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渡辺典子物語

1982年、ポスト薬師丸探しが大義名分だったオーディション「角川映画大型新人女優コンテスト」は東映映画・真田広之主演『伊賀忍法帖』の相手役探しだった、なので東映側の総意で渡辺典子がグランプリに輝いたはいいが、角川春樹としては眼中になく、眼中にあったのは原田知世だったので特別賞をあたえて早々とテレビドラマ(「セーラー服と機関銃」)とその主題歌(「悲しいくらいほんとの話」)で初出演初主演&歌手デビュー、一方予め決まっていた映画『伊賀忍法帖』(同時上映『汚れた英雄』)の公開はそれから半年後、この時点でグランプリで選ばれた人間が独断で決められた特別賞の人間に遅れをとり、差をつけられた、予め決まっていたかのように『伊賀忍法帖』は併映でフィーバーすることもなく、その主題歌を歌わせてくれるわけでもなく(しかも主題歌は真田広之でもなく宇崎竜童)、主演も歌手デビューも出来なかった、57480名から選ばれたグランプリなのに、である

結果的に82年の活動として原田知世はテレビドラマ主役2本連続(「セーラー服と機関銃」「ねらわれた学園」共に薬師丸お下がりドラマ)主題歌2曲連続(シングル2枚計4曲)、渡辺典子は映画出演1本のみ

翌83年、順調な流れで原田知世は復帰した薬師丸映画の併映作品『時をかける少女』でブレイク、一方、角川側が薬師丸&知世で忙しいのか、或いはそもそも角川春樹が選んでないのに角川所属になったゆえの持て余しで渡辺典子の予定は未定、そこで高部知子が干された角川も東映も関係ない東宝映画『積木くずし』の代役に食らいつき、この時点でアイドル路線は諦めざるを得ない覚悟の上で演じた汚れ役、結果その迫真の演技が評価された段階を経て、翌84年にようやく原田知世パターンで薬師丸お下がりテレビドラマ「探偵物語」(但し局も枠も違う、しかも全4回😢)で主演&歌手(主題歌「花の色」)デビュー、角川三人娘(ただし3人揃って何かをしたことは無いはず)体制が整う

遅れを取り戻すかのように、ここから約1年(84年5月〜85年6月)の間に主演映画が3本公開され(『晴れ、ときどき殺人』『いつか誰かが殺される』『結婚案内ミステリー』)、4本の映画主題歌も担当(「晴れ、ときどき殺人」、「いつか誰かが…」、「カムイの剣」、「野ばらのレクイエム」)、しかし薬師丸vs知世映画とは切り離され、相米慎二や大林宣彦に撮ってもらえるわけでもなく、主演映画の併映は常に大人向けのゴツイ映画(『湯殿山麓呪い村』、『麻雀放浪記』、『友よ、静かに瞑れ』)でファンが拡大するような相乗効果もなく、残念ながら映画と主題歌はヒットせず、大映ドラマのような東映ドラマ主演(「赤い秘密」)を経て、翌86年は原田知世の姉の主演映画の脇役に配される(大林作品『彼のオートバイ、彼女の島』)、再び主演が決まった『恋人たちの時刻』では背水の陣でヌードシーンを用意されたが、拒否して角川から独立する「悲しいくらいほんとの話

個人的な長年の希望としましては薬師丸ひろ子・渡辺典子・原田知世による三姉妹の主演映画(姉妹設定じゃなくてもいいですが)、今からでも遅くない(誰かが亡くなってからでは遅い)夢の幻の角川三人娘映画、是非実現してほしいものです

初出:Instagram 2017年x月xx日


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