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相談将棋 ~純粋に水をさすもの
儚い1分をつないで永遠をつくることだってできる。許されるならずっとそうしているのかもしれない。読み耽っている間は歳を取らず、風邪を引くこともない。徐々に棋士の縦揺れが速くなっていく。前のめりとなり勝ち筋を追求しているに違いない。遠目には何もしていないように見えて、実際には壊れるほどに動いている。脳内を占めているのは、玉を中心に存在する世界。そこには蠅1匹として入り込むことはできないのだ。純粋であ
もっとみる超速の銀/一局の将棋
(この銀が間に合うだろうか)
次の一手を求めるために先の先を読まなければならない。無数の物語の中から今の自分に必要なものを読み分け、最善を上書きしていく。
読みには何より速度が重要だ。湧き出るイメージを束ねて取捨選択するには、速度がなくては。ゆっくり読んでいては脳波に隙が生じる。後悔、奢り、丼、うどん。様々な邪念が介入することを防ぎ切れない。最悪の場合、睡魔に襲われてしまうだろう。厄介な追
金がないから勝てる/金しかないから勝てる
「そうか、金がないのか」
もしも相手に金があったら、手も足も出ないところだ。あきらめて負けを認めるしかない。当然のように、金はあるのだと思い込んでいたとしたらどうだろう? 相手に金があるという想定、金があるというイメージが、自分の中に強く存在したとしたら、既に頭から負けに傾いているのかもしれない。金はそれほどに重要だ。最も重要と言ってもいい。生死を分かつもの。それが金なのだ!
どうして相
逆上王(腕に覚えあり)
春がきてランドセルの準備はできていたけど、そこに新しい教科書が詰め込まれることはなかった。精密検査の結果、入院することが決まったからだ。家から車で3時間ほどかかる病院だった。父がハンドルを握る車で病院に向かう。長くて短い別れの道だ。
同じ病室の子が僕に将棋を教えた。拒むことはできなかった。1からルールを覚え込むことは、とても大変だった。
金と銀は似ていてややこしい。金の方が僅かに強い。銀と
表現者たちの角不成 ~似て非なるもの
76歩 34歩 22角不成!
その瞬間、あなたは何を思うだろうか。
(あるいは思わないだろうか)
対局が進むとわかってくる。ああ、この棋士は不成の人なのだ。恐らくは完全に必要不可欠でない限り、角を飛び込む時(ほぼ同何かの時)には不成だということがわかってくる。
成っても成らなくても取る一手ならばほぼ(結果は)同じ。
一方で駒は強く使うことが通常だ。角と馬ではその差は歩とと金ほどではない
遅読の棋士(未来角)
「この手は?」
「30分です」
自分の手番になってから30分が経過したらしい。驚くべきことに私はまだ具体的な読みを構築できずにいた。
(いつも何手くらい読まれるのですか?)
相手が素人なのをいいことに私はよくうそをついた。(そうですね。縦横斜め合わせて100手から200手の時が多いでしょうか)正直に話して相手の残念そうな顔を見るのは嫌だった。
実際の私は3手の読みにさえ苦労することが多々あ
詰んでいるのに負けてしまう
集中力を持続させることは難しい。今日はそんなことを学んだ。
相振り飛車は囲い方に迷う。金無双はバランスが良さげだがつぶれる時のあまりの脆さは悲しいほどだ。美濃に組んだら組んだでいきなり端攻めを覚悟しなければならない。できれば自分から攻めたいものだが、相手がいることでそう上手くはいかない。
相手は端に力を集めて攻めてきた。少し無理だったので受けが成功した。玉が先頭に立つ受けで相手の攻めを受
金なんかくれてやる!
「ある時 価値は反転する」
いい手だなと心が動かされる時がある。それはもの凄く派手な一手というばかりではない。むしろ何でもないような一手。実際に盤上に現れた手そのものに対してではなく、普通にみえるはずの手が「指されなかった」ことへの驚きというものがある。
「えっ、金逃げなくていいんですか?」
それは序盤ではまず絶対に現れないような一手だ。
「歩で金を取られてはいけない」
将棋を学ぶ時、一