見出し画像

海外ポスドクには3つの種類がある

アカデミアで活躍するために避けては通れないポスドク。

日本でも海外でもPhD後のポストはかなり厳しくなっている現状があります。

それじゃあ、厳しいのなら厳しいなりに戦略的にプランを立てて取り組もうと、PhD課程中からPhD後の海外アカデミックキャリアのために準備してきました。僕がどういう準備をしてきたか、またミッドキャリアの人から聞いたことなどを数回に渡ってシェアしたいなと思います。まあ、個人の体験・感想なので、国、年、分野によって状況は異なるかと思いますが、一つの海外ポスドク生き残り体験記として見ていただければと思います。

本題の前に軽く自己紹介を。初めまして、茂木良平といいます。人口学という分野が専門で、少子化について研究しています。ロックダウン真っ只中の2020年4月にバルセロナ自治大学でPhD(人口学)を取った後、同大学・人口学センターで2020年5月から2021年4月まで1年間ポスドクをしてます(以下で説明する、1のグラントポスドクです)。

このポストが1年間のみなので、今年2020年に入ったころから次のポスドクポジションのために、「探す→見つける→応募する」の繰り返しの日々を過ごしてきました。

様々な人の協力、運、準備の成果が重なって、2021年4月以降のポストが決まりました。まだ所属先は言えないのですが、チャレンジングな環境で研究が続けられそうでワクワクしてます!

PhD入学体験記やPhD課程での話は結構見ますが、ポスドク事情の話ってなかなかないと思うので(ましてヨーロッパPhD→ヨーロッパポスドクは)、みなさんの今後の何かに役立てば幸いです。

PhD後のアカデミックキャリアのためにまず最初に行ったのは、そもそもポスドクってどんなポストなのかについて調べました。PhD2年目くらいだったかな。この時はまだポスドクというものをイマイチ理解してなくて、、妻にもあまりうまく説明できなかったのを覚えています。

ポスドクには大まかに3つの種類があり、それらのメリット・デメリットをまとめました。

-------

1.グラントポスドク

国や自治体、財団等から研究費(グラント)をもらって、ポスドクをする。日本では学振PDがこれに当たると思います。

メリット

・自由度の高さ。研究費の使い道等かなり自由に決められる。
・CVでアピールできる。研究者の資質の一つとして、研究費の獲得能力が評価されることが近年増えてきていると思います。
・所属する研究機関を自分で決められる。もちろん行きたい研究機関からの承認がなければダメですが、こちらからアプローチできるのは大きいメリットだと思います。
・アプリケーション作成のいい訓練になる。自分の分野外の人にどう自分の研究を売り込むかなど早い段階で体験・学習できる。

デメリット

・以下2、3のポストに比べて契約年数が短いこと。
・アプリケーション作成時に所属予定研究機関を明記しなければならず、また応募段階から所属予定研究機関のサポートが必要になる場合が多々あるため、アプリケーションの締め切りよりかなり前から計画しないといけない。なので見つけたから即応募、とはできません。
・アプリケーション作成が非常にタフ。僕の場合は構想を練る段階も入れると8ヶ月ほどかかりました。

僕が見つけた若手研究者が応募できるグラント一覧も載せちゃいます。もちろん日本人も応募できるグラントです。

(多分ほぼほぼ網羅しているはず!もし記入ミスや追加できるグラント等あればご一報いただけると嬉しいです!)

2.ポジションポスドク

研究機関が独自に応募するポスドクポスト。

メリット

・自由度の高さ。こういう研究内容で、という大枠はあるが、その範囲内で好きな研究をしていい場合が多い。
・比較的長い契約期間。
・国の基準にもよるが、比較的良い給与。
・応募が比較的簡単。求められる書類は、Cover letter、CV、Motivation letter(1、2ページ)、Past and future research plan(1、2ページ)、Writing samples(2、3点)、推薦してくれる研究者2、3人の連絡先。

デメリット

・年によって応募していないことがある。

3.プロジェクトポスドク

ミッド・シニアキャリアの研究者が獲得したグラントプロジェクトを遂行するポスドクポスト。これは例えばヨーロッパであれば、ERCグラントを取ったプロジェクトのポスドクポストなどです。

メリット

・厳しい審査を通った有望なプロジェクトに参加できる。
・PI(principal investigator、グラントを獲得した研究者)もこのプロジェクトを成功させたいと思っているので、しっかりしたプランのもと研究が進められる。
・将来、自分がPIになることを見越して、PIとしての立ち振る舞いや大きなグラント獲得のために必要なことなどを学べる。
・応募が比較的簡単。求められる書類は、Cover letter、CV、Motivation letter(1、2ページ)、Past and future research plan(1、2ページ)、Writing samples(2、3点)、推薦してくれる研究者2、3人の連絡先。

デメリット

・自由度は低い。PIの研究プランを基に進む、という意味では自由度は低い。ただ、その研究テーマに沿った内容であれば、自由に研究アイデアを提案して進められるので、ガチガチに狭いというわけではない。
・チームで働くため、自分に合う合わないはあるかもしれない。

-------

以上見てきたように、ポスドクには3つの種類はありますが、自分から準備できるのは1のグラントポスドクのみです。グラントポスドクを準備しながら、運良く出てきた2、3も狙う、というのが最良の戦略だと思います。

ただ上にも書いた通り、グラントを応募するには結構な時間と労力がいるので、前々から計画しておく必要があります。そこで次回は、ポスドクポスト応募のスケジュールについて書こうと思います。

もしこんなことが知りたい等あれば記事へのコメント、あるいはTwitter(@rmogi_jpn)で教えてください!

PhD生や次のポストをさがしているポスドク研究者の方などにシェアしてくださると嬉しいです。

サポートしていただいたお金は、研究費に使わせていただきます!