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伝説のシーン~「ベン・ハー」と「駅馬車」

3時間を超える映画となると、観るのを躊躇してしまうのは自分だけではないだろう。まあ映画館で観るとき以外は、ほとんど休憩を入れながら観ているのだけれども。
今回は3時間半!の歴史的超大作、1959年公開「ベン・ハー」。

この日本版の予告編がなんとも味がある。日本では1960年公開とのこと。

その名前は耳にしたことはあったものの、あまりストーリーは知らなかった。観てみるとその壮大な叙事詩に仰天させられた。キリストの生涯と、あるユダヤ人の復讐と奇跡の話を絡めた、これ以上ないくらいのスケールの大きさ。

そのスケールの大きさはさることながら、この映画がいまだ語り継がれる名画として知られるのは、その戦車レースシーンの迫力も一役買っていることだろう。

そのレースシーンがこちら。

このレースを行うことだけでもどうやるのかというところだが、加えてこれをどう撮影するかである。
もちろん映画なので、作り物ではある。ウソも混ざっていて仕方ない。
でもそれがあからさまに過ぎると興趣も萎えてしまうわけで、いかに観ている人たちの手に汗を握らせるか、迫真性を持たせるか、なのだ。
CGはもちろんない。特撮さえまだまだ未熟だった頃。21世紀の今見てもそのスリリングさには驚くばかりである。

馬車のシーンの迫真性というと、この20年前の名画のあるシーンも観たくなる。1939年の「駅馬車」だ。

最初の方には合成の場面もいくつか差し込まれているが、次第にアパッチたちが近づいてくると、それは合成ではなく本当に馬車を走らせそこからの演技をさせている。疾走する馬車、追いすがるアパッチ、そしてラッパとともに登場する騎兵隊。80年前のこのシーンを再現するとしたら、現代ならばどうするだろうか。

しかしこれらのシーン、人間も大丈夫かと思うのだが、何より馬たちも平気だったのだろうかと案じてしまう。今ならその点でNGになってしまうかもしれないと思うと、文字通り伝説の撮影なのだろう。

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