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「ワクチン」の由来

こんにちは!

ここ数日はコロナワクチンの副反応が思ったよりも重くて、勉強も作業も手につかず家で安静にしておりました(個人差はあるものの、私は映画でも見ようかと思っていましたがそれどころではなかったです、、、)。

さて、この「ワクチン」という言葉ですがなかなか英語っぽくはない響きですよね。ということで、今日はこのワクチンという言葉の由来をさかのぼっていきます。

※以下、発音はカタカナで書く際のイメージです。

「ワクチン」の語はどこから?

まず、英語でワクチンを意味する単語は"vaccine"(発音はヴァクスィーン)なので「チン」の部分から英語が由来ではなさそうです。

日本語の「ワクチン」はドイツ語で同じ意味の"Vakzin"(発音はヴァクツィーン、"Vakzine"という表記もあるようです)から来ています。たしかに、日本の近代医学はドイツのものをベースにしていたこともあり、医学系の単語はドイツ語由来のものが多いので納得です(例えばカルテやガーゼ、ギプスなど)。

では、この"Vakzin"や"vaccine"はどこから来たかというと、ラテン語の"vaccīnus"(発音はウァッキーヌス又はヴァッチーヌス)で、この単語は"vacca"に接尾辞"īnus"が付いたものです。

(接尾辞は日本語の「~性」や「~らしい」など、もとになる語の後ろについて意味を付加したり、品詞を変化させたりするものです)

"vacca"(ウァッカまたはヴァッカ)は「雌牛」を意味しており、"īnus"は<所有>や<由来>などの意味を付加するようなので、"vaccīnus"は「雌牛由来の」ということになります。

なぜいきなり牛が関連してくるのか?

それは史上初のワクチンとなった種痘が雌牛から採られたものだったからです!イギリスのEdward Jennerが、少年に牛の病気である牛痘の膿を接種後に天然痘の膿を接種してその予防効果を示し天然痘ワクチンとして種痘を開発しました。(詳しくは以下をご覧ください。)

少し有名な話な気もしますが、こんなところで牛とワクチンが関連しているというのは少し意外ですよね。

「雌牛」の語は世界中へ

この"vacca"というラテン語は今でも、地中海沿岸のロマンス諸語を中心に残っていて、たしかにスペイン語で雌牛は"vaca"(バカ)ですしポルトガル語の"vaca"、イタリア語の"vacca"、フランス語の"vache"にもその名残を強く感じます。

さらに、これらの言語から影響を受けた単語が世界中にあるようです。スペイン語は植民地として支配していたフィリピンのタガログ語(公用語)やセブアノ語など、そしてアメリカ大陸のネイティブアメリカンの言語(チェロキー語やナバホ語、マプチェ語など)、さらにはフィリピンから進出を試みた台湾東部のクバラン語(原住民クバラン族の言語で絶滅危機の言語)にも影響を与えています。(フィリピンは意外にもスペインの影響が色濃く残っていて、人名もスペイン由来のものをよく見かけます。フィリピンを代表するビールもサンミゲルですね!また、台湾のクバラン族の名前は現在では世界から注目を集め始めている「カバラン・ウィスキー」の名前の由来になっています。温暖な気候で熟成が速く進むようです。)

ポルトガル語は植民地だったアフリカの島国カーボベルデの公用語カーボベルデ・クレオール、カリブ海の島々のパピアメント語(現在オランダ領のキュラソー島などで話される)などに「雌牛」を意味する語の影響があります。

さらに、フランス語からもフランスの植民地だったカリブ海のハイチのハイチ・クレオールへ伝わっています(ハイチは度々地震に襲われるので、今回も心配ですね、、、)。

このように言語の起源を追うことで、かつての欧米諸国の植民地進出の様子やその支配を足掛かりとした交易のルートが見えてくるのは面白いことではないでしょうか?またこうした例が見つかったら、書いてみたいと思います。

それでは!


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