結婚と出産は当たり前なのか ~①結婚までの障壁

<怒りしか沸かない、自民党議員の発言の数々>

歴代総理大臣の一人、自民党の森喜朗が「子どもを一人もつくらない女性が、年とって税金で面倒みなさいというのはおかしい」と言い放ったのはかれこれ15年ほど前だろうか。
当時の私は、まだ結婚すら考えてもいない年齢、まして子どもなんて、自分とは遠い存在だったのを記憶している。
15年以上も経った先日、今度は元大臣の一人、自民党の桜田義孝が「子供は最低3人産むように」と言ったそうだ。

15年前の私は『どうせ大半の人は、いつか結婚して子ども産むんでしょ、だから私もそのうち』くらいにしか思ってなかった。
しかし、今は違う。
結婚することの大変さ、子供を持つことの大変さ。
身に染みているからこそ、怒りしか感じない。

<結婚に立ちはだかる壁は幾重にも・・・>

世の中には、スルッと結婚できている人もいるだろう。
私の場合はちょっと違った。
バイセクシャルだからだ。(詳しくは後日)
恋愛関係になっても、必ずしも結婚が先にあるとは限らないこともある。
異性と恋愛関係になれば、確かに未来には結婚ということもありえたかもしれないが、常に私の恋愛は異性相手ではない。
マイノリティの悩みは色々あるのだが、そうでなかったとしても結婚したいと思える人と出会う確率って非常に少ないのではないだろうか。

大きな理由の一つは、日本の長すぎる労働時間にあるのではないか。
職場という限定された空間に、週5日、1日8時間以上を過ごしているのだ。
結婚に紐づくような出会いが、そこでどれほど生まれるというのか。
結婚させたきゃ、まずは国民の生活を変えてくれ・・・と思うのは、私だけだろうか。
疲れ果てて帰宅して寝るという生活ではなく、ゆとりを持って趣味にいそしみ、職場以外のコミュニティに属してこそ、出会いに広がりが生まれるのではないだろうか?

多くの人が、職場で出会って結婚してるでしょ?って思った方。
それは昭和の話。
昔は、男性社員のために眉目秀麗な女性の一般職を多く雇ってた時代があったというが、今はそうじゃない。

女性の社会進出云々言われて久しいが、新卒で正規雇用を掴むのは氷河期以降、厳しい時代が続いている。
私の周りには、男性でも就職できない人が少なくなかった。
運よく就職できても、奨学金を毎月返し続けている同僚もいた。

彼らは結婚の話題が出るとこう言っていた。
『学生時代から付き合ってる彼女がいるけど、ちゃんと就職できてからじゃないと考えられない。』
『結婚したいけど、奨学金返し終わってからかなー。だって、借金あるって言ったら、引かれちゃうでしょ。』

そんなことをしている間に、月日は残酷に流れて、年齢を重ねていく。
新卒で就職できなかった彼が、ようやく正規雇用の座をつかんだ時、既に学生時代から付き合っていた彼女は別の人と結婚していた。
奨学金を返し終わった友人が婚活に本腰を入れ始めた時、既に彼女はアラサーからアラフォーへと移行しようとしていた。
婚活パーティ、お見合い、どこへ行っても年齢で弾かれてしまう。
理由は「その年齢じゃ、子供できないかもしれないでしょ」だった。

どんなに素晴らしい人との結婚であっても、親がゴネる場合がある。
私の場合はそうだった。
今となっては、誰が反対していたんだという顔をしているが、親には親の、複雑な思いがあるのだろう。
親の反対に負けて結婚を取りやめた友人も見てきた。

こんな風に、たとえ結婚したくても結婚以前の問題が山積みだ。
皆が皆、簡単に結婚できるわけじゃない。
もちろん、結婚しない、したくないという主義の人だっている。
個人の生き方の問題で誰かがどうこう言うものではない。
誰もが自由に、自分の生き方を選択し、自分の幸せを追求する権利がある。親が子を思って「早く結婚して安心させてちょうだいよ」と言うのは100歩譲って許せたとしても、国民に苦しか与えぬ政治家がどうこう言うのは言語道断だ。

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