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良くも悪くも古典的な~「天国は待ってくれる」

人は今わの際にその生涯の悪行を悔いるという。これは洋の東西を問わず、普遍的な人情というもののようだ。
それをコメディタッチで描いた作品が80年前に公開されていた。
エルンスト・ルビッチ監督 1943年公開の「天国は待ってくれる」

主人公の男性が幼少期から自分の人生を振り返っていくという展開。
ことあるごとに女性にちょっかいを出しては、家族とのトラブルを乗り越えていくという、現代の視点で言えばハート・ウォーミングなストーリーである。何より彼の祖父が厳格かと思いきや、孫と一緒になってそのトラブルを解決していく様子はおかしみを添えてくれる。

それにしても、世の女性はかくも単純なものか、そう首を傾げずにはおれない。婚約披露の場で交際を迫られて駆け落ちしてしまうとか、ちょっとどうなのと思ってしまう。女はかくあるもの、かくあるべし、という当時の風潮というものか。女性の描写が画一的というかステレオタイプすぎるように思えてしまうのだ。

全体的には面白く安心して鑑賞できはするが、そういう点で感情移入はもはやし難い作品でもある。これが古き”良き”時代かどうかは、鑑賞者の判断にゆだねられるところであろう。

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