カウンセラーの資格の信頼性

さて、あなたがカウンセリングを受けたい、もしくはあなたにとって大切な人にカウンセリングを勧めたい、そんなときに、どのようなカウンセラーを選ぶべきなのでしょうか。

そのカウンセラーのカウンセリング・マインドやスキルの程度を、どうやって推し量るべきなのでしょうか。

このnoteでは、あくまで、精神科専門医の視点から、信頼に足るカウンセラーの資格やスキルについて、考えていきたいと思います。

早速、結論を述べます。

信頼できる「資格」は、臨床心理士と公認心理師の二つのみです。

臨床心理士(公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会)は、代表的な心理職の資格で、長年日本の信頼に足る心理職の資格として評価されてきました。臨床心理士になるには、大学で心理学を学び、臨床心理士要請に関する指定大学院修士課程ないし専門職大学院を修了した後、試験に合格する必要性があります。少なくとも6年間に及ぶ心理学領域の教育を受けている事になります。しかし、資格取得時点では、理論学習はしているものの、カウンセラーとしての十分な実務経験はありません。例えるならば、採血にも不安を感じるような研修医や新人看護師さんを想像してください。資格取得後に、十分な経験を積んで、初めて、1人前のプロフェッショナルになるものなのです。

一方で、臨床心理士は、その厳しい要件に対して、国家資格ではなかったことから、2017年に公認心理師という国家資格が作られ、今後そちらに移行していくものと思われます。公認心理師については、制度導入に際し、2022年までは時限的緩和措置がとられました。臨床心理士のような6年間に及ぶ教育を受けていなくても、心理援助業務に十分に携わった経験があれば、良いというものです。ここについては、議論が紛糾しましたが、臨床心理士を取得した時点では、十分なカウンセラーとしての経験があるわけでもないことを考慮すると、良しあしがあると思います。

2021年現在、カウンセラーの資格を見る時には、下記の3パターンのいずれかに該当するので、その背景をみるようにしてみると良いでしょう。

① 臨床心理士+公認心理師 大学院修士課程修了まで、心理学分野の教育を受けて臨床心理士試験に合格し、2017年以降に新設された公認心理師の試験にも合格した方

② 公認心理師のみ 2022年までの経過措置を利用して、臨床心理士の教育課程は受けていないが、一定年数、心理援助の実務経験に携わり、公認心理師の試験に合格した方 

③ その他 ①②以外

特に問題となるのは、③のその他の、○○心理カウンセラー、みたいな方々です。通信教育だけで取得できるものや、権威付けビジネスの一環として、独自に設立した、○○心理カウンセリング協会などが発行した独自の認定資格、みたいなものが多数混在しています。

こころに向き合うことに対する責任と専門性を考慮すると、実は、現行の臨床心理士・公認心理師でも、大きな課題を抱えています。厳しい表現になりますが、いわんや、まったくその足元にもおよばない資格しか取得していない方々に、あなたの大切なメンタルヘルスを預けますか?

あなたに向き合うまでに、そのカウンセラーがどれだけ学び、努力してきたのか、その信頼性のバロメーターが資格なのです。

一般の方にとっては、①から③の区別がつかないどころか、その背景や価値さえも分からない、ときには、あべこべに、受け取ってしまっていないか(③の戦略によって、、、)、ということを、危惧しています。

再度述べます。

精神科医の立場から、信頼できる心理職プロフェッショナルの資格は、臨床心理士と公認心理師の二つのみです。

我々が提供するオンライン・カウンセリングサービス「マイシェルパ」では、我々のチームが信頼するに足ると判断した臨床心理士ないし公認心理師の方しか、カウンセラーとして登録して頂いておりません。あなたが、使おうとするカウンセリングサービスに登録されているカウンセラーの資格を見ていただくと、そのサービスにかける運営者の想いや姿勢が見て取れるのではないでしょうか。

臨床心理士・公認心理師の「経験やスキル」、またその相性は別の記事でふれていきます。

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