは別の楽しみもあるわけだね。

青人:
まあでも勝ちたいですよ!

赤松:
もちろん!勝って手羽先で祝杯だ!!




To Be Continued・・・

この記事が参加している募集

すごい選手がいるんです

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?