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#ふぉれすとどわあふ✖️バレンタイン一句

この話は↓のストーリーの続きです。


お話の下にバレンタイン一句があります🍫



私はマサコ、種族は『ふぉれすとどわあふ』。
妹のミユは森の雑貨店を経営している。

如月の14つ目の日には、バレンタインというイベントがあるらしい。いつもは男子たちと森を駆け回っているマサコだが、今日は女子たちとチョコレイトというものを作ることにした。なぜならその日にはちょうど彼が帰ってくる予定だったから。

チョコレイトというやつは厄介なもので、手で握るとすぐに溶けてしまう。甘い香りがして今すぐ食べてしまいたいのに、これを溶かしてハートの形にしなければならないらしい。

何度も鍋を焦がしては幼馴染のリリアに怒られる。ようやく出来た頃にはすっかり夕方で、しかも小さなものしか作れなかった。それでもリリアに教えられながらなんとかラッピングをして形にした。ほんの少し焦げてしまったけど。


夜になって、たくさんの男性が森の外の世界から帰ってきた。


久々に賑わいを見せる集落。
だけど、その中に彼はいない。


思い切ってリーダーに聞いてみると、

「アイツは偵察から帰ってこなくて、数日待ったが引き上げてきたんだ。おそらく連中に捕まったか、あるいは…悪いな。皆を守るのが精一杯だった」

リーダーは帽子を目深に被り、それだけをいうと去っていった。


マサコの手の中にある、赤いリボンをかけた小さな箱がぽとりと落ちた。リボンが取れかかっている。赤いリボンは「ふぉれすとどわあふ」たちにとって、愛を告げる意味を持っていた。


マサコは箱からチョコを取り出すと、自分の口に放り込んだ。たったひとつ…甘い。でも、苦い。そしてしょっぱくて。


マサコの目から光る雫が流れ落ちていき、それはそのまま夜の風に乗って飛んで行った。真っ暗な森の中で、星たちだけが何かを囁くように瞬いたように見えた。



ほろ苦い想いを乗せたひと雫
星たちだけが甘くささやく



【次のテーマ】

①この続き
②彼のゆくえ
③マサコとリリアの思い出



↓この企画の概要はこちら

次のテーマから、あるいは「 #ふぉれすとどわあふ 」のタグの付いた記事にある次のテーマから続きを書いていくリレー企画です。

✖️
バレンタインのお話になりそうだったので、
勝手にコラボしました💗
よろしくお願いします( *´艸`)フフ


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