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読書ノート

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2023年1月の記事一覧

九鬼『「いき」の構造』

九鬼周造『「いき」の構造』

「いき」のうちには、二者の性的関係でありながら、互いに完全に対象化しえないようなありかたが含まれている。エロティシズムにとってはこの不連続性は限界だが、いきにとってはここに美意識が働いている。(いきにおける所有の不可能であるとか不連続性と、心中の関係も気になる)

生命であること、ものであることを自在に行き来するような流動性の美? 弛緩と緊張。自由であること、物質的な

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ベルクソン『二源泉』進歩?

ベルクソン『道徳と宗教の二源泉』、平山高次訳、岩波文庫、1977年。

p. 328-9

「これらの進歩は同じ方向のなかで生ずるのだろうか。それは進歩であることが是認された以上は、方向はもちろん同じだということになろう。その場合、進歩のそれぞれは、実際、一歩前進だと定義されるだろう。しかし、それはひとつの比喩でしかないだろう、そして、ひとつの方向が前もって実際に存在していて、ひとは単にそれに沿う

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ソレル『暴力論』第五章

ソレル『暴力論』、木下半治訳、岩波文庫、1933年

上巻p. 202

神話において重要なのはその全体だけ。それを用いる革命家が考えたことが完全に間違っていたとしても、社会主義の願望を完全に取り入れたものであるなら、それでよい。

→その人が何を語るかよりも、何をするか。言語や知性の使用において間違えていたとしても、その人の行動がちゃんと機能していればよい。ベルクソニスムの片鱗を感じる。(社会が

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【読書ノート】ドゥルーズ「ベルクソンにおける差異の概念」——ベルクソンとヘーゲル

ドゥルーズ「ベルクソンにおける差異の概念」(『ドゥルーズ・コレクション』、宇野邦一監修、河出書房、2015年。)

 ドゥルーズはこの論文において、ベルクソンとヘーゲルの対決を試みようとしているように思われる。

(ベルクソン自身は著作の中でヘーゲルについて直接言及することはあまりない。dialectique を言語による解決としてよく批判するが、ヘーゲルというよりプラトン、アリストテレス批判であ

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