いわおとよき

海藻の研究を仕事にしてる。ホラー映画やホラーじゃない映画を観たり、イラスト描いたり、子…

いわおとよき

海藻の研究を仕事にしてる。ホラー映画やホラーじゃない映画を観たり、イラスト描いたり、子育てしたり。三重県の伊勢市に住んでる。

最近の記事

映画の時間03

 いつも個人的な感覚を吐露するこのnoteだが(一般論を議論していない、という意味だ)、今回はマニアックではある。  ホンモノを見極める目。そんな審美眼を発揮するような暮らしをしていない俺だが、「13日の金曜日シリーズ」を追いかけていたあの頃、見極める目を持っていることに気がついた。「新・13日の金曜日」を観た時のことだ。パート2、パート3と来て完結編で完全に息の根を、、、、ひょっとして、この作品群を知らない人がいる?  1980年に始まった本作は、ホッケーマスクをかぶっ

    • 海藻とワタシ03

       科学者として生物学的な好奇心、科学的面白さとスピリチュアルなサムシングに突き動かされて海藻という生き物と付き合っていることはわかってもらったと思うが、じゃあ、漁師や海女さんら水産関係の人らや、最近では観光関係のセクションとも仕事をしてるのは、どう折り合いをつけてるのか?仕事だから、というハードボイルドな納得をしているわけではない、うちの俺にかぎって。  仕事的には、水産資源のひとつである海藻を、直接的には海苔養殖やワカメ養殖のわずかながらのサポート、相談にのったり、種苗を

      • 海藻とワタシ02

         畏怖。ただでさえ、周りに友人もおらず、岸から離れた海の上でビビってるのに、海底で無言で青く揺れる海藻に対し、夜に梵天様に睨まれた時みたいな感覚を覚えた。潜ってみたが、怖いのと、当時の未熟な潜水技能では触ることも叶わなかった。結局、生物採集実習なのに、何も採らずに岸に戻った。岸というか、磯にはこれまで見えていなかった小さな海藻が色とりどりに生えていた。いくつかむしり取り、実習室に戻り、図鑑と見比べながらあの梵天様を思い出して、先生に聞いてみたら、カジメという海藻らしいことがわ

        • 海藻とワタシ01

           海藻を研究対象?観察対象にして25年以上経つ。全然興味は無かったし、海も好きでは無かった。1996年に大学に入ったが、当時はやはり環境ブームみたいだった。エコフレンドリーなんて言葉はなかったが、そんな感じ。そして、それにも興味は無かった。陸上の大型哺乳類に興味あったから、家畜とか野生の鹿とかニホンザルの研究しよかな、て思ってた。本当はハイエナとチーターが好きやったけど。  とにかく、海は眼中になかった。が、かわいい子がいたんだね、海洋系の学科に。スッと海洋生物のコースに入

        映画の時間03

          野球少年

           俺は中学生の頃は野球部だった。1学期と夏休みの半分まで。野球は父親はテレビで毎日チェックするくらいには好きだったが、俺は一度も観たことなく、ルールも知らなかった。47歳になろうとする今もほとんどわからない。空き地でやる草野球のまねごとみたいのはやったことあるが、それすらしっかりやったことはない。つまり、野球っぽいものになんら興味がなかった。中学校に入り、運動クラブにでも入ろうかと、友人らとブラブラしていたとき、1人が野球部にしようか、と。そいつはまあまあ野球が好きだったよう

          悔しい

           勝負事に負けて悔しいと感じたことがない、だからゲームをあまりひとと一緒にはしないんだと、言うことがあるが、本当は違う。その悔しさはあんまり面白いと思えないから、真剣に出来ない、というのが正直なところだ。そして、勝負事、トランプとかか?あんまりしたことないから思い浮かばないが、に真剣に取り組む人は素敵だなと思うあまり、そして、そこは熱くなる部分でもあるので、不誠実だなと思うものの、正直に言うことは少ない。  俺が悔しい思いをするのは、自分の体や頭の中のアイデアなんかを、ここ

          鍵なんてイチコロ、、、

           高校を出るまでマンションに住んでいた。母さんは専業主婦だったこともあるのか、家の習慣なのか、小学生の俺は鍵を持たされてはいなかった。学校から帰ってくると、たいていうちには母さんがいたし、いなくても、上か下の階のママ友のとこにいたので、鍵っ子になる必要はなかった。  その日、学校から帰り、トントントーンと足取り軽く階段を登り、ドアノブに手をかけると、開かない。ガチャガチャやっても開かない。えっ?なんで?と急速に寂しくなる。確か9歳くらいだった。上の階も下の階も行ってみるが、

          鍵なんてイチコロ、、、

          映画の時間02

           海外ドラマ、特にアメリカのものを時々観る。ストーリーはもちろん大事だが、日々の暮らしが少し描かれてるのが良い。FBI捜査官や州警察の保安官のだらしない休日とか、朝の準備や洗濯物のあれこれ、子供の世話や離婚した旦那との面会日、クリスマスプレゼント選び、、、、それらを過ごしながら、日々の仕事をこつこつ進める様子が好きだ。仕事こつこつの部分は映えないのであまり描かれないが。学生時代、毎日実験をしながら、期待してるような化学反応が得られず、原因がわからず、腐ってた時なんかは特にそう

