見出し画像

まだ遅くない!今聴くべき洋楽ロックバンド3選

昨今「洋楽不況」、「若者の洋楽離れ」が叫ばれて久しいですが、海外でもロックはインディ化、ジャンルの細分化の結果か、チャートの隅に追いやられる様になってしまいました。

しかし、そんな中でも新世代のロックバンドは数多く登場しており、根強い支持を集めているバンドも少なからず居ます。今回はその中でも今海外で特に人気が高く、もっと多くの皆さんに聴いてもらいたい、そんな3バンドを紹介していきたいと思います。

Måneskin

途絶えていたスタジアムロックの正統後継者

今年いや、近年で最も売れているロックバンドMåneskin。久しぶりに登場したスタジアムロックの大型新人です。イタリア出身のバンドがここまで売れる事は珍しいのではないでしょうか。The Rolling Stonesの前座を務めるなど、破竹の勢いで人気を獲得しているこのバンド。日本の音楽雑誌rockin'onの年間ベストアルバム一位を獲得した事でも話題になりました。

ユーロビジョン・ソング・コンテスト2021で優勝すると、わずか1日でSpotifyでイタリア楽曲市場最多となる400万回近くストリーミングされるだけでなく、世界10カ国以上のSpotifyトップチャートで1位を獲得。またSpotifyバイラルトップでも1位を獲得するなど、今まさに世界で人気急上昇の男女4人組バンドです。

ITALIANITY

2ndアルバム「Teatro d'ira - Vol. I」収録曲「ZITTI E BUONI」

日本語字幕版の動画まで出してソニーさんも日本で売る気満々ですね。シンプルでカッコいいギターリフとそれに呼応するように躍動するベースに、セクシーなボーカル。イタリア出身ということもあり、英語圏とは節回しが違ってそれが独特でクセになりますね。

アルバム一曲目のこの曲に聴き惚れてしまった方は、是非そのままアルバムの方も聴いてみてください。全編通してカッコいいが詰まっていますし、シングルカットされている激しめの曲が目立ちがちの彼らですが、CORALINEなどのバラード曲も魅力たっぷりです。

2021年のマイベストアルバムにも選出しました。もう少し詳しくアルバムについて書いているので、こちらの記事も併せてご覧ください。

Måneskin、2017年デビューで今年彗星のごとく現れチャートを席巻した、まさに今聴くべき今後も要注目の大型新人ロックバンドです!


The 1975

現代的ジャンル横断型ロックバンド

次に紹介するのは、The 1975です。2013年デビューですが、結成は彼らの高校時代の2002年と下積みの長いバンドです。ポップな曲調を武器に2013年の1stアルバムから着実にヒット曲を積み上げて人気を博してきました。

1stアルバム「The 1975」収録曲「Chocolate」

最初のヒット曲にして彼らの真骨頂。チョコレートの様に甘いポップなメロディーが癖になりますね。実はこの曲チョコレートの曲ではなくて、「チョコレート」とはマリファナのメタファーなんです。

2ndアルバム「I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It」収録曲「The Sound」

うーん。アルバムタイトルが長い。邦題は「君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。」です。かなりクサいですね。この曲はライブで会場をジャンプに沸かせることで人気のダンスポップナンバーです。ギターソロも聴きどころ。

もしかしたら、ここまで一般的な「ロック」のイメージに反したポップな曲ばかりで「全然ロックじゃねー」とお思いの方もいるかもしれません。筆者もそう思ってしまっていた一人です。「The Sound」のMVの中に出てくる言葉も各種メディアから浴びせられたそういった酷評の数々です。そう云った見方も多くあった中で、それらを吹き飛ばすほど音楽的にも大きく飛躍し、批評家筋をも唸らせた傑作3rdアルバムが産み落とされました。

画像8

3rdアルバム「A Brief Inquiry into Online Relationships」収録曲「Love It If We Made It」

タイトル少し短くなりました。邦題は「ネット上の人間関係についての簡単な調査」です。この曲では現代社会の闇をたんたんと語り、”Modernity has failed us | 現代は失敗した”と吐き捨てますが、サビでは”But I'd love it if we made it | でも、だからこそ何かを成し遂げることは素晴らしいんだ”と叫び続けます。

同作収録「Sincerity Is Scary」

とてもロックバンドの曲とは思えない、ゴスペルを取り入れたジャジィな一曲。浮遊感のあるサウンドと相まって、とても癒される曲です。

そう、このバンドは既存の「ロック」の枠に囚われない、ジャンル横断型バンドでありこれこそが現代の最新のロックバンド像なのだ。

この記事では「ロック」から逸脱した曲を多く取り上げてしまいましたが、色々なジャンルを下敷きにしつつもロック的な曲も多くあるので、是非アルバムを聴いて頂きたいです。

特にこの傑作3rdアルバムは、Joy DivisionのDisorderのリフを引用したpost-punk的な「Give Yourself A Try」から、アンビエント/UKガラージな「How To Draw / Petrichor」、トラップビートにのせて”Would you please listen? | 頼むから聞いてくれないか?"と悲痛に叫ぶ「I Like America & America Likes Me」、80年代ポップス的な「It's Not Living (If It's Not with You)」、ラストを締めくくるBritpop的なバラード「I Always Wanna Die (Sometimes)」等々非常にバラエティに富んだアルバムかつ、全体を通してサウンド構築が素晴らしく、約1時間飽きることなく聴くことができるでしょう。

