いわおとよき

海藻の研究を仕事にしてる。ホラー映画やホラーじゃない映画を観たり、イラスト描いたり、子…

いわおとよき

海藻の研究を仕事にしてる。ホラー映画やホラーじゃない映画を観たり、イラスト描いたり、子育てしたり。三重県の伊勢市に住んでる。

最近の記事

映画の時間01

 映画は好きだ。好きなんかな。とにかく観るが、たくさん観てるかというと、そうでもないのかもしれない。同じ作品をかなり何度も観る。5分ずつとか。そう、俺は通しで観なくてもあまり気にならない。  初めて知り合った人とも、その人が映画ファンでもそうでなくても映画の話を何かしらすることが多い。しかし、いきなりクエンティン・タランティーノの映画の話はしない。独特の台詞回しや無駄台詞みたいなのや、キャラクターそれぞれのクセのある美学なんかを説明するのはヤボだからだ。あとは、スターウォー

    • MMOS02

      小俣駅のミスターミステリアスはその後もほぼ毎日反対側ホーム、時にはこっち側のホームに渡ってきて、発券機から整理券を数枚は取っていた。最初に出会った時から程なくして気づいたことがあった。ある女の子の少し後を歩き、列車に乗り込むのを見送っているようなのだ。会話もなく視線を合わせるということもしてなさそうに見えたが、親子なんかな?と想像できた。まったく骨格や顔つきや姿勢は似ていなかったが。それにしても、無人ホームで実質入場料を払わなくても済むからといって中学生の子をホームまで見送

      • MMOS01

         初めての出会いは、7年くらい前になる。通勤に使っている近鉄小俣(おばた)駅は無人駅だが、時々駅員がいたりもする。その駅員とフランクに話し合ってる客、なのかわからないが分厚いメガネをかけた男性がいた。なぜ目をひいたかというと、なんだかテロテロのタンクトップというかランニングシャツを着て、下は、なんとボンタン。ボンタンってわからない世代の人もいるだろうが、学生服のズボンの一種なんだが、学校が規定しているようなサイズバランスを誤差の範囲を超えて、モモの部分が太めに、裾のあたりが細

        • 自宅マンション爆破事件

           火遊びが好きだった。火に魅了されていた。爆竹にも興味津々だったが、音が凄まじいため普段ひっそり1人で楽しむ派の俺には向いてないなと諦めていた。 「マイトの健二」とでも呼ぼうか。2つくらい歳上の健ちゃんとその友人は近所の公園のブランコで靴飛ばしをして遊んでいた俺たちを呼び寄せた。 「アリの巣、爆破するで。ここに2つ、巣穴あるから、2つともやる。」 「どうやって?」 「爆竹や!」 「花火のやつ?」 「そうや。」 「どう、どうやって、火ぃつけるん?」 健ちゃんはポケットからライ

          青い扉05

           そのままマサヨちゃんが帰ってくることはなかった。いや、僕も竹田くんもずっと竹田くんの家から監視していた訳じゃないので、本当はわからないが、2日後、学校で先生から発表があった。 「阪田昌代さんはずっと病気と闘っていましたが、今朝、亡くなり、お空へ旅立ちました。」  クラスのみんなでマサヨちゃんを見送ることになった。マンモス団地には一定のまとまった区画毎に広いターミナルというかロータリーみたいな空間や、盆踊りが出来るような広場があった。広場の近くには高いコンクリート製の給水塔

          青い扉04

           梅雨になったのか雨の日が続くようになり、そうなると公園のブランコの下の水たまりに水路をつくりシーソーのところの水たまりとつなげたり、泥団子を作ったりで忙しくなる僕らだが、流石にザーザー降っている最中は竹田くんの家で待機せざるを得なかった。いつものように平井と竹田くんがゲーム、僕は窓際で漫画雑誌を眺めたり隣の棟を眺めたりしていた。遠くに救急車のサイレンを聴きながら。 「えっ!救急車停まった。マサヨちゃんちゃうよな⁈4階のばあちゃんとか?」 胸がギューっとなって手が冷たくなっ

