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TKOナイトライト / パンタ&ハル TKO Night Light / PANTA & HAL

同級生で高校時代から付き合っていたF原さんは短大に通うために同じタイミングで上京した。
F原さんのアパートは俺の最寄り駅の隣の駅だ。
俺のアパートは駅から20分も歩くのに、F原さんのアパートは駅から3分のところにあった。たまたまお姉さんが同じ駅にアパートを借りて住んでいたので頼ってそこに決めたそうだ。
住む場所のことなんか一度も話したことなかったのに隣の駅にいるなんて、とちょっとビックリした。

F原さんのアパートは同じ建物に大家さんも住んでいて、1階が大家さん、2階に4.5畳と、3畳(!)の部屋があって、その2部屋を貸していた。
アパートというか下宿?
最近「下宿」という言葉も聞かなくなったな。
F原さんはその4.5畳の部屋を借りていて、家賃は月1万9千円。
男子禁制ということだった。
今はどうなのか知らないが、昔は女性にしか部屋を貸さないという大家さんが結構いて、男は部屋を汚すから嫌がられた。
たしかに。

性差別だよね。

ときどき大家さんの目を盗んで部屋に入り込んでいたが、話をしていると大家さんにも聞こえてしまう。
セックスしていると家が揺れてしまい、バレバレだ。
大家さんにすごく怒られた。

隣の3畳の部屋には北海道から出てきたという短大生が住んでいて、一度部屋を見せてもらったが、部屋の真ん中にこたつを置いてこたつで寝ていた。
「動かなくても部屋の中の物全部に手が届くので便利だ」というポジティヴ思考の女性だった。
北海道の人はやっぱりおおらかだなと感心した。

F原さんの部屋にプラスティック製のコンポがあって、お姉さんの影響なのか笠井紀美子やEPO、松原みき、大貫妙子などの、今でいうところのシティ・ポップ系のレコードやカセットがあった。
なぜかその中にパンタ&ハルの「TKO NIGHT LIGHT」があった。
聴かせてもらってぶっ飛んだ。
「マラッカ」でのパンタのエネルギッシュな歌唱や「つれなのふりや」での観客の熱い声援。
バンドはめちゃ上手いし。

こりゃすげえええええええ。

胸ぐらを掴まれて喧嘩を吹っ掛けられたような音楽だと思った。
まあ喧嘩は好きじゃないけどね。

それにしても何でパンタなんか持ってたのか。
不思議。



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