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【読書感想文】滅ぶことがわかっているならば、私ならどうするか


凪良ゆうさんの『滅びの前のシャングリラ』

シャングリラとは理想郷という意味らしい。
東洋のどこかにあると伝説のように言われているとも。
シャングリラホテル香港にアフタヌーンティーしにいったなぁ。
あ、東京のシャングリラホテルは、中華が絶品です、って関係ないですね。

さて、この小説は設定がすごい。
地球が滅ぶことがわかっている。巨大な隕石が迫っている。
それも何日後って時間まで。だからカウントダウンが始まっているのだ。

さてそうなった時、人々はどんな行動に出るのか。

人の心の暗部をえぐり出し、まるでパンドラの箱の底の小さな希望をあなたは持てるか?と突きつけられているかのよう。

どうせ死ぬのだからと理性が吹っ飛んでしまった社会。

利己的な思考の行き着く先はこうなるのだろうか。残念だ。人の本性はこっちなのか。
滅亡の前に、人の命は軽くなる。

だから他人と家族の境目も、薄くなる人もいれば、家族との絆が深くなる人もいる。

さらにつけ込むかのように、宗教を騙る団体のテロリズム。
複雑に絡み合う登場人物の繋がり。え?そこで次の章?となり視点を無理やり変換させられる作者の仕掛け。

よく小説を読むときに、私ならこうだなぁという気持ちすら入る余地を拒む。
それがまた心地よくもある。滅びを俯瞰しているからなのか、または私の持つ心の醜さが抉り出されているのか。

読んだあなたはさて、自分がどう感じるか、不思議な知らない感情が出てくるかもしれない。
そこと向き合うのもまた小説の醍醐味。

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