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ホンキー・トンク・ウィメン/ザ・ローリング・ストーンズ Honky Tonk Wemen / The Rolling Stones

同じ町から同じ高校に進学した友達の一人I羽君は、男ばかりの4人兄弟の末っ子で、お兄さんたちのレコードやギターが常に家に散乱している環境だった。
ある日I羽君の家でダラダラ過ごしているときに「ローリング・ストーンズのレコードがあるけど聴く?」と聞かれた。
なんとなくストーンズって悪っぽい人や大人が聴くものだと思っていたので今まで聴かずにいたけどせっかくの機会なので、怖いもの見たさもあって聴かせてもらうことにした。
I羽君が持ってきたのはザ・ローリング・ストーンズの「ラブ・ユー・ライブ」だった。
ジャケットも写真とイラストが合体した「アート」って感じでほんとに大人っぽい。
それがアンディ・ウオーホル作だなんて田舎の高校生には知る由もない。

レコードに針を落とすと
アフリカの民族のお祭りみたいな音がして、
MCが「なんちゃらかんちゃら。ザ・ローリング・ストーーーーーンズ!」と叫ぶと
キースのギターイントロが始まる。

「ガーッ ガッ ガーッ」

ホンキー・トンク・ウィメン。
ストーンズのライブではいろんな曲がオープニングを飾ってきたが、
一番最初に聴いたからか、この曲のオープニングが一番ダルでストーンズっぽいと思う。
もちろんスタート・ミー・アップやジャンピン・ジャック・フラッシュで始まるライブも勢いがあって好きだけどね。

I羽君は
「渋いよね、ストーンズは」

俺はよく分からない。

なんかあんまりピンとこない。
ギターの歪みが少ないな、とか。
ハードなロックばかり聴いてきたから音がスカスカな感じがして物足りない感じがある。
曲終わりもなんか決めてなくてみんな適当に終わっちゃって、バシッと揃ってないし。
なにこれ?ひょっとして下手なのかなと。
その時は大変失礼極まりない感想を抱いた。

A面からD面まで2枚組を通して聴いたけど、結局ピンと来ないままだった。もう何年か経ってからカッコよさがわかるんだけどね。
今では大好きですよもちろん。

なんかこれをカッコいいと言えるI羽君がずいぶん大人に見えた。
彼は洋服のセンスもすごく良くて、ウオークマンⅡも最初に買った。
なかなかのやつなのだ。

ちなみにこの「ラブ・ユー・ライブ」、
ブルース曲たっぷりのC面が今は一番好きだ。



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