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【Dontae Winslow】ジャスティン・ティンバレイクを支えるトランペッターを掘り下げる

ジャスティン・ティンバーレイクのタイニーデスク・コンサートが公開されましたね。

ジャスティン・ティンバーレイク自身についてはいろんな人がいろんなところで書いていると思うので、ここではジャスティンが起用しているあるミュージシャンに注目しようと思います。

それがドンテ・ウィンスロー(Dontae Winslow)。

ドンテ・ウィンスローはボルティモア出身のジャズ・トランペッター。タイニーデスクではドレッドを頭の上でお団子にしており、"Selfish"の終盤にウィンスローがトランペットソロを吹いています。ジャスティンが「Baltimore's finest」と声をかけていますね。

画面の隅っこぎりぎりに映っていますが、この人はスーパーボウルのハーフタイムショーやグラミー賞、アカデミー賞といった大舞台で音楽監督や編曲家を担う超実力派のミュージシャンです。

スーパーボウルのハーフタイムショーでいうと、ウィンスローは2022年のDr. ドレ軍団、2020年のシャキーラ&ジェニファー・ロペス、そして2018年のジャスティン・ティンバーレイクと、ここ数年で3回も編曲を手掛けています。

マーチングバンドを指揮するウィンスロー。


そしてなんといっても第92回アカデミー賞でサプライズ登場したエミネムの"Lose Yourself"をオーケストラ・アレンジしたのもウィンスローの仕事です。


グラミー賞でのNasとオーケストラとの共演もウィンスローが手掛けていたのですが映像がないので割愛。

2020年、コービー・ブライアントの追悼式でアリシア・キーズが演奏した"Moonlight Sonata"の編曲もウィンスローで、こちらではオーケストラを指揮する姿もわかりやすく映っています。

ウィンスローはもともとテレンス・ブランチャードの下でキャリアを始めています。ジャズ・トランペッターであり、映画監督スパイク・リーのサウンドトラックを多く手掛けている作曲家でもあるのがテレンス・ブランチャード。彼の下で学んだウィンスローの成果は、いかにも映画音楽然としたDr.ドレ『Compton』のイントロで確認できます。

ウィンスローとドレおじいちゃん。

ウィンスローは2021年に自身名義のアルバム『Walking Art』もリリースしています。90年代にジャズとヒップホップを繋いだ大ベテランのブランフォード・マルサリスや、中堅世代でジャンル横断的な活動をしてきたサックス奏者のテラス・マーティンやR&Bシンガーのラヒーム・デヴォーンらが参加した充実作です。

オーケストラを指揮してトランペットを吹いて自分でラップもする、というウィンスローのスタイルが詰まりまくったシングル「Trumpet & A Mic」。

ここまでいろいろ書いてきてなんですが、ドンテ・ウィンスローを日本の音楽好きに紹介するには「カマシ・ワシントンのバンドで来日もしてたトランペッター」と書くのがいちばん早いのでは、と思います。

それでも「カマシのサイドマン」ではなく、ひとりの大物ミュージシャンとしてドンテ・ウィンスローに焦点を当てたいと思い、こういう構成にしてみました。

ウィンスローのようなタイプは至るところで大きな仕事をしているわりには、例えばジャスティン・ティンバーレイクのアルバムでプロデューサーとしてクレジットされるわけではないので、なかなか日本まで名前が届きにくいように思います。

そういうミュージシャンに関する情報を少しずつでも日本語にして書いていければいいなと思っています。



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