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ラブレターに今、返事を書く。


時計は夜の22時前。

「そろそろ閉店しますので…」

声をかけられるまで私はカフェにいたことすら忘れてしまっていた。

その本を閉じた瞬間、体の底から大きな息がゆっくりと出た。
何度も繰り返し読んだ本。

それでも
まるで1冊の小説を読み終わったかのような
1本の映画を見終わったかのような
そんな気持ちに浸らせてくれた。

「このラブレター(本)に返事を書きたい」

帰り道、自転車を走らせながら、どんな風に書き起こそうか。
頭の中はそれでいっぱいだった。

夜風が冷たくなってきた9月の半ば。
自転車を漕ぎながらビュンビュン頬にあたる風は
私のほてった心にちょうどいい温度だった。

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今から書くことは阿部広太郎さんの著書
『コピーライターじゃなくても知っておきたい心をつかむ超言葉術』
というラブレター(本)に対する一方的なお返事です。


***


阿部さん、

この本を手に取った瞬間は、心をつかむための言葉に関するテクニックやノウハウが書かれたビジネス本だと思ってたら、見事に予定調和を崩されました。

どんな風にかって?

ビジネス書によくある「やり方」だけが記された本じゃなかった。

むしろこの本自体がそれを体現してる。

だから、何度も何度も心を掴まれて、
自分がその体験者になりながら読み進められたんです。


それは、
自分の手の中にぎゅっと握っている幸せにようやく気付けるような
自分自身の感情がより愛おしくなってしまうような
知識よりも勇気よりもむしろ「書かずにはいられない衝動」に駆られるような。


こんな光の当て方があるんだ
こんな世界の切り取り方があるんだ
こんな寄り添い方があるんだ

阿部さんの言葉に触れるたびに、その情景が浮かんでは消え
何度も何度も頭の中で想像が止まらなくなりました。

確実に私の人生に新しい色を落としてくれた、そんな本です。

この本から受け取ったメッセージは数知れない。

だけど敢えてここでは、この本に出会うことになった、そして阿部さんのことを知ることになったきっかけについて、少しお話をさせてください。


***


私はちょうど1年前、手話に出会いました。

たまたま、私が働いているスペースで、とある手話パフォーマーの方が誕生日会を開くとのことで、いろんな方が手話を使って歌やダンスなどのパフォーマンスを行ってたんです。

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それまで手話を使う人も耳の聴こえない人も周りにいなかった私にとっては全く新しい光景でした。

そこで覚えたての手話を披露すると、彼らはものすごく喜んでくれて、もっと伝えたい!理解したい!そんな気持ちが芽生えて、気付けばどんどん手話にのめりこんでいく自分がいました。


手話を知れば知るほど、自分の当たり前の外にある、だけどコミュニケーションの本質的な部分にたくさん触れることができて、相手の立場を想像して言葉を投げることや受け取ることがいかに大事か、そんなことを日々肌で感じていました。


そんな時に知り合いから「手話でコピーを書いた阿部広太郎さんという方がいる」と、Twitter内のやりとりで教えてもらい、興味を持たない理由がありませんでした。

「阿部さんも手話を通して自分の当たり前の外に気付けたんだ」

全く違う立場なのに、なぜだかものすごく親近感を感じてしまいました。


日本語を使わなくても
声を使わなくても
文字を使わなくても

「愛と書かずに愛を伝える方法はある」

そんなことをうっすらと肌で感じていた時に出会えたこの本は、出会うべくして出会った本だと思っています。

この本に、そして阿部さんの言葉に出会えたことに、心から感謝をしています。


そして、これからは私がこの感動をバトンタッチしていく番。

一人でも多くの人に心が動く体験をシェアできるように。

そしてその人がまた、別の人にバトンを渡したいと思ってもらえるように。

私だからこそ感じられた感情や経験を言葉に変えて、これからも紡ぎ続けます。


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