          怪人物

           ギョッとする風貌、行動、雰囲気のする人物。その「ギョッ」が、記憶にこびりつき、恐怖というか、不快というか、そういう部分に立ちはだかるような人物をきっと怪人物と呼ぶのだろう。  日本刀のおじさん。これは、小さい頃住んでた場所の近くの公園の前にあったアパートに、おそらく住んでいたんだと思うが、白い肌着の上下にベージュの腹巻きをして、坊主頭で青白い肌色をしており、なによりその特徴は、日本刀を手にしていること。それを抜いた状態で、振り回すでもなく、フラフラとそのアパートの2階廊下

          パワースラム

           だれでも喧嘩のひとつやふたつ、いや、夫婦ともなると、意見の不一致を認め合い受け入れあう余裕などない状況下では喧嘩状態に陥ることもあり、家庭によってはしょっちゅう、などということもあるだろう。ここで述べたいのは、そんな家庭内のくたびれ話なんかではない。また、幼い兄弟姉妹が上手に譲り合えずやんやん繰り広げる微笑ましいが真剣な衝突でもない。ストリートファイトのことだ。赤の他人同士が、それが親友であっても、ベアナックルで殴り合ったり掴み合ったりして勝敗を決するあの野蛮な行動のことだ

          パワースラム

          ダッシュガール

           小俣駅(近鉄)みたいな小さな無人駅でも利用者は多い。多いといっても通勤通学に使う人がメインだ。夕方、いつも同じ時間の列車に乗って帰るんだが、4年くらい前から2年間ほど、気になる女性がいた。  運動神経の良さそうなやや小柄な体で、髪の毛は結んでおらず、青いような金髪のような、まあ、今時の染色が施してあり、白い肌とよくマッチしている。服装もカジュアルでロンTに細身のカラーパンツやジーンズ、リュックを背負ってヴァンズのスニーカーを履いていることが多い。学生なのか、工場勤務なのか

          ダッシュガール

          フェアネス02

           次に2人に会ったのは、ずいぶん後。なんと、成人式の時だった。大学で地元を離れた俺は、久しぶりに会う友人たちと昔話や近況を伝え合っていると、あのひょうきんな笑い声で、「よう!」と声をかけてきた。村田だった。となりには、、、となりには、なんだか大人っぽい、透明感のある女性が。ん?んん??!もしかして、いや、たぶん、絶対、鈴木さん?メガネをかけておらず、というより、補助器具がない!「え⁈鈴木さん?足!」たぶん、俺は初めて足のことに触れた。「うん。治ってん!」「うそー!いや、良かっ

          フェアネス01

           俺たちの学年には、小学校中学校だが、足に補助器具を付けてるメガネの女の子がいた。鈴木さんという。俺は映画「マッドマックス」のマックスが足をショットガンで撃たれて以降、膝に装着しているやつと似ていたので、無邪気にカッコいいとか思っていたが、実際はカッコいいとかでなく、やはり大変なものだった。階段は登りにくいし、鈴木さんのクラスは一階になる、遠足など遠くに行く時は車椅子だし、山登りはみんなとワイワイ山路を行けず、付き添いの先生とロープウェイだし、ドッヂボールは外野が多いし。それ

          待ち合わせあるいは約束

           ちょっと前、携帯電話がなかった頃のことが話題になった。話題というか、ある若者が気になったということだ。もう忘れていた。どうしてたっけ?  小さい頃、ポケベルってのは父が使っていた。中学生の頃、ちょっと早いやつらは持っていたみたいだったが、俺たち平均的な奴らは大学に入学してからだったはずだ。1996年だった。数字だけを11桁?13桁?くらい入力することができ、標準的にはかけて欲しい電話番号を相手のポケベルに表示させることができるわけだ。固定電話から相手のポケベル番号を入力し

          待ち合わせあるいは約束

          映画の時間01

           映画は好きだ。好きなんかな。とにかく観るが、たくさん観てるかというと、そうでもないのかもしれない。同じ作品をかなり何度も観る。5分ずつとか。そう、俺は通しで観なくてもあまり気にならない。  初めて知り合った人とも、その人が映画ファンでもそうでなくても映画の話を何かしらすることが多い。しかし、いきなりクエンティン・タランティーノの映画の話はしない。独特の台詞回しや無駄台詞みたいなのや、キャラクターそれぞれのクセのある美学なんかを説明するのはヤボだからだ。あとは、スターウォー

          MMOS02

          小俣駅のミスターミステリアスはその後もほぼ毎日反対側ホーム、時にはこっち側のホームに渡ってきて、発券機から整理券を数枚は取っていた。最初に出会った時から程なくして気づいたことがあった。ある女の子の少し後を歩き、列車に乗り込むのを見送っているようなのだ。会話もなく視線を合わせるということもしてなさそうに見えたが、親子なんかな?と想像できた。まったく骨格や顔つきや姿勢は似ていなかったが。それにしても、無人ホームで実質入場料を払わなくても済むからといって中学生の子をホームまで見送