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ロックヒルズガーデンとは?

JR川崎駅より徒歩6分。築30年強の商業ビル、その7階(最上階)と屋上をフルリノベーションして創り上げた「場所」がロックヒルズガーデンです。発起人は、運営会社(株)ファイアープレイス代表の渡邉知、即ち私です。脱サラ後初めての挑戦が、この、ロックヒルズガーデンでした。

「人と人がつながる場所を創りたい」という漠然としたコンセプトはあれど、何もかもが手探り。事業計画もなければオペレーションマニュアルもない中 、勢いと想い先行で、ファイアープレイス最初の「事業」がスタートしました。

挑戦の「核」となったのは屋上です。都市圏の景観を構成する多くのビル。けれどもその屋上の大半は全く活用されていない。天気の良い日の屋上は気持ちがいいだろうな、ここで仲間と一緒にBBQができれば最高だろうな。一方で、建築基準法、容積率に建ぺい率、青空下での飲食事業許可。様々な法規制が屋上活用を阻んでいることがわかりました。

突破口になったのは、テントです。

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テントはいつでも畳むことができるので、建築基準法に抵触しない。周囲を飾ればフォトジェニック、中に入れば気持ちがアガる。一方で、それだけではインパクトが弱い。悩んだ末に導き出した答えがジャグジーです。  ロックヒルズガーデンは恐らく、日本で初めて「ビルの屋上にテントを張り、ジャグジーを設置した」施設なのかな、と笑

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室内のイメージを拡げてくれたのは、LINEs AND ANGLEs 代表の西脇佑さん。世界で活躍するアーティスト、Jun Inoue氏のアートペイントで、和室とラウンジに極めて独自性の高い意匠を施してくれました。

最後の締めくくりとして、室内の一部を厨房とし、飲食事業許可を取得。こうして、川崎のビルに火が灯りました。

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これらの写真は2015年8月のOPEN当時。モルタルもピカピカです。本投稿はそれから約6年後の2021年6月。室内のイメージは随分と変わり、今では、実に味わい深い景観となりました笑

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ロックヒルズガーデンの収益は大きく3つに分かれています。

1つめは、手ぶらで気軽に立ち寄れるBBQ。ピークシーズンの週末はほぼ予約で一杯。2019年度は、年間1万人を越えるお客さまにご利用いただきました。コロナ禍で大きなダメージはありましたが、換気不要なオープンエアーの環境下、自宅では不可能なグランピングBBQを楽しめる場所ということもあり、予約数は徐々に回復傾向にあります。

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2つめは、撮影。貸切可能、かつオリジナリティの高い空間はTV制作会社やカメラマンからご好評をいただいており、アーティストのPV映像やTV番組の収録、販促用のスチール撮影など、年間数十件の撮影利用をいただいています。「ロビンソン」で有名なあのバンドや、水曜日のダウンタウン、時にはドラマで使われることも。

3つめは、法人向けの研修会場。室内でチームの結束を高め、研修終了後は屋上に上がってBBQ、というパッケージが大変好評です。お客さまからのご要望に応じて、私自身がファシリテーターを務めさせていただいたり、研修プログラムを企画させていただくこともあります。

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場所を維持していくためにも、関わってくれる全ての人たちに対価を払っていくためにも、日々の売上は大切です(私だってお金は欲しい)。けれども、売上は手段であって目的ではありません。

ロックヒルズガーデンという場所が存在する目的、即ち、大切にしているコンセプトは、「つながり」です。

私は飲食店を開業したくてこの場所を作ったわけではありません。「この場所があってしあわせ!」そう感じてくれる人が増え、結果として、私自身がしあわせに近付くために、屋上に火を灯しました。

しあわせとは、日々の人間関係。人とのつながり。

仕事もプライベートも、良き隣人に囲まれていると、大抵上手くいくし、何より、しあわせ。良質な人間関係って、私たちの人生にとって大事な「しあわせ」という概念に直結していると、強く思うのです。

つながりを育むために、最初に試みた自社イベントは、極上食材を通じて生産者と消費者をつなぐBBQでした。漁師や農家さんに来ていただき、彼ら・彼女らが創ってくれた美味しい食材を、ビルの屋上で一緒に食べて、つながるイベントです。

大雨や地震、洪水といった天災に遭われた地域のために、有志と一緒にチャリティーイベントをしました。社会人が集まって、これからの教育を語り合ったこともありました。花火大会を楽しんだこともあります。私にとっては、どれも懐かしい、「誰かとつながるきっかけとなった」想い出です。

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私はオペレーションが得意ではありません。数字の管理も、衛生管理も苦手です。よって、リーダー役は早々に引退し、この、「人と人がつながる場所」の運営を、私以外の誰かに任せることになって今に至ります。

歴代の店長も、メンバーも、大好きです。私は人とチームに恵まれ、ロックヒルズガーデンは「人と人がつながる場所」に成長していきました。つながりが生まれ、深まり、この場所に関わる皆が、笑顔でしあわせで。そんな未来を疑わなくなった頃、コロナが世界を襲いました。

緊急事態宣言。3ヶ月の休業。時短要請。お客さまの来店はなくなり売上は激減。運営チームも実質解散となり、つながりを生む場所からつながりが消えました。このままでは家賃も給与も払えない。会社も危ないし、コロナは終わりが見えない。

いつしか私は、創業事業であるロックヒルズガーデンという場所を、手放すしかないのではないか、と考えるようになりました。無くしたくない。けれども、続けられない。悩んだ末、事業を諦める判断をメンバーに伝えたところ、当時の店長から直談判を受けました。

「ロックヒルズガーデンを手放さないで欲しいです。まだやりたいこと、挑戦したいことがたくさんあります」

そう言ってくれたのが、当時の店長、石川勝巳です。

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石川には失礼ですが、彼を店長にした理由は、人柄や能力ではなく、「やりたい」と手を挙げてくれたから、その一点に尽きます。

やりたいからやった、場所を作った。その言い出しっぺの私が諦めかけているのに、「続けたい」と言ってくれるメンバーがいた。幸いなことに、国や銀行の支援もあって、数ヶ月分の運転資金は(借金ですが)確保できています。「先がどうなるかわからないけれど、もう少し続けてみよう」彼にはそう伝え、そこから、ロックヒルズガーデンの第2章が始まりました。

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当時の彼は、大学を休学中の学生店長でした。コロナ禍でお客さまはいない、だから、できることからやってみよう。彼がまず始めに取り組んでくれたことは、「徹底的に掃除すること」。ひたむきなその行動に共感してくれる掃除仲間も、また学生。ウッドデッキを磨き、芝生を張り替え、誰も来ない場所を、彼と仲間は徹底的に磨き続けてくれました。熱がある。そして、人がいる。そうすると、不思議なことに「磁力」のようなエネルギーが生じるようになります(私はそう信じています)。いつしかロックヒルズガーデンは、前向きな学生が集まる熱源のような場所になりました。

2021年現在、ロックヒルズガーデンは、学生有志のみで運営されています。5代目、学生店長の石川を起点に、ここから先、未来の日本を担う彼ら・彼女らが、どんなつながりを育んでいくのか、ぜひ、たくさんの人に見守っていただきたいと強く願います。

ロックヒルズガーデンを作って良かった。

私は今、とてもしあわせです。

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