実体験15 一般病棟は忙しい

個室で1人になった、、、

と物想いに耽る間もなく、食事が運ばれてきた。

昼食だ。
言語聴覚士がいろいろ持ってきた。

お盆に栄養バランスよく5皿ほど並んでいた。
すべて練り物だか、見た目は、ほうれん草や、ハンバーグの形や色をしていた。

「食べられそうなものから口にしてみてください」

1番飲み込みやすい「アイソトニックゼリー」
嚥下1を飲み込んだ。
これなら大丈夫。
スティック状のゼリーを、お守りがわりに片手に持ち、次はお粥。

小鳥のエサくらいすくって飲み込んだ。
飲み込めた。

言語聴覚士も喉の音を聞かせてくださいと、聴診器をあてる。

「いいですね。これはどうですか?」

少しきざみのある食べ物を口にしたが、飲み込む勇気がなかった。

「無理はしなくていいですよ。少しずつレベルを上げていきましょう」

食事が下げられると同時に、看護師のバイタルチェック。

その後、耳鼻咽喉科に車椅子で検査。

車椅子を押してもらったが、ものすごいスピードのように感じた。
まるでジェットコースターのように速く感じた。

これまでずっとICUのベッドだったから、、、

そして、マスクをして移動。

コロナ禍ということを忘れていた。
ICUではマスクではなく、人工呼吸器をつけていたから、、、

検査後は、理学療法士による運動。
歩くのは、もう自力で歩けた。
リハビリ室で足首に重りをつけ、椅子に座り足上げ運動もした。

そうこうするうちに、またご飯。
夕食。
口から食事を半分以上とれるようになったら、鼻のチューブが抜けるらしい。
味わうというより、押し込む、飲み込むという感じ。泣きながら必死で食べた。

疲れた、、、

なんだか疲れた、、、

介護度5の寝たきり老人が、いきなり自立しなければいけないような状況だった、、、

ベッドに横たわると、涙がこぼれてきた、、、
どんどんこぼれてきた、、、、
声なき声でワンワン泣いた、、、、
タオルが涙でぐっしょりなった、、、

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