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神輿を担いで回る町内会グルメツアー

8月の第4日曜日は、僕が以前役場職員として勤めていた町でお祭りがある。おそらく今日もやっている。はず。
このお祭りでは神輿や獅子舞が町内の市街地を回るということで、役場職員以外にも多くの町民が駆り出されていた。

僕は、神輿の担ぎ手としてほぼ毎年参加していたのだが、なにしろ朝早くから夕方まで日がな一日歩き通す疲労度の高い行事なので、あまり好きではなかった。晒(さらし)を胴体にきつく巻くので息苦しいし、履き慣れない足袋(たび)と草履(ぞうり)で足は痛い。事前に靴屋で買ったインソールをはさみでチョキチョキして足袋の中にセットするなど、なるべく痛みを軽減するような工夫をしていた。

このように非常にハードな神輿担ぎだが、ささやかな楽しみもある。
それは、回る先々で用意されているおもてなしだ。
各町内会で振る舞われる食べ物や飲み物が、唯一にして随一の娯楽といっても過言ではない。まじで。大まじのまじで。

というわけで、今回は特に気に入っていた町内会グルメをランキング方式で紹介しようと思う。



参加したことある人だけが盛り上がるマニアックな記事になること必至ですが、ご了承願います。



第3位 焼肉(C区)

第3位は、市街地北部にあるC区の焼肉。
真っ昼間からバーベキューが開催されているC区では、カルビにサガリ、ホルモンやジンギスカンといった肉祭りだ。炭火で焼かれたお肉たちを見ると、もれなく全員テンションが上がる。みんな大好きだもんね、焼肉。

ある年は、先に回っていた獅子舞チームにことごとく食べ尽くされ、新しい肉を焼いている間に出発しなければならないという悲劇が起きた。そのせいで獅子舞チームと対立し、一触即発の事態に陥ったこともある。食べ物の恨みは怖い。

C区には午前の比較的早い時間帯に回ることが多いため、モチベーションが下がり始めるタイミングでありつけるのは高評価。
たとえるなら、湘北vs海南大附属戦の前半終了間際で、同点まで追いついた流川のごとし。ゴリ不在の間、一人でめちゃくちゃ点取ってる。さすが爆発力と勝利への意志を加えた男。

個人的ランキングでは3位どまりとなったが、北部の町内会では一番人気だった。みんな大好きだもんね、焼肉。
肉の脂が気になるところだが、歩き回って消費するのでカロリーゼロ。


第2位 いももち、かぼちゃもち、きゅうりの一本漬け(B区)

第2位は、B区の品々。
B区はC区の隣にある北部の町内会で、だいたいC区の前後に回ることが多かったと思う。とりわけ年配者が多い印象のB区では、おもてなしのメニューが渋い。その中でも、僕の好きないももちやかぼちゃもちが出てくると、普段は1ミリもない郷土愛が泉のように湧き出てきたものだ。

いももちを知らない人へ簡単に説明すると、北海道の郷土料理の一つで、じゃがいもをお餅のようになるまですりつぶし、こんがりと焼いたものである。味付けは砂糖醤油がポピュラーだが、ごまだったりバターだったりと地域ごとに特色があるっぽい。かぼちゃもちは、いももちのじゃがいもをかぼちゃに変えたもの。
北海道民以外には馴染みのない料理かもしれないが、これがまた美味なのだ。もちもちの食感と絶妙な甘じょっぱさがたまらなく、おやつ感覚でぱくぱくいける。

そして、忘れちゃいけないのが、きゅうりの一本漬け。
いももちとかぼちゃもちほどの派手さはないが、きゅうりの持つみずみずしさと漬物ならではの塩味がいい仕事をしている。こういうのでいいんだよ、こういうので。
翔陽メンバーでたとえると、いももちが藤真でかぼちゃもちが花形なら、きゅうりはさしずめ長谷川といったところか。

どれもおいしくてたくさん食べてしまうが、じゃがいももかぼちゃもきゅうりも野菜なのでカロリーゼロ。


第1位 そうめん(A区)

堂々の第1位は、どぅるるるるるるるるるるる・・・どん!
A区のそうめん!
いやぁ、これは文句なしの優勝だろう。

市街地南部のA区は、神輿担ぎ終盤の要。午後3時あたり、いよいよ疲労困憊となった頃にありつけるそうめんは、陵南にとっての仙道くらい頼もしい。体力はほとんどなくなったといっていい。なのにどうだあの目は。「それでもそうめんなら・・・」「そうめんならきっとなんとかしてくれる・・・!!」そういう目をしている。

夏の風物詩である仙道、じゃなくてそうめんは、8月末の残暑にぴったりの一品。程よいゆで加減のそうめんが、市販のめんつゆと非常にマッチしている。この庶民的で素朴な味がそそるのだ。お椀1杯分の量など、わんこそばのように秒でなくなる。食べてるというより飲んでる。そうめんは飲み物。

確か、一度そうめんのない年があったはず。その年は例年以上にモチベーションが低く、「そうめんのない神輿なんて、神8のほかの7人は全員来るのに大島優子だけ来ない握手会みたいなものだ」と思ったものだ。それでも、篠田麻里子や高橋みなみと握手してちょっとだけ話もできたから、結果的に行ってよかったんだけどね、握手会。そのおかげで就活のやる気が出て、無事就職できたわけだし。あ、大島優子とはその次の握手会で会えたよ。めっちゃかわいくてキラキラしてたよ。なんの話だこれ。
つまり、それだけそうめんが持つ影響力というのは強かったのだ。そうめん復活の報せを聞いた翌年は、MAXハイテンションだったのを覚えている。

あまりにおいしくて5杯は軽く食べていたが、カロリーは低温に弱いので、冷たいそうめんはカロリーゼロ。



このように、各町内会でおいしいものをたらふく食べた担ぎ手たちは、都度体力を回復し晴れ晴れとした気分で一日を終える・・・はずもなく、最後のほうはへっとへとのくったくたでゾンビみたいになっていた。

翌日の仕事が、愛和学院に負けた湘北さながらにボロボロだったのはいうまでもない。


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