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#4-1 書き出し、図に表すことがリフレクションの原体験:【教員インタビュー:大野沙絵子先生 #1】

みなさんこんにちは。リフレクションメソッドラボラトリー事務局です。リフレクションメソッドラボラトリー(以下RML)では「MAWARUリフレクション」というプロジェクトを行っています。

MAWARUリフレクションは、「リフレクションによる個人の気づきが周囲に循環し、社会を変える」をテーマに、教育にリフレクションを取り入れる活動を2016年から続けているプロジェクトです。(プロジェクトHPがありますのでぜひご覧ください。)
本記事では、MAWARUリフレクションで新しく始めた「教員インタビュー」の記事をお届けします。教育現場で、先生がどのようなことを考えているのか、とても面白い内容になっていると思いますので、ぜひご一読ください。
第4回の先生は、兵庫県で小学校教諭をされている大野沙絵子さんのインタビューです!いつものようにPodcastも用意していますので、ラジオ代わりにもぜひ聴いてみてくださいね。

VOL.4 大野 沙絵子(おおの さえこ)さん

兵庫県公立小学校教諭。生活科・総合的な学習の時間を自分の研究の軸とし、めざす子供の姿を思い描きながら実践を試みる毎日。3年前に「みんなで話そう!p4cひめじ自主研究会」を立ち上げ、p4c(こどものための哲学)を対話活動や学級経営に生かしながら日々奮闘中。

自己紹介及びリフレクションとの出会いは?

公立の小学校の教諭として、現在は3年生の担任をしています。子供達は、日常生活の中で、言葉にならない思いをたくさんもっています。ですから、子供達の思っていることと言葉をぴったりと結びつけることや、仲間との対話を通して考えを形成していくことはとても大事だと日々思っています。
今まで学習してきたことを次の学習に繋げていくことは、自分の頭の中にある概念をしっかりと言葉にして仲間とそれを共感し合い、「次は、これを知りたい!」「これは、まだわからないね。」ということを考えながら次の学習活動に向かえることは凄く大事なことで、その意味からもリフレクションの時間は大切です。

一番最初にリフレクションということばに出会ったのは、先のNOTE記事でも紹介されている長谷川先生と一緒に学年を組んだときです。私が、授業の展開が思ったようにいかなくて落ち込んでいる際、長谷川先生から「自分でリフレクションをしないと前に進めないよ。落ち着いて、冷静に、自分自身の手立てや発問を振り返って、しっかりリフレクションをすることが大事だよ。そうすることで、気付きが生まれ、それがまた子供達に還っていくよ」と声を掛けてもらいました。そこから、リフレクションという言葉や客観的な振り返りの仕方を学んだことを覚えています。

生井:大野先生がリフレクションをすることで、子供たちが落ち着いて取り組めるようになると声を掛けてもらったことが原点ということですね。

子供たちの発言を記述したり、語ったりしていく中で、自分自身の気付きが確かになったという体験が最初にありました。

生井:リフレクションとの出会いを通して何か感じられたことはありましたか?

最初はただ落ち込んでいるだけだったのなのですが、冷静になり、客観的に自分を見つめることで、やるべきこと、課題が明確になってきました。そして、これは、子供達にとっても大事なことではないかと考えました。そこで、子供たちがもやもやしている場面やみんなで合意形成を図る場面では、「何が大事であるのか」「そもそも目指しているものは何なのか」と立ち止まる時間、立ち返る時間を設けてリフレクションをすることで、次の活動への原動力となるよう実践の中に取り入れています。

場面について書き出したり、図に表すことで課題が見えてくる

山下:同僚の先生から促されて自身の実践の場面や様子を書き出していったとお話をお聞きしましたが、そのことについてもう少し詳しくお聞きしたいです。また、書き出されたものをどのように振り返りとして活用しているのか?さらには、当時のやり方と今は変化しているのか?をお聞きしたいです。

当時のことはとてもよく覚えています。実践が思い描いていた理想と違ったのは、私の支援や発問の想定がぼんやりとしていたからだと思います。当時、「何が良くなかったのか?」「自分が落ち込んでいる要因は何なか?」と自分に問いながらとにかく箇条書きで書いていったのを覚えています。運動会の表現運動に向けた導入の授業でした。私の思い描いていた理想は、「そのダンス、私たちもやりたい!」と前のめりになる姿でした。ですが、現実は、私自身に余裕がなく、逆に「先生、大丈夫?」と子供達が心配してくれる状況でした。ですので、振り返ってみて、「もっと同僚の先生方に相談し、合意形成を図りながら協力してもらえばよかったかな…」と思いました。そうすれば、「踊ることだけに集中せず、子供達の様子や表情を見ながら、語りかけることができたかもしれない」ということなどを書いたのを覚えています。また、それと同時に同僚の先生には、「どうすれば目指す姿になっていたと思う?」等、問いかけてもらいながら、図に表しながらまとめていったのを覚えています。そのように、自分ではない誰かと一緒にリフレクションをすることで、頭の中がすっきりと整理されていきました。

結果、次はこのような工夫をすればいいのではないか等、課題やアイデアも見えてきました。ですので、なんだか上手くいかない時やモヤモヤしている時は、それ以来、思いの箇条書きとゴールイメージまでを図にするということを今もやっています。

生井:大野先生が、どんな風に取り組まれていたのかとてもイメージが沸きました。

あの場面の子供達には、「なんか素敵な音楽だな…。元気で楽しそうな振り付けだな…!」「やってみたいな」と思えることが一番で、そのための支援が大事だったんだと思います。でも当時は間違えずに踊りきらないといけないという思いでいっぱいで、私自身の考えの浅さを痛感しました。そういう体験は、忘れないですよね。今でも思い出すと汗が出そうです。

生井:昔のこととお話されていたのに今でも忘れないというのは、本当に原点の体験だったんだと思います。

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本記事はここまでです。更新は毎週木曜日です。
第2回目もお楽しみに!

【大野先生インタビューの記事】
# 4 -1 大野先生インタビュー1(本記事)
# 4 -2 大野先生インタビュー2
# 4 -3 大野先生インタビュー3
# 4 -4 大野先生インタビュー4
インタビュアー 生井・山下
執筆:山下

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