          問題行動

           停学処分を受けたことがあるだろうか?俺はない。友人はある。1人はタバコだ。まあ、オーソドックスなやつよね。部室で麻雀とか、バイクとか。ある友達の高校は仏教系だったから、停学中は毎日写経をしないといけなかったらしく、なかなか辛かったと。  で、幼馴染だ。全寮制の高校に入り、男子校。なんかあるなー、と俺は期待していた。入学して、夏を迎えた頃、秋祭りの前だったか、遠く離れた街の寮に入っているそいつが、祭りをやってるうちの近所の神社の境内を歩いていた。停学だと。事情を聴きたいが全寮

          青い扉03

           レゴブロックで出来た小さいお花がマサヨちゃんの部屋の棚の上に置いてあった。白い顔にクリクリっとした目のマサヨちゃんはお絵描きをしていたようで、団地の向こうに花いっぱいみたいな色がたくさんな山を描いて、そこと団地を虹が結んでる絵みたいだった。 「花、持ってきてん。あげるわ。レゴのとこに置いとく?」 意外と平井が優しく声をかけた。マサヨちゃんの前やとみんなちょっと穏やかになる。 「うん。ありがとう。花、どこで摘んできたん?下?」 「そうやよ。シロツメグサともういっこ、名前わから

          青い扉02

           僕はゲームが得意でないから、すぐに友達に順番を譲ることになったものだが、他人のプレイを眺めながらワイワイ言うのが好きなタイプだったので、なにも不満はなかった。それよりもゲームの電子音と友達の笑い声や罵り声をBGMに、他のゲームウォッチをしたり窓から外を眺めたりするのが気持ち良かった。そんな時、時々、20mほど向こうのマサヨちゃんと目が合ってるかどうか、はわからなかったが、顔を見つけることがあった。 「なあ。マサヨちゃんて、最近外で遊んでるんか?」 僕はふと気になって、ボソッ

          青い扉01

           マンモス団地のどのブロックの何棟の子だったんだろう。K-31とか28とか、そのあたり。団地内の大きめの公園からは遠かったが、マサヨちゃんにとっては関係なかったか。いや、病弱で外出があまりできなくてもやはり公園は近い方がいいに決まっている。みんなの声が聞こえるし、具合の良い日は、降りていって、うまくすると、みんなとかくれんぼなんかをして遊ぶことができるもの。  僕はL-28棟の竹田くんの家によく遊びに行っていた。4階まで階段を上がって行き、暗い廊下を靴を引きずりながら薄黄色

          町内会長宅全焼未遂事件

          自宅マンション爆破未遂事件の前に、これが派手で良いだろう、、、良いことではない。 火遊びが好きで、色々考え、色々な場所で、色々燃やしていた。 ある日、アロンアルファの小さい容器の先端に火を点けると、「ボッボッボッ!」と、火炎放射器的に火炎が前に飛び出すことを発見した。 当時流行っていたミニ四駆の屋根に括り付け、火炎噴射しながら走らせたら、さぞカッコよくてチビっちゃうだろうな、と考えた俺は、友人達といつもの公園でシコシコ工作し、ついに、「ファイヤーエンペラー号」を生み出し

          町内会長宅全焼未遂事件

          影響

          他人からの影響はでかい。 幼稚園の時、同じバスに乗ってたノーテンキの真似して帽子の首ゴムをビロンビロンに伸ばした。 小学校では初恋?の宮沢りえみたいな子が履いてた上靴と靴下丈のバランスを真似した。 鉛筆の持ち方なんて、あらゆる周りの友達の真似をして、結局、父親と同じ持ち方だ。 俺が学校の勉強というより、本や問題集を広げ、ノートにガリガリ書いてってのが好きになったのは、まったく勉強しない今だに親友な和菓子屋の3代目がコロコロやジャンプをうやうやしく広げて大切そうに読み始めた

          市民オリンピック狙撃未遂事件

          小学生の高学年の頃、地元のデカい運動公園の競技場が新設され、かなり立派なものになり、その年、そこで市民オリンピックが開催された。 俺たちは、というか、俺は当時「メカニック」という暗殺者の映画に影響を受けた早熟だったからして、藁半紙を広げ、公園の地図を描き、マラソンコースの近くに丸を3つ。そう。狙撃ポイントを描き込み、エアガン所持の友人を誘い、そこから選手を撃つ計画をたてた。 コーフンしていた。その熱のまま、日曜日を迎え、朝の10時くらいか、時計は持ってないのに、お互い時計

          市民オリンピック狙撃未遂事件