今やReading Festival始め、世界中様々なフェスでヘッドライナーを務めていることからも分かる通り、名実ともに10年代を代表するロックバンドとなった彼ら。間違いなく今聴くべきロックバンドの代表格です。残念ながら中止となってしまいましたが、ここ日本でも2020年開催予定であったSUPERSONICでは、あのLiam Gallagher (ex.Oasis)を抑えてヘッドライナーを務める予定でした。

画像3
画像4

長くなってしまったので、最後に彼らの目下の最新作から一曲、こちらもバラエティに富んだ名曲が多く悩ましいのですが、この曲を挙げてThe 1975については締めたいと思います。

4thアルバム「Notes on a Conditional Form」収録曲「If You’re Too Shy (Let Me Know)」


Arctic Monkeys 5thアルバム「AM」

最高にカッコいい「ロック」ここにあり

画像7
画像6
5thアルバム「AM」

最後にArctic Monkeysの5thアルバム「AM」を紹介したいと思います。ここに来て今更Arctic Monkeysかよとお思いになるかもしれません。確かに、現在20代半ばで後追い世代の筆者は、日本でも2006年リリースの1stアルバム「Whatever People Say I Am, That's What I'm Not」(こちらも長い)は人気を博していたと理解しています。

しかし、世界的にも1stを超えて彼らの最高傑作とも評される、2013年リリースの5thアルバム「AM」が、日本ではそれほど聴かれていないような肌感覚を筆者は持っているのです。

1stアルバム「Whatever People Say I Am, That's What I'm Not」収録曲「I Bet You Look Good On The Dancefloor」

タイトで秀逸なリフに、性急なビートに乗っかるリリック、今聴いてもカッコいいですが、当時はさらに衝撃的な登場だったのではないでしょうか。

2ndアルバム「Favourite Worst Nightmare」収録曲「Brianstorm」

この曲は最近King Gnuがリフをオマージュして使った事で話題になりました。タイトル通り、嵐の様なベースとギターからイントロは始まり、嵐がやんだかと思うと今度はシンプルでカッコいいリフで曲が躍動していきます。ボーカルAlex Turner特有の軽快なのに何故か後を引く歌い方もカッコいいですね。最近のライブでも人気であり続ける名曲です。

彼らはその後3rdではどっしりと構えヘヴィネスを追及したり、4thでUSインディに接近したりと、バンドとして様々な挑戦を行いながら秀作を送り出し続けていました。それらからも紹介したい曲は沢山あるのですが、あまりにも記事が長くなりすぎてしまうので今回は泣く泣く割愛させていただきます。

そして2013年、今回の本題である5thアルバム「AM」の登場です。まずは聴いてください。

5thアルバム「AM」収録曲「R U Mine?」

彼らの持ち味Garage rock的サウンド、Hard rock的要素であるBlack Sabbathの影響の色濃いヘヴィなリフ、ドラムとR&B的な要素を上手く組み合わせつつ、まさに「ロック」な一曲である。(序盤にほうれん草と空耳してしまうのが困ったものだが)

このアルバムでは全体的に上述の曲のようにHard rock的要素が色濃いですが、よりR&B的な要素の強い曲も多数収録されています。

同作収録「Why'd You Only Call Me When You're High?」

この曲なんかはより、R&B要素が強いですね。どっしりとしたベースラインがカッコいいです。ボーカルもクールですね。憧れます。と思いきや、歌詞もMVも酔っ払いのダメ男です。曲中でも繰り返されるタイトルは「なんでハイの(酔った)時だけ電話してくるの?」です。でも、やっぱり曲はカッコいいですね。

そして、なぜ今聴くべきロックバンド3選のうちの一つにArctic Monkeys、特に「AM」を挙げているかというと、2013年リリースにも関わらず欧米では未だにロングセラーなアルバムであり、10年代のロックの代表作的位置付けとなっており、更に近年様々なバンドがそのサウンドを参照し始めていて歴史的名盤となりつつあります。しかし、上記で述べたように日本ではあまり聴かれていない様に感じているからです。次作6thアルバム時のツアーで来日公演が行われなかったのも象徴的ですね。あのモードの彼らも生で聴きたかったので、非常に残念でした。

以下は2021/10/29~2021/11/04のSpotifyのUKでのアルバムチャートです。私のスマホの仕様上チャートの日付まで綺麗にスクリーンショットを撮ることができませんでしたが、ご容赦ください。

画像5

ご覧の通り、2013年のリリースから8年も立っているのにも関わらず、本国イギリスでは未だに24位と高順位を維持しているのです。それよりも上位のアルバムを見てもらえるとわかると思いますが、新譜リリース前後のEd Sheeran、Adele以外はほぼ新作です。一方Arctic Monkeysは直近の動きが無いにも関わらずこの高順位です。なんとあの国民的人気バンド、みんな大好きOasisの2ndよりも高いのである。(そっちはそっちで凄いのだが)

紹介したい曲は他にも山ほどあるのですが、とにかく日本のロックリスナーにももっと「AM」を聴いてほしいし、聴かれてしかるべき作品なのです。なので是非全編聴いてもらいたいです。

多くのロックリスナーが待ち望んでいた、最高にカッコいい「ロック」がそこにあるのだから。


以上「まだ遅くない!今聴くべき洋楽ロックバンド3選」でした。是非近年の洋楽ロックを聴いていない人にも、洋楽初心者の人にも聴いてもらいたいと云う思いで、初めての執筆をしてみました。

まだまだ未熟ですが、好評でしたらこれからも執筆していきたいと思うので、スキ、シェア、フォロー等していただけると嬉しいです。

お読みいただき、ありがとうございました!


お金はいらないので、スキやリツイート、いいね等のシェアで、記事と筆者を応援して頂けると、とても有難いです。よろしくお願